グレープフルーツジュースと薬は一緒に飲まないで(米FDA)(Update)

 米FDAは23日、グレープフルーツジュースと医薬品との相互作用について記した、一般向け情報を公表しています。(2017.07.18  に情報の更新が行われています。記事も一部修正しました)

Grapefruit Juice and Medicine May Not Mix
(FDA Consumer Update 2012.02.23、 2017.07.18 Update)
http://www.fda.gov/ForConsumers/ConsumerUpdates/ucm292276.htm
http://www.fda.gov/downloads/ForConsumers/ConsumerUpdates/UCM292839.pdf

 内容は、上記の通りイラスト入りでグレープルーツジュースと医薬品との相互作用についてわかりやすく記したもので、影響がある薬の例として、下記の医薬品を列挙しています。

  • 一部のコレステロール低下薬(アトルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン
  • 一部の降圧薬(ニフェジピン)
  • 一部の免疫抑制薬(シクロスポリン)
  • 一部の抗不安薬(buspirone=本邦未発売)
  • 潰瘍性大腸炎などで使われる一部のコルチコステロイド(ブテゾニド)
  • 一部の抗不整脈薬(アミオダロン)
  • 一部の抗ヒスタミン薬(フェキソフェナジン)

 ジュース(アップルなどの果実も)によって、医薬品の吸収に寄与するトランスポーター(OATP)やP 糖タンパク質に影響を与え、フェキソフェナジン(アレグラ)の輸送を阻害し、作用を減弱させることは結構知られてきていますが、プラバスタチン(メバロチン)については個人的には初耳です

 論文を調べたところ、どうやらこれもトランスポーターを抑制して、作用が減弱されることのようです。(詳しい方教えて下さい)

Differential effect of grapefruit juice on intestinal absorption of statins due to inhibition of organic anion transporting polypeptide and/or P-glycoprotein.
J Pharm Sci. 2011 Sep;100(9):3843-53)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21520088

Influence of grapefruit juice on the pharmacokinetics of diltiazem in Wistar rats upon single and multiple dosage regimens.
Pharmazi. 2009 Aug;64(8):525-31.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19746842

 また、グレープフルーツジュースと同様な代謝阻害の影響を及ぼすものとして、サワーオレンジ(オレンジ・マーマレードを作るのに用いられる)、タンジェロ(タンジェリンとグレープフルーツの交雑種)も避けた方がよいとしています。

 米国では、処方薬のmedication guide や patient information、OTCのラベルでの注意喚起があるようです。

 日本でも、もっと公的機関がこういった情報を発信したらと思いました。

関連情報:
  2008.08.20 フルーツジュースが薬の吸収に影響を及ぼすかもしれない(カナダ研究)

2017.07.22 追記更新


2012年02月24日 13:27 投稿

コメントが3つあります

  1. 既にご存知かもしれませんが、独立行政法人 国立健康・栄養研究所の提供する「健康食品の安全性・有効性情報のホームページ」に関連資料が掲載されています。

    http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail825.html

    文献情報が詳細データ一覧としてまとめられ、PDF形式で掲載されていますので、参考になると思います。
    http://hfnet.nih.go.jp/usr/wadai/grapefruit/detail.pdf

  2. 公的機関ではありませんが、大日本住友製薬のホームページ カル・グレQ&A も参考になると思います。

    http://ds-pharma.jp/medical/ebiz/calgre/list.html#q3

  3. アポネット 小嶋

    情報提供ありがとうございます。勉強します。