CPJ 誌(Canadian Pharmacists Journal)の最新号を見ていたら目に留まった報告です。
Alberta pharmacy students administer vaccinations in the University Annual Influenza Campaign
(CPJ 145(3) pp112-115 2012 オープンアクセス)
http://www.cpjournal.ca/doi/full/10.3821/145.3.cpj112
インフルエンザの予防接種は、一部の国では薬剤師も薬局やヘルスセンターなどで実施しているということは知っていましたが、この報告はアルバータ大学の大学内に設けたインフルエンザクリニックで、看護学生を対象にインフルエンザ予防接種を薬学部の4年生が行っているというものです。(大学のカリキュラムにも入っているとのこと)
大学の記事も出ていました。
Pharmacy students join immunization blitz
(Folio 2011.11.04)
http://www.folio.ualberta.ca/article.cfm?v=103346&i=103606&a=2
注射を実施するに当たっては地域薬局の有資格者10名が監督者として入っているそうですが、これにより、学生の注射の技術の習得や予防接種の必要性についての教育に役立った他、予防接種実施者としての薬剤師の役割や大学や地域における薬剤師の存在感を示すことができたとしています。
一方、上記の報告によれば、米国でも7つの薬科大学で同様のことが行われていて(現時点では具体的な報告例はまだないらしい)、ググったところ、地域住民を対象とした事例もあるようです。(米国における薬剤師によるインフルエンザの予防接種の広がりは、こういった薬学生による参加が大きいのかもしれない)
UTPA Pharmacy Students Provided Free Flu Shots
(KVEO NEWS 2011.10.21)(動画あり)
http://www.kveo.com/news/utpa-pharmacy-students-provided-free-flu-shots
Lawrence-Douglas County Health Department schedules flu shot clinics in area towns
(wellcommons 2011.09.11)
http://wellcommons.com/groups/wellness/2011/sep/21/lawrence-douglas-county-health-epartmen/
KU Pharmacy Students Offer Free Flu Shots In Wichita
(Kakeland 2011.10.15)
http://www.kake.com/news/headlines/
KU_Pharmacy_Students_Offer_Free_Flu_Shots_In_Wichita_131918353.html
Pharmacy students offer free flu shots in Spokane
(Washinton Atate University 2012.01.24)
https://news.wsu.edu/pages/publications.asp?Action=Detail&PublicationID=29810
卒後に備えた実務実習と思えば違和感はありませんが、保健当局の接種キャンペーンに積極的に参加しているところをみると、インフルエンザの予防対策として薬剤師を活用するという認識は確実に広がっていることを感じます。(日本では大学関係者限定でこういったことをすることはできないのでしょうかね?)
話は少し飛躍しますが、現在、薬科大学の授業や卒後教育として行われているフィジカルアセスメントも、おそらくこういった国では一般的な業務となっているのでしょう。
しかし、これを日本で薬剤師の業務として一般化するには、法整備とともに、社会の理解と薬剤師(特に6年制で学んだ) の職能を国がとう生かすかという位置づけも必要です。
現場の私たちや大学関係者は、こういった業務を一般的なものとして認識を広げるために少しづつ具体的なアクションを広げていくことも必要かもしれません。、
2012年05月19日 12:57 投稿