18日公表のニュージランドMEDSAFEが発行のPrescriber Update で、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS:Reversible Cerebral Vasoconstriction Syndrome)が薬剤によって誘発される可能性があることが紹介されています。
Reversible Cerebral Vasoconstriction Syndrome?
(Prescriber Update 2012;33(2):14-15)
http://www.medsafe.govt.nz/profs/PUArticles/ReversibleCerebralVasoconstrictionSyndromeJune2012.htm
RCVSという概念は初めて聞いたのですが、WEBでも情報は少なく、ようやく見つけた情報によれば、別名“Call-Fleming 症候群”ともいい、突然の雷鳴様頭痛で発症し、脳動脈の分節状血管攣縮をみとめるものの、短期間で改善をみとめる比較的予後のよい疾患とされています。
また、MEDSAFEによれば、1~3か月の間に繰り返されたりすることもあるようです。
可逆性脳血管攣縮症候群
(脳血管奇形・血管障害・血管腫のホームページ 2009.07.15 2011.07.07 Update)
http://www.komiyama.me/Kodomo/RCVS.html
意外に多い可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)
(脳卒中メモランダム 2011.04.12)
http://stroke-memorandum.blogspot.jp/2011/04/rcvs.html#!/2011/04/rcvs.html
葛根湯加川芎辛夷が誘因と考えられたReversible cerebral vasoconstriction syndrome(RCVS)の1 例
(臨床神経 48:267–270,2008)
http://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/048040267.pdf
正確な診断は専門医が行うことなので、具体的な詳しい症状についてはここでは言及しませんが、上記報告などに示すように、分娩前後や深酒の後の他、薬剤の使用が誘因として知られていることから、MEDSAFEでは関連性ははっきりとはしていないとしながらも、誘因となる可能性がある薬剤について、具体名を挙げて注意を呼びかけています。
セロトニン関連薬 | SSRI、トリプタン製剤 |
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Illicit drugs | 大麻、コカイン、エクスタシー、アンフェタミンとLSD |
エルゴタミン類 | エルゴタミン、メテルギン、リスリド、ブロモクリプチン |
Sympathomimetic drugs | エフェドリン及び関連のダイエットピル |
免疫抑制剤 | タクロリムス、シクロフォスファミド、インターフェロン-α |
その他 | ニコチン・パッチ、ginseng(薬用ニンジン)、インドメタシン、不節制な飲酒、経口避妊薬 |
MEDSAFE によれば、神経病学的合併症は、最大50%の患者で起こるとしており、合併症として、発作やくも膜下出血、虚血性発作と脳内出血などの重篤な例もあるそうです。
また、中年の女性で多く、労作や咳、排便、性行動などをきかっけに起こることが知られているそうです。
何かをきっかけに急激に繰り返し起こる頭痛については、薬剤の使用が原因としたRCVSの場合があることを留意することが必要のようです。
2012年06月18日 14:51 投稿
飲んべえで血糖値の高い小生にとって、「突然の雷鳴様頭痛で発症」は節酒の戒めになります。情報ありがとうございました。