厚労省のHPに関連情報はまだ全て掲載されていませんが、6日、「製造段階から患者使用段階までの総合的な後発医薬品使用促進策の実施」をテーマにした、2日目の「提言型政策仕分け」(TOPICS 2012.07.05)が行われています。
省内事業仕分け(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/jigyo_shiwake/
第6回 厚生労働省版提言型政策仕分け
http://www.mhlw.go.jp/jigyo_shiwake/dl/teigen_06_00.pdf
仕分けではまず、前回委員より指摘のあった事項について、事務局より委員に対し説明が行われています。
前回委員より指摘のあった事項について(資料6)
http://www.mhlw.go.jp/jigyo_shiwake/dl/teigen_06_06.pdf
委員からはいきなり、参照価格制の導入を求める意見が示され、厚労省からは現場から後発品への信頼が得られていないことなどを理由に導入は現時点では難しいことを説明していました。
しかし、委員から入院時食事療養費などの負担のあり方が制度改正されていることから、参照価格制だけを別の問題として考えるのはどうかといった意見も示されるなど、なぜ参照価格制度が導入できないのかの疑問が寄せられました。
議論の結果、提言のとりまとめにあたって、患者自身がより積極的に後発医薬品を選択する仕組みの例として、原案にはなかった「参照価格制度」の検討が盛りこまれることになりました。
提言(取りまとめ)原案
(日刊薬業 行政情報資料、p56-57の部分)
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226560828582
参照価格の導入については、昨年11月の内閣府・行政刷新会議の「提言型政策仕分け」でも、「先発品薬価と後発品薬価の差額の一部を自己負担とするなど、中期的には医療保険上の取扱いを統一化することを目指すべきではないか」とした意見がとりまとめられる(TOPICS 2011.11.22)など、これまでもさまざまな場で導入の検討が行われきました.
会合後、小宮山厚労相はメディアの質問に対し、近く作成する後発品使用促進のための「ロードマップ」に盛り込むことは考えていないものの、検討する仕組みは必要との認識も示したそうです。
今回、後発発医薬品の使用促進策との視点で提言に盛り込まれることになったことから、そんなに遠くない将来、「参照価格」の導入が実際に行われる可能性が出てきました。
参照価格制度についての関連記事:
日本型参照価格制度(札医通信 2009.11.20)
http://www.spmed.jp/14_kankei/qa_pdf/09_qa/qa_H0911.pdf
ジェネリック医薬品普及策として、またぞろ浮上「参照価格制度」
(集中 CONFIDENTIAL 2012.07.06)
http://medical-confidential.com/confidential/2012/07/post-428.html
参考:
医薬品の「参照価格制度」の再検討も- 厚労省・政策仕分けが提言
(医療介護CBニュース 7月6日)
http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=37624
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120706-00000007-cbn-soci
省内仕分け 参照価格制度、大臣主導で検討提言
(日刊薬業WEBフリーサイト 7月9日)
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/gyosei/article/1226569058201.html?pageKind=outline
m3. com 医療維新(7月6日 要会員登録)
http://www.m3.com/iryoIshin/article/155558/
RISFAX 7月9日
http://www.risfax.co.jp/risfax/article.php?id=38819
7月10日 22:15更新 11日14:55更新
2012年07月09日 22:39 投稿
動画がアップされたので、内容を確認して記事を更新しました。
小宮山厚労相は、参照価格制度の検討については直接言及していませんでしたので、記事を訂正しました。
委員からは「品目数を整理統合する」という意見も出されています。提言に盛り込んで欲しかったですね。(厚労省はさらっと個別意見扱いにしてしまった。そもそも後発品の実態数は少ないのだから、現場としては盛り込んで欲しかった)
最終的な提言がアップされました。
テーマ:
製造段階から患者使用段階までの総合的な後発医薬品使用促進策の実施 提言(取りまとめ)
http://www.mhlw.go.jp/jigyo_shiwake/dl/teigen_06_08.pdf
注目点は、以下です。
【コスト意識や経済的なインセンティブ】
後発医薬品の使用率について、医師や医療機関などの薬を提供する側の経済的なインセンティブに依存する面が大きいと考えられる。これまでのインセンティブの効果についての検証を行い、インセンティブのより効果的な付与について検討すべきである。
また、後発医薬品の利用が進まない一因として、国民が品質に不安を感じていることに加え、選択するインセンティブが低いということも考えられる。患者自身がより積極的に後発医薬品を選択する仕組み、例えば、参照価格制度の検討が必要である。その際、現在の定率の患者自己負担では、後発品の経済的インセンティブが十分に働いていないことから、コスト意識が一層涵養されるような自己負担の在り方についても、海外制度の事例も参考にしながら検討すべきである。
(評価シートに記載された各委員の提言内容)
在庫管理の負担軽減および流通効率アップのために、品目数の上限を定めて整理統合することや、一般名使用のインセンティブを高めるなど、流通品目の削減に積極的に取り組むべきである。
後発品シェアの将来目標を明確にしたうえでロードマップを定め、抜本的な取組みをすべきである。