ニコランジルによる潰瘍はさまざまな粘膜で発現しうる

 日本でも狭心症などに広く使われているニコランジル(シグマート)ですが、重大な副作用として、「口内潰瘍、舌潰瘍、肛門潰瘍、消化管潰瘍」が記載されていることは皆さんもご存じだと思います。20日、これらの潰瘍が、性器や膣などのあらゆる粘膜でも発生しうるとした安全性情報が、フランス保健製品衛生安全庁(afssaps:agence française de sécurité sanitaire des produits de santé→現在はANSM)より発出されています。

Nicorandil et ulcérations graves – Lettre aux professionnels de santé
(ANSM 2012.03.20)
http://ansm.sante.fr/S-informer/Informations-de-securite-Lettres-aux-professionnels-de-sante/Nicorandil-et-ulcerations-graves-Lettre-aux-professionnels-de-sante

Nicorandil et ulcérations graves – Lettre aux professionnels de santé (2012.3.20)  (PDF63 KB)(→Google翻訳

 上記 Google翻訳によれば、ニコランジルの有害事象は、肛門や口内など知られているが、陰茎、包皮、皮膚、ストーマエリア、角膜といった部位での報告も見られ、同一患者の複数個所での発症例があるととのことです。

 また、高用量(20mg/日以上)で多く、重度になると膿瘍や出血などのために入院が必要となることがあるそうです。

 そこで、例によって、PubMedでNicorandil”“ulcer”をキーワードに検索をかけたら、多くの論文や報告がヒットしました。(→検索結果

 膣やペニスなどに発現する潰瘍の報告の他、日本における報告事例もヒットしました。

Nicorandil-induced oral ulceration: report of 3 cases and review of the Japanese literature.
Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod. 2011 Dec;112(6):754-9. Epub 2011 Aug 26.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21872503
http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S1079-2104(11)00360-X
(高齢男性の口腔潰瘍3例、中止により5~9週間で軽快)

Nicorandil-induced tongue ulceration with or without fungal infection.
Odontology. 2012 Jan;100(1):100-3. Epub 2011 May 7.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21553069
(日本では口腔潰瘍は9例の報告があったと書いてあるが欧州ではありふれた副作用とも)

 治りが悪い口内炎がないかといったことはもちろんのこと、他の部位も含めて服用中の人へのさりげないインタビューをして、副作用がないかどうかのチェックが必要かもしれませんね。

関連情報:
医薬品安全性情報 Vol.6 No.13(2008.06.26)
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly6/13080626.pdf
医薬品安全性情報 Vol.6 No.15(2008.07.24)
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly6/15080724.pdf

2014.10.09 リンク再設定


2012年03月21日 23:09 投稿

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