Clostridium difficile 関連の下痢(CDAD:Clostridium difficile–associated diarrhea)とPPIの使用との関連性については、以前から指摘されているところですが、米FDAは8日、より踏み込んだ注意喚起を行っています。
Proton Pump Inhibitors (PPIs) – Drug Safety Communication:
Clostridium Difficile-Associated Diarrhea (CDAD) Can be Associated With Stomach Acid Drugs
(FDA 2012.02.08)
http://www.fda.gov/Safety/MedWatch/
SafetyInformation/SafetyAlertsforHumanMedicalProducts/ucm290838.htm
日本語訳概要(医薬品安全性情報Vol.10 No.05)
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly10/05120301.pdf
FDAではこれまでの報告や学会発表を受け、PPIの使用がClostridium difficileのリスク増加と関連している可能性があると指摘し、次のような助言を行っています。
- A diagnosis of CDAD should be considered for PPI users with diarrhea that does not improve.
治りにくい下痢におけるCDADの診断は、PPIを使用しているかどうかを考慮されるべきである。 - Advise patients to seek immediate care from a healthcare professional if they experience watery stool that does not go away, abdominal pain, and fever while taking PPIs.
PPIの使用者で、水様便がよくならない、腹痛や発熱がある場合は、患者に医療専門職からのケアを求めるように助言しなさい。 - Patients should use the lowest dose and shortest duration of PPI therapy appropriate to the condition being treated.
PPIによる治療はできるだけ低用量で短期間の使用に留めるべきである
つまり、治りの悪い下痢に遭遇したら、PPIの使用が関連している可能性があるので留意しなさいということのようです。(高齢者では、長期的に使用されている使われている人が多い印象だけど)
これまでもに多くの関連論文が発表されていますが、胃酸分泌の抑制が関連している可能性があることから、FDAではH2ブロッカーとの関連性も今後調べるとのことです。
Pubmed で“Clostridium difficile diarrhea PPI”で検索→リンク
参考:
Stomach acid drugs increase risk of bacterial infections, FDA warns
(FOX NEWS 2012.02.08)
http://www.foxnews.com/health/2012/02/08/stomach-acid-drugs-increase-risk-bacterial-infections-fda-warns/
3月10日 リンク追加
2012年02月09日 10:31 投稿
徳島文理大学 薬学部香川校の提供する副作用診断教育プログラム(e-learning)のE講座「重度の下痢」の中にPPIが出てきていたなぁ・・・・・
慢性下痢は膠原線維性大腸炎(collagenous colitis)とか色々ありうるとしても、薬剤で言えばまず1番にPPIを疑う形になりそうですね
関連記事があなたの健康百科に掲載されています。
胃薬「PPI」服用中の下痢は早急に受診を―米で勧告
(あなたの健康百科2月13日)
http://kenko100.jp/news/2012/02/13/02