米FDAは28日、血糖上昇や記憶障害に関する警告などを含むスタチンについて安全性に関するラベルの変更を認可したことを明らかにしました。
Statin Drugs – Drug Safety Communication:
Class Labeling Change
（FDA Safety Information 2012.02.28）
http://www.fda.gov/Safety/MedWatch/
SafetyInformation/SafetyAlertsforHumanMedicalProducts/ucm293670.htm
FDA Drug Safety Communication:
Important safety label changes to cholesterol-lowering statin drugs
（FDA Drug Safety and Availability 2012.02.28）
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm293101.htm
日本語訳概要（海外公的機関 医薬品安全性情報Vol.10 No.7）
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly10/07120327.pdf
変更点は以下の通りです。
- 記憶喪失、記憶喪失、忘れっぽさ、錯乱など深刻ではない可逆的認知機能に関する副作用の追記
- 血糖値、HbA1c値上昇についてのリスクについての情報の追記
- 肝機能の定期的なモニタリングについては削除
（重篤な肝障害の発生を予測したり、防止するには効果的ではないため。但し、治療開始前に肝酵素の確認は必要） - Lovastatin（本邦未発売）については、相互作用と用量についての制限の追記
FDAでは、スタチンの認知機能への影響については14の研究などをレビュー、また血糖上昇リスクについて9の研究などをレビューし、今回のラベルの変更となったようです。
今回のラベルの変更を受け、各紙は関係者にスタチンの投与の意義についてインタビュー、FDAの担当者は進行中の医薬品監視の一つに過ぎないとのコメントを出す一方、「それでもスタチンを服用する有用性は明白、利益が上回る」などとして、「（今回の注意喚起を持って、）スタチンの処方を躊躇してはいけない」などとした専門家のコメントが紹介されています。
FDAでは、一般向けへの注意喚起も行っています。（日本でもPMDAが薬効群ごとにこういうものをつくらないのかな？）
FDA Expands Advice on Statin Risks
（FDA Consumer Updates 2012.02.28）
http://www.fda.gov/ForConsumers/ConsumerUpdates/ucm293330.htm
血糖上昇のリスクについては、すでに欧州医薬品庁（EMA）や英国医薬品庁（MHRA）が注意喚起ずみですが、FDAでも今回のラベル変更となったことで、今後日本での添付文書がどのように行われるかが注目です。
関連情報：TOPICS
2012.01.14 スタチンと高血糖・糖尿病のリスク（英医薬品庁）
2012.01.11 スタチンと糖尿病発症リスク他（EMA・PhVWP）
参考：
米ＦＤＡ、高コレステロール治療薬・スタチン剤の安全性で警告
（WSJ日本版 2011.02.29）
http://jp.wsj.com/Business-Companies/Technology/node_400389
FDA adds diabetes, memory loss warnings to statins
（Reuter 2012.02.28）
http://www.reuters.com/article/2012/02/28/us-fda-statins-idUSTRE81R1O220120228
Safety Alerts Cite Cholesterol Drugs’ Side Effects
（NewYork Times 2012.02.28）
http://www.nytimes.com/2012/02/29/health/fda-warns-of-cholesterol-drugs-side-effects.html
Statin labels will come with new safety warnings
（CNN 2012.02.28）
http://edition.cnn.com/2012/02/28/health/med-fda-statin-labels/
14:50タイトル直しました 4月1日リンク追加
2012年02月29日 10:50 投稿
