厚労省はこのほど、後発医薬品への疑問に対する厚労省としての科学的見解をまとめたQ&Aを作成しています。WEBからのダウンロードも可能です。
「ジェネリック医薬品への疑問に答えます ~ジェネリック医薬品Q&A~」を作成しました
(厚労省2012年3月30日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000026nso.html
このQ&Aは、中医協の調査で医師から「品質保証が十分であることの周知徹底」を求める声が多かったことなどから、国立医薬品食品衛生研究所、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、日本ジェネリック医薬品学会に所属する学識経験者などの協力を得て作成されたものです。
Q&Aは、下記の疑問に答える形で構成されています。
- ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、先発医薬品とは使用する添加剤が違うのだから、先発医薬品と同じと言えないのではないか。
- 世界で最も進んでいるといわれる日本の医療の中で、どうしてわざわざジェネリック医薬品を普及させる必要があるのか。
- 薬局で、先発医薬品の銘柄が記載された処方せん(変更不可欄に「レ」または「×」の印等の無いもの)をジェネリック医薬品に変更し、その薬を服用した患者に副作用が発生した場合は、誰が責任を負うのか。
- ジェネリック医薬品の承認審査の際に求められる試験項目は、先発医薬品(新薬)の場合と比べて非常に少ない。だから、ジェネリック医薬品は、先発医薬品と比べて有効性や安全性の面で劣るのではないか。
- 厚生労働省が定める基準によると、生物学的同等性試験の許容域を80%~125%としているが、これはすなわち、ジェネリック医薬品と先発医薬品の治療効果が最大45%の範囲で異なるということを示しているのか。
- 注射剤については、承認審査の際に臨床試験(生物学的同等性試験)のデータを求めていないにもかかわらず、なぜ、同等と言えるのか。
- ジェネリック医薬品の原薬は海外の粗悪なものを使っているのではないか。
- ジェネリック医薬品メーカーは、先発医薬品メーカーと比べて1社あたりの製造販売品目が多いので、各品目に対する品質管理が不十分になるのではないか。
- 先発医薬品とジェネリック医薬品が同等であるならば、なぜジェネリック医薬品の薬価は安いのか。やはり、品質が劣るからではないのか。
- ジェネリック医薬品は、先発医薬品に比べてメーカーMRの頻繁な訪問、情報提供が無いため、患者への説明不足、不安が生じないか。
- 厚生労働省は、なぜ一般名処方を推進するのか。
ジェネリック医薬品への疑問に答えます~ジェネリック医薬品Q&A
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000026nso-att/2r98520000026nu5.pdf
2012年03月31日 00:20 投稿
昨日の薬学会でのランチョンセミナーでも、紹介されていました。
このランチョンセミナーでは、国立医薬品食品衛生研究所の活動として、地方衛生研究所の協力を得て実施されている後発医薬品の品質検討の事業紹介等が中心でしたが、かなり、思い切った取り組みがあることが主張されていました。
でも、やっぱり、疑念は残りますよね。
溶出試験が「不適」でも、血中濃度測ったら差が無かったって。
ど素人的考えかもしれませんが、じゃあ、オレンジブックは何のため?最初っから血中濃度だけでいいのでは?って言いたくなります。
ウオッシュアウトしてなくて、本当に信用できるのか?とか。
また、誤解を招きかねない記事が
ジェネリックは本当に安いのか?
「院内処方」「院外処方」で変わる薬の代金
(ダイアモンドオンライン 4月5日)
http://diamond.jp/articles/-/16962
きちんと医薬分業の意義も書いてはいるけど、誤解は多そう。
記事ツイッター・リツイート→リンク
>医療費に差がつくのは患者としては納得しかねるものもある。
>医薬分業がさらに進めば、こうした制度は改められるはずだが、
>今後は公平性が担保された分かりやすい制度に改正されることを
>期待したい。
というのは同感。
薬に関する一部負担は、院内処方と院外処方の負担額を同じにする(というよりとこでもらっても同じにする)という制度を導入することを本当に検討しないと、やっぱり変な方向に行きかねないし、院内処方推進側のターゲットになりかねない。
厚労省のQ&Aもこれについて、きちんと示さないとね。
厚労省は、新たに
「先発医薬品からジェネリック医薬品に切り替えたところ、それまで得られた効果が得られなくなったことがあった。どうしてそのようなことが起こるのか。」
の項目を追加するなど内容の一部を加筆し、再構成したカラー版のものを作成し、公表しています。
ジェネリック医薬品への疑問に答えます
~ジェネリック医薬品Q&A~
(厚労省 2012年7月)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/kouhatu-iyaku/dl/02_120713.pdf
なお、追加したQ&Aについては、
いわゆるプラセボ効果や切り替え効果によるケースもあると思われます。
こうした事例については、「ジェネリック医薬品品質情報検討会」における科学的な検証の対象となり得ます。
としています。