患者向医薬品ガイドの現場での活用促進が必要(PMRJ)

 医薬品医療機器の品質、有効性及び安全性の確保及び向上に寄与することを目的に、レギュラトリーサイエンスの推進に関する幅広い事業活動を行っている「医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団(PMRJ)」(http://www.pmrj.jp/)は8日、患者向医薬品ガイドを活用した医療現場における患者への医薬品・安全性情報提供の改善に向けた提言を行っています。

医療現場における患者への医薬品・安全性情報提供の改善に向けた提言
-特に患者向医薬品ガイドの活用促進について-
(医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団 2012.03.08)
http://www.pmrj.jp/temporary/PMRJ_proposal2_PV.pdf

 患者向医薬品ガイドは、本サイトのKeywordのページ(作成品目のリストは更新していません。リストは下記リンク参照)での紹介の通り、患者等が医療用医薬品を正しく理解し重篤な副作用の早期発見等に供される」ことを目的として、2005年6月から作成が開始(現在330成分2,311品目が作成)されていますが、提言での指摘の通り、医療機関や薬局での現場で利用されることは少なく、またに直接患者に活用されることはほとんどないのが現状です。

患者向医薬品ガイド一覧(PMDA)
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/whatsnew/guideCompanylist/companyframe.html

 そこで同財団では、患者団体、医療関係者、マスコミ及び製薬企業等いろいろな立場からの意見を踏まえ、医療現場における患者への医薬品情報提供の改善に向け、患者向医薬品ガイドの活用促進のために次のような提言を行っています。

  • 外来患者に対して院内で調剤する場合や薬局で調剤する場合は、患者向医薬品ガイドが作成されている医薬品については、調剤時や患者向医薬品ガイドの改訂時に、薬剤師は患者の状態を踏まえ、患者向医薬品ガイドを活用した服薬指導を行う
  • 入院患者のうち、患者向医薬品ガイドが作成されている医薬品については、少なくとも初回処方・調剤時及び患者向医薬品ガイドの改訂時に、医師または薬剤師は患者の状態を踏まえ、患者向医薬品ガイドを活用し、服薬指導を行う
  • 患者向医薬品ガイドの活用を促進させるため、厚生労働省は関係団体と協力して医薬品の使用状況(外来・入院、初回投与・再投与、使用上の注意改訂時)等に応じた医療機関、薬局での「患者への服薬指導等における患者向医薬品ガイドの活用」に係るガイドラインを作成する
  • 患者(国民)への理解促進と周知を行う
  • PMDAのホームページに掲載されている患者(国民)向け情報をよりアクセスしやすいようにホームページの改善を行う
  • 患者向医薬品ガイドの対象品目の拡大及び形態の工夫を行う
  • 医療現場における患者への説明や情報提供を推進するための医療機関、薬局の体制強化する

 日本では、調剤された医薬品に関する患者向け情報というと、施設によっては必要に応じて「くすりのしおり」を活用することはあっても、多くは薬情(医薬品情報提供書)やメーカーが作成したリーフレットなどに留まるのが現状ではないでしょうか。

 不安を与えてコンプライアンスやアドヒアランスが低下することがないよう、薬情において詳しい副作用を記すことは行うべきではないとの風潮が強い日本ですが、海外では添付文書をわかりやすく記した、日本の患者向医薬品ガイドのようなものは、調剤時に添付される(箱出し調剤では初めから入っている)ことが一般的です。

 重大な副作用の防止、被害の最小化のために、患者への安全対策・適正使用が特に必要な医薬品については、適切にリスク情報を提供することは、処方医からの苦言があっても行うべきであり、今回の同財団の提言を踏まえ、医薬品ごとにそれぞれどこまで、どのように(副作用)情報を提供すべきかについて議論を開始する必要があると思います。

患者向医薬品ガイド(PMDA)
http://www.info.pmda.go.jp/guide_ippan/guide.html

関連情報:TOPICS
 2009.03.06 患者さんに渡す「薬の説明書」はどうあるべきか(米国)

患者向け医薬品情報→リンク(更新日が古い点はお許しください)


2012年03月09日 00:34 投稿

コメントが5つあります

  1. でも、これって難しい事言わないで、レセコンメーカーに薬情の標準仕様とするって義務付ければいいだけじゃないですかね?
    多くの医師や薬剤師は、基本的な文章はマスターに入ってるものですから。

    レセコンには高額かけますけど、行政からの指導や基準があるわけじゃないし。

  2. アポネット 小嶋

    そうなんですよ。

    薬情に初めから重大な副作用の初期症状を組み込んであれば、基本的にどの施設でも同じ情報提供が可能だと思うんですけどね。

    でも、現場では余裕がないと患者ごとにアレンジしないで使ってしまうことも考えられるし、何よりも処方元より、「余計なことを言わないで下さい」とクレームがつく可能性があり、実際にはむずかしいでしょう。

    自分だったら、重大な副作用がわかりやすいことばで標準装備されていれば、レセコン選択の際に心が動くかもしれませんけどね。

  3. 調剤だけでなく医科のレセコンにも入るが大前提で書き込みしました。
    医科も、よほど大きい病院でなければメーカーのを修正せず、薬剤師がいても、まずは医事課とDrしか関係しておらず、ほぼ原文そのままでしか出てきません。
    標準にして画面が見れても、印刷するには自分で選ばないとダメって基本設定にすればいいような気がします。

    逆に統一した文書であれば、「薬局さん○○は記載しないように」と患者さんにわからないように連携する事も可能だと思いました。
    同じ表現を共有する事が大事だと。

  4. もちろん医科も標準仕様にして、画面で見ても印刷するには自分でチェックしないといけないように基本設定をしたらいいと思います。

    大きな病院以外は、薬剤師がいても、なかなか薬情やお薬手帳の文章までマメに見てないのが現状のような気がします。診療所は、ほとんどマスターのままではないでしょうか。

    医師と薬剤師が共有できる表現であれば、副作用項目を番号にすれば、Drより何番は患者さんに説明しないようにとか何番は説明済みなど、患者さんにわからないように連携も可能かと。

  5. アポネット 小嶋

    ぼんた様

    スパムチェックをはずすのを忘れていました。

    コメント頂いたのに申し訳ありませんでした。