現時点では紹介記事が出ていませんが、気になったので抜粋してみました。(薬剤師関連のstudyについて、一部については下記のスタイルで紹介しています。記述法などに誤りがございましたらご指摘下さい。)
研究の目的 | ARBやACE阻害薬の使用と肺炎の発症に関連性があるかどうか |
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研究の方法 | システィマティックレビュー&メタアナリシス |
どんな患者が研究の対象? | 18のRCT、11のコホート研究、2つのnested case-contorol studies 、6つのcase-contorol studies の 37研究のデータ |
何を指標? | ARBまたはACE阻害薬の使用している人 |
何と比較? | ARBやACE阻害薬を使用していない人 |
アウトカム | 肺炎の発症率(2次アウトカムとして肺炎関連による死亡率) |
わかったこと | ・ACE阻害薬の使用者では肺炎リスクが34%減少 (ARBの使用の有無には関連なかった) ・ACE阻害薬の肺炎リスクはARBの使用と比較して30%減少 ・発作の既往歴者ではACE阻害薬の使用で肺炎リスクが54%減少 (ARBと比較すると58%減少) ・心不全の場合には肺炎リスクが37%減少 ・慢性腎臓病の場合には有意差がなかった ・アジア人に限るとACE阻害薬の使用で肺炎リスクが57%減少 (11の研究が日本人などアジア人を対象としたものから独自に解析) ・肺炎による死亡率はACE阻害薬の使用で27%減少していたが、RCTに限ると有意差はなかった |
コ メ ン ト | ACE阻害薬の副作用である空咳で誤嚥性肺炎(特に脳卒中の後遺症としての嚥下障害関連)が予防できる可能性があることを裏付けるような内容となっています。研究では、アジア人で有意にリスクが減少することから、遺伝子が関与する可能性も示唆されていますが、現時点ではこの理由ははっきりとはわからないとしています。研究者らは、空咳の副作用が許容できるなら、肺炎のリスクがある人には(費用の高いARBより)ACE阻害薬を使用する意義があるとしています。 |
論 文 名 | ResearchRisk of pneumonia associated with use of angiotensin converting enzyme inhibitors and angiotensin receptor blockers: systematic review and meta-analysis |
掲載雑誌等 | BMJ 2012; 345 doi: 10.1136/bmj.e4260 (Published 11 July 2012) |
リ ン ク | http://www.bmj.com/content/345/bmj.e4260 |
2012年07月12日 13:24 投稿
関連・記事、ブログです.
私も薬価から考えて、ACE阻害薬をもっと使ってもいいと思いますね。
ACE阻害薬またはARBは肺炎を予防できますか?
(地域医療の見え方 7月11日)
http://syuichiao.blogspot.jp/2012/07/acearb.html
(17:15追記)
肺炎リスク低減が大きいのは脳卒中患者とアジア系人種
(MT PRO 7月11日 要会員登録)
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1207/1207033.html