今週になってから気になっている BMJ Open 誌に掲載された報告です。英語に弱いのでどれだけきちんと紹介できるか不安がありますが、今後の地域薬剤師の活動のあり方に一矢を投じるものとして、紹介します。
Understanding public trust in services provided by community pharmacists relative to those provided by general practitioners: a qualitative study
(BMJ Open 2012;2:e000939 published 14 May 2012)(オープンアクセス)
http://bmjopen.bmj.com/content/2/3/e000939.full
この報告は英国内で広がっている地域薬剤師による新しいサービスについて、一般の人がどのように考えているかを薬局利用者・非利用者などを考慮してスコットランド西部の住民26人に対面調査を行い、検討したもので、研究者らは次のように分析しています。
- 薬剤師よりもGPに信頼がある
- 地域薬剤師による役割の拡大の認識は低かった
- 禁煙などの低いリスクのサービスについては支持があったが、なじみの薄いヘルススクリーニング(血圧のモニター)などのハイリスクのサービスについては地域薬剤師に安心して任せることは望まなかった
- ハイリスクのサービスを行うには医療記録にアクセスする必要があるが、アクセスすることでサービスが向上するかどうかははっきりせず、守秘性の問題もある
- 地域薬局によるサービス拡大はGPから指示を得ることによって達成可能となるのではないか
研究者らは、この他に薬局がNHSサービスとともに小売活動を行っていることの適合性や、大手ドラックチェーンの台頭(薬局所有の国際的規制緩和の流れ)についての疑問を住民は持っているとも指摘しています。
限られた人数の対面調査であり、これが一般的な考え方を示したものではないと考えますが、地域薬局の役割の拡大の一方で、医師と薬剤師はどのような役割分担をするか、また、ヘルスサービスを行う上で地域薬局はどのような業務や活動を行うべきかを考えさせられます。(一部住民に、大手チェーン店がこういった活動に力を入れることへの不安がもしかしたらあるのかもしれない)
関連情報:TOPICS 2011.07.28 公衆衛生分野における薬剤師活動の認知と期待はこれから
2012年05月18日 22:25 投稿