来年の調剤報酬の改定(TOPICS 2011.11.30)では、新たに在宅に関する施設基準が設けられる一方、設備等の関係で無菌調剤が対応できない薬局も在宅業務に参画できるよう、「小規模薬局の連携」として、他施設の共同利用を認めることも承認されています。今回のパブリックコメントは、これが可能となるよう法律を改正して、法制度からもこれを認めるためのものと思われます。
薬剤師法施行規則等の一部を改正する省令案について
(案の公示日 2011年12月26日 意意見・情報受付締切日 2012年01月24日)
改正の内容は以下の通りです
- 無菌室の共同利用を可能とすることについて
法第22条に規定する居宅等において医療を受けている者に対して、医師等から高度な無菌調製を要する医薬品の処方箋が交付された時に、無菌室がない薬局の薬剤師が地域における他の薬局の無菌室を利用して高度な無菌調製を行い当該医薬品を調製する場合を、法第22条ただし書の厚生労働省令で定める特別の事情がある場合とすることで、無菌室の共同利用を可能とすること - 調剤された薬剤の表示について
調剤された薬剤の容器又は被包には、調剤した薬局等の所在地を記載しなければならないとされているが、地域の他の薬局の無菌室を共同利用し、高度な無菌調製を行った場合は、当該無菌調製を行った薬局に係る記載を省略することを可能とすること。 - 薬局開設者の報告事項について
薬局開設者は、「無菌製剤処理に係る調剤の実施の可否」について、当該薬局の所在地の都道府県知事に報告しなければならないと定められているが、当該薬局が無菌室を有していない場合であっても、地域の他の薬局の無菌室を共同利用して高度な無菌調製を行うことで当該薬局開設者の設置する薬局が無菌製剤処理に係る調剤を患者に提供できる場合は、その旨を所在地の都道府県知事に報告すること。
一定地域に複数店舗を展開するチェーン薬局や無菌調剤が可能な会営薬局がある地域では有用策だと思いますが、実際に個人や小規模の薬局が無菌室を持つこういった薬局に連携を求めることが可能なのか(薬剤師会に入っていないところもある)、また無菌設備を持った薬局がない地域や会営薬局が存在しない地域では、行政が無菌設備整備への支援や会営薬局開設のための支援など何らかのサポートを行うということはあるのでしょうか?(一応国の予算はついているけど)
資料:第204回中央社会保険医療協議会総会(2011年11月30日資料 総-6)
調剤報酬について(p4-16)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001wj9o-att/2r9852000001wkd7.pdf
関連情報:TOPICS 2011.11.30 調剤報酬改定の見通し(中医協論点)
関連記事:【厚労省】無菌調製の共同利用を解禁‐4月に省令改正
(薬事日報 HEADLINE NEWS 12月26日)
http://www.yakuji.co.jp/entry25118.html
12月26日 15:25更新
2011年12月26日 11:11 投稿
日薬は1月26日の定例記者会見で、意見を17日に提出したことを明らかにしています。
薬剤師法施行規則等の一部を改正する省令案に関する意見募集(無菌室の共同利用に関する件)に対する本会意見の提出について
(2012年1月26日定例記者会見資料)
http://www.nichiyaku.or.jp/press/wp-content/uploads/2012/01/120126_1.pdf
改正案に対して日薬は、国民・患者からの調剤の求めに対する「薬剤師の応召義務を担保し、設備の効率的な稼働を確保するという、相反する課題を解決できるという点で評価できるとする一方、運用に際しては、
「高度な無菌調整の範囲を明確にする」
「対象患者の範囲を明確にする」
「地域の範囲を限定する」
「調剤済となった処方せんおよび調剤録への記載の取扱いなどについて明確にする」
ことを要望しています。
参考:薬局新聞社ONLINE
http://www.yakkyoku-shimbun.co.jp/news.html