論文・報告あれこれ 2011年12月

 今月のちょっと気になった論文や報告です。誤りがあったらご指摘下さい。月ごとにまとめて随時追加する予定です。

紹介日 論文・報告タイトル
(紹介記事・ブログ)
概要・コメント
12.16 Complementary Corner: Essential oils associated with seizures
Prescriber Update 2011;32(4): 34-35)

アロマセラピーで使われるエッセンシャル・オイルの使用との関連性が疑われる事例を紹介。子どもやてんかんの既往歴がある人への使用には注意が必要とする一方、有害事象を積極的に報告して欲しいとしている。(日本でも茶のしずくがそうだけど、医薬品以外の生活関連物資などによる有害事象の報告補法の仕組みの見直しが必要だと思う)
12.16 update: Quetiapine and cardiomyopathy – an emerging safety signa
Prescriber Update 2011;32(4):31)
クエチアピンとの関連が疑われる心筋症7例の紹介。Medsafeでは、発症のメカニズムは明らかになっていないとしながらも、クロザピンと同様に過敏性心筋炎や肥満や糖尿病のによっておこる心筋炎が関連するのではないかとする専門家の意見を紹介している。
12.14 Dopamine agonist use and the risk of heart failure
Pharmacoepidemiology Drug Saf first published online: 23 NOV 2011)
1997-2009年の英国の患者データベースを用いた観察研究。26814人の抗パーキンソン病治療薬を使用している患者で783人が心不全と診断され、使用薬剤ごとの心不全発症率を調べたところ、ドパミン作用薬使用者で1.58倍となった他、プロミペキソールで1.86倍、カベルゴリンで2.07倍となったんものの、ロヒピニロールやペルゴリドでは有意差はなかった。
12.14 Association Between Use of Statins and Mortality Among Patients Hospitalized With Laboratory-Confirmed Influenza Virus Infections: A Multistate Study
J Infect Dis.First published online: December 13, 2011 )

スタチンの使用がインフルエンザの死亡率を低くする可能性があるとする研究。研究者らは2007-2008シーズンnにインフルエンザで入院した患者3043人について調べたところ、33.3%でスタチンを服用、151人が診断確定30日以内に死亡したが、スタチン非使用者の死亡率が5.5%だったのに対し、スタチン使用者では5.5%に留まった。これを統計的に調整して解析したところ、スタチン使用者では死亡の保護率がオッズ比0.59となった。
12.13 漢方薬処方実態調査2011
(日本漢方生薬製剤協会 2011.11.14)
今年8~9月に医師を対象に行われたインターネット調査。(627人が回答) 漢方薬を処方する疾患で最も多かったのは「こむらがえり」で、以下「急性上気道炎」「便秘」「不定愁訴・更年期障害」「イレウス」が続いた。
12.07 薬学のッコミュニケーション教育におけるフィジカルフィギアの活用
(薬学雑誌電子版 2011.12.05 掲載)
近畿大学薬学部の実務実習事前学習の意化kンとして行われているフィジカルフィキアを用いたコミュニケーション実習の紹介。
12.07 認知行動療法と動機付け面接法を用いた禁煙指導実習の構築
(薬学雑誌電子版 2011.11.29 掲載)
帝京大学医学部付属病院の実務実習として取り組まれている認知行動療法と動機付け面接法を取り入れたプログラムの紹介。
12.07 訪問薬剤管理指導をうけている認知症治療薬服用患者の属性および服薬アドヒアランスとの関連要因に関する予備的研究
(薬学雑誌電子版 2011.11.29 掲載)
認知症に係る薬物療法を受けている居宅療養高齢者に対する居宅管理指導への対応状況などを調べたもの。
12.07 Scientific Opinion on the substantiation of a health claim related to diacylglycerol (DAG) oil and reduction of body weight pursuant to Article 13(5) of Regulation (EC) No 1924/2006
(EFSA Journal 2011;9(12):2469)

日本では販売が中止となっているジアシルグリセロール油(=エコナ)の健康強調表示に関するEFSA(欧州食品安全機関)の評価。使用と体重減少との関連性は見いだせなかったとしている。
12.07 Factors that influence Italian consumers’ understanding of over-the-counter medicines and risk perception.
Patient Educ Couns. 2011 Nov 25. Epub ahead of print)
安全なセルフメディケションを推進する上で、健康に関する知識やOTC医薬品のリスクについて尋ねたイタリアの研究。禁忌と副作用をなどについての誤解があった他、相互作用、御用や欄世についてのリスクについての認識は低かった。(フルテキストを読んでみたい)
12.07 Prediction of time-dependent interaction of aspirin with ibuprofen using a pharmacokinetic/pharmacodynamic model.
J Clin Pharm Ther. 2011 Nov 28. Epub ahead of print)
東大の澤田教授らが発表した論文。血栓予防で用いられれる低用量アスピリンはイブプロフェンとの併用でアスピリンの作用を減弱させることが知られているが、服用のタイミングによって影響がどのように変わるかを調べている。研究者らは、低用量アスピリンを使用している人へのOTCイブプロフェンの使用は考慮すべきとしている。
12.07 HEALTH AT A GLANCE 2011: OECD INDICATORS
(OECD 2011.11.23)

OECDが毎年発表している、加盟各国の医療統計のデータをまとめ、比較しているもの。喫煙率などはワーストから数えた方が早い。在院日数、透析患者(といっても日本のデータのみが古い)、人口当たりのMRIとCTの数はものすごく多い(これが医療費を増大させていないか)、じっくり読んでみたい。(毎年報道されているのに、今年はなぜかメディアの紹介は皆無)

2011年12月16日 10:15 投稿

コメントが1つあります

  1. シッフズジャパン 鈴木幸雄

    OECDの健康統計:
     日本の乳がん、子宮頸がん、直腸結腸がんの生存率は最高水準だそうです。昨日、S字結腸がんの診断を受けた小生にとって有難いことです。
     スクリーニング率が低く国によるスクリーニング計画がないにも関わらず、この調査結果ですから、医療制度が良くして、要因(人種や食習慣など)を解析出来れば国際的に貢献できると思います。なぜメディアが取り上げないのか本当に不思議です。