糖尿病患者へのラジレスとARB/ACEの併用、日本は原則禁忌

 昨年末から日本での対応が注目されていた、糖尿病患者へのアリスキレン(商品名:ラジレス)とARBまたはACE阻害薬との併用問題ですが、厚労省は5日、原則禁忌とする添付文書の改訂を指示しました。

使用上の注意改訂情報(平成24年6月5日指示分)(PMDAウェブサイト)

上記によれば、

[禁忌]の項に

アンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンII受容体拮抗剤を投与中の糖尿病患者(ただし、アンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンII受容体拮抗剤投与を含む他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)

を追記し、

[慎重投与]の項に

腎機能障害のある患者においては、血清カリウム値及び血清クレアチニン値が上昇するおそれがあるので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンII受容体拮抗剤との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。

が追記されます。

 FDA、EMAと異なり、「血圧のコントールが著しく不良の患者を除く」との文言が入ったことで、医師の判断でまだ併用ができるということのようです。(今、血圧が安定している人は処方を変更しなくてもよいとの解釈もできる)

 今回の改訂理由について、PMDAでは「臨床試験(ALTITUDE)の中間解析結果に関し、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、改訂することが適切と判断した」とのことですが、それなら、なぜ、「血圧のコントールが著しく不良の患者を除く」との文言が入ったのか、個人的には疑問が残ります。

 アリスキレンフマル酸塩の「使用上の注意」の改訂について
(PMDA 2012.06.05)
http://www.info.pmda.go.jp/kaitei/file/20120605frepno2.pdf

改訂後の添付文書
http://product.novartis.co.jp/ras/pi/RAS1206.pdf

高血圧症治療薬「ラジレス錠150mg」の添付文書改訂(禁忌、重要な基本的注意)について
(ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース 2012年6月5日)
http://www.novartis.co.jp/news/2012/pr20120605.html

Baseline characteristics in the Aliskiren Trial in Type 2 Diabetes Using Cardio-Renal Endpoints (ALTITUDE).
(J Renin Angiotensin Aldosterone Syst. Publishe Online 2012 Feb 14)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22333485

 関連情報:TOPICS
 2012.04.21 米国も糖尿病患者へのアリスキレンとARB/ACEの併用は禁忌に
 2012.02.18 糖尿病患者へのラジレスとARB/ACEの併用は禁忌(欧州医薬品庁)
 2012.01.24 ラジレス情報(カナダ)


2012年06月05日 17:23 投稿

Comments are closed.