前記事に水を差すような論文が発表され、各国で大きな話題になっています。(薬剤師関連のstudyについて、一部については下記のスタイルで紹介しています。記述法などに誤りがございましたらご指摘下さい。)
研究の 目的や背景 |
専門家によるカウンセリングの有無によりニコチン置換療法の有効性に差異があるか、また医療保険の適用となるエビデンスを有するか |
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研究の方法 | 前向きコホート研究 |
どんな人が 研究の対象? |
最近喫煙をやめたマサチューセッツの成人787人をについて2001年から2年ごとに3回に分け追跡調査 |
何を指標? | 再びたばこを吸ってしまう割合 |
何と比較? | ニコチン代替薬(パッチ、ガム、吸入剤、スプレーなど)の使用の有無と期間、カウンセリングの有無 |
わかったこと | 各期間ともおよそ3分の1が再びたばこを吸ってしまう。ニコチン代替療法を6週以上行った人と行わなかった人で差異はなかった。また、この割合はカウンセリグプログラムの有無にも影響はなかった。 |
コ メ ン ト | フルテキストを読んでいないので推測の部分も多い点を許してい頂きたいのですが、マサチューセッツは米国なので、パッチやガムはドラッグストアではなくても買えるOTCと考えると、どの程度のカウンセリングが実際に行われていたかがまず疑問です。(調査を受けた人のとらえ方もある) 専門家やメーカーからは多くの反発の声が挙がっており、私もこの結果を持って、効果があるかどうか怪しいというには同意できません。(ただ一般の人へのインパクトは大きく、NEWS記事への書き込みはものすごい。米国の薬剤師たちはこの結果をどう思うだろう) CBC.Ca の記事にもあるように禁煙補助薬への補助と同時に、社会的に禁煙を広げたり、意識づける運動(公共の場での禁煙、TVコマーシャル、たばこ包装)も総合して判断しないといけないと思います。(米国はたばこ包装への規制はようやくこれから。たばこ会社の宣伝もまだ強力) 今後も、NHS Choice などで解説記事が出ると思うので、続報に注目します。 |
論 文 名 | A prospective cohort study challenging the effectiveness of population-based medical intervention for smoking cessation |
掲載雑誌 | Tob Control.Published Online First 10 January 2012 |
リ ン ク | http://tobaccocontrol.bmj.com/content/early/2012/01/03/ tobaccocontrol-2011-050129.abstract |
論文紹介記事:
禁煙補助薬の効果に疑問=米調査
(WSJ 日本版1月10日)
http://jp.wsj.com/Life-Style/node_372559
Nicotine patches of little use to smokers, study says
(CBC.Ca 2012.01.09)
http://www.cbc.ca/news/health/story/2012/01/09/nicotine-gum-patches.html
Nicotine Patches, Gums Won’t Help Smokers Quit Long-Term: Study
(Health DAY 2012.01.09)
http://consumer.healthday.com/Article.asp?AID=660557
Nicotine Replacement Treatments May Not Work Long-Term
(WebMD 2012.01.09)
http://www.webmd.com/smoking-cessation/news/20120109/study-nicotine-replacement-treatments-may-not-work-long-term
2012年01月10日 23:25 投稿
カウンセリグプログラムの有無も影響はなかったとは、意外でした。私の場合、タバコの弊害は発がん性の恐怖だけでなく、睡眠の質及び集中力の低下、そして喫煙の後ろめたさでした。止めることが出来、本当に良かったと思っています。