29日、2月と3月に行われたアルコール関連の講習会の資料(スライド)がアップされています。
平成23年度「たばこ・アルコール対策担当者講習会」
(2012年2月29日開催)
http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/houkoku/120329.html
平成23年度アルコールシンポジウム「アルコール問題を考える」
(2012年3月7日開催)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/alcohol/sympo/sympo11.html
担当者の講習会では、国内外の現状と対策がまとまっている下記スライドが興味深いです。
アルコールの有害使用を減らすための戦略について考える
(独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター 院長 樋口 進)
http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/houkoku/dl/120329_5.pdf
以下目についた部分をピックアップすると
- 中高生の飲酒経験はここ10年で大きく減っている
- 一方飲酒者の割合は若年女性で増えており、同年代の男性を凌ぐ勢い
- 酒類の入手規制は、国民の賛同があれば、酒類の入手規制を行った場合その効果は極めて大きい
- 若年者においては、飲酒可能年齢の引き上げは、飲酒量および飲酒問題の低減につながる
- 特に大量飲酒者においては、酒類の入手規制に要する費用の方が、飲酒関連の健康問題対策に要する費用より少ない
- しかし、規制の結果、酒類の闇マーケット活動(たとえば、違法な国外買付、自家醸造、不法輸入など)が活発化する可能性がある
- 酒類の広告・宣伝に反復して暴露されると、飲酒を肯定する考え方が身につき、飲酒量が増加しやすくなる
- 既存のエビデンスによると、この効果は若年者で特に顕著で、飲酒開始年齢を引き下げ、飲酒している若年者の飲酒量を増加させる、ことにつながる
- 酒類の需要・供給に関する規制がほとんどない
「広告規制はメーカーの自主基準のみ」「 距離制限なくなり、小売酒販数は増加傾向」「24時間・365日、いつでも購入可」
そして樋口氏は次のような対策が必要(可能)だとしています
- 法執行の向上(特に未成年者飲酒規制法)
- アルコール産業
・広告・宣伝の自主規制強化
– 例えば、若い女性をターゲットにした
・販売価格の適正化
・酒類の責任ある販売・提供 - 保健医療
・簡易介入の開発・広範な施行
・アルコール依存症の治療方法の向上 - 定期的モニタリングシステムの導入
少量のアルコールは体にいいとの考えもあり、たばこに比べ、対策がどちらかといえば遅れがちですが、やはり何らかの対策は必要のようですね。(日本では薬用酒というのもあるけど、くすりを販売している店舗での酒類販売はどうかと思う)
最近英国では保健省が、酒類の最低価格を設ける様な話があったように思いました。
一方、シンポジウムの方は、下記スライドが興味を引きました。
「アルコールと生活習慣病」
(国際医療福祉大学臨 床医学研究センター教授 堀江義則)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/alcohol/sympo/dl/siryou-02.pdf
肝硬変の成因を地域別に比較すると、アルコール性肝炎の比率が高い地域があるそうです。(沖縄がダントツ、ついで北海道・東北)
2012年03月29日 18:56 投稿