糖尿病患者へのラジレスとARB/ACEの併用回避を勧告

 TOPICS 2011.12.24 で紹介したラジレスによるALTITUDE試験の中止発表の件ですが、日本でも予防的措置として、糖尿病患者へのラジレスとARBまたはACE阻害薬を併用しない、すでに併用治療が行われている患者については、ラジレスの投与中止を求めるアナウンスがノバルティス社により行われました。

糖尿病を合併している高血圧症患者さんにおけるACE 阻害薬又はARB との併用について
(ノバルティス ファーマ株式会社2011年12月)
http://www.info.pmda.go.jp/riscommu/PDF/riscommu111228-001.pdf

 アリスキレンフマル酸塩(商品名:ラジレス®錠150mg)を糖尿病患者においてアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬又はアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)と併用した臨床試験ALTITUDE(ALiskiren Trial In Type 2 diabetes Using cardio-renal Disease Endpoints)の中止については、既に12 月21 日プレスリリースにてお知らせしたところです。現時点で本試験データは解析途中であり、2012 年早期に公表される最終解析の結果を待って評価を行う予定です。しかしながら、中間解析の結果から非致死性脳卒中、腎合併症、高カリウム血症、及び低血圧の発現率がプラセボに比べ高いとの安全性に関する新しい情報が得られたことから、ラジレス錠の処方に関し、一時的な予防的措置として、次回以降の日常診療において、以下の点についてご留意いただきますようお願い申し上げます。

  • 糖尿病を合併している患者さんに対して、本剤とACE 阻害薬又はARB は併用しないでください。
  • 既に、本剤とACE 阻害薬又はARB を併用投与中の糖尿病を合併している患者さんにおきましては、本剤の投与を中止してください。なお、必要に応じて、高血圧の代替治療を考慮してください。
  • ACE 阻害薬又はARB を投与中の糖尿病を合併している患者さんに対して、本剤の投与は開始しないでください。
  • 尚、医師への相談なしに本剤とACE 阻害薬又はARB との併用を中止しないよう、患者さんへご指導ください。

 迅速な対応に正直驚いています。しかも、メーカーがこの時点ではっきりと予防的措置として併用回避を呼びかけたのは意外でした。(海外本社ではここまで踏み込んでいない。添付文書の変更が行われるかどうかは現時点では不明)

 年末なのでとりあえずはどうしようもありませんが、これだけはっきりと書かれているので、年明け早々私たちからも処方元などへの情報提供が必要でしょう。中止となった事由となる解析結果の公表待たれます。

糖尿病を合併している高血圧症患者における
アリスキレンフマル酸塩製剤のACE阻害薬/ARBとの併用について
(医薬品医療機器総合機構 2011年12月28日)
http://www.info.pmda.go.jp/riscommu/PDF/riscommu111228.pdf

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関連情報:TOPICS
  2011.12.24 糖尿病患者へのラジレスとARB/ACE併用は留意が必要

関連ブログ:
 ALTITUDE試験中止(葦の髄から循環器の世界をのぞく 2011.12.28)
   http://blog.m3.com/reed/20111228/ALTITUDE_


2011年12月28日 22:39 投稿

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