日経の6日の電子版に、クオールが西日本旅客鉄道(JR西日本)と組み、主要駅構内に調剤薬局を出店するという記事が出ています。(全文は見ていませんが)
日本経済新聞8月6日
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGF0306U_W2A800C1EB2000/
業務提携に関するお知らせ(クオール株式会社8月6日)→リンク
最近は、駅構内のドラッグストアというのは当たり前の光景となっていますが、記事によれば、通勤・通学客が行き交うという立地の強みを生かして、改札内(本当の意味での駅ナカ)に調剤薬局を構えて、広域医療機関からの処方箋を獲得する狙いがあるとしています。
ただ、保険薬局(保険医療機関)となると、平成8年の通知では、趣旨は異なるものの、薬局は公道に面している必要があるとの記載があり、本当に可能なのかどうか疑問に思いました。
○保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について
(平成8年3月8日)(保険発第二22号)(→リンク)
第二 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和三二年厚生省令第一六号)の一部改正に関する事項
一 健康保険事業の健全な運営の確保(第二条の三)関係
(一) 平成六年の保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部改正において、「調剤薬局の取扱いについて」(昭和五七年五月二七日薬発第五〇六号、保発第三四号)に基づき行われていた保険薬局の保険医療機関からの独立性に関する取扱いを明確化する観点から必要な改正が行われたところであるが、その後も、保険薬局の保険医療機関からの独立性に関して問題のみられる事例が発生し、社会問題化している実情に鑑み、保険薬局は保険医療機関と一体的な構造とし、又は保険医療機関と一体的な経営を行ってはならないこと、及び、保険薬局は保険医又は保険医療機関に対し、患者に対して特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行うことの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならないことを明確化するものであること。
(二) この場合において、保険医療機関と一体的な構造とは、保険薬局の土地又は建物が保険医療機関の土地又は建物と分離しておらず、公道又はこれに準ずる道路等を介さずに専用通路等により患者が行き来するような形態のものをいうものであること。また、保険薬局の独立性の確保の観点からは、いわゆる医療ビルのような形態は好ましくないが、このような場合にあっては、当該建物について、患者を含む一般人が自由に行き来できるような構造になっている旨を十分に確認すること。加えて、このような形態の場合には、患者誘導が行われるような実態のないよう、併せて留意すること。
改札内といえば、切符や定期を持っていなければ入れないところと考えるのが自然です。
これまでに、改札内に診療所や歯科医院、保険薬局などの保険医療機関が認められたという前例はあるのでしょうか?
切符や定期を持っていない人でも薬局を利用できるという構造であれば、保険薬局の許可は下りるとは思いますが、もしそういった構造でなければ、その鉄道会社の利用者しか入れない駅の改札内は特定の人しか通らない道(=公道ではない)なので、無理と考えますがいかがでしょうか?
日経の飛ばしの記事なのか、それとも当局に確認をとって保険薬局の許可が下りるということがはっきりしているのか、今後の報道を待ちたいと思います。
2012年08月06日 17:52 投稿
問題は駅ナカ通路が、「公道又はこれに準ずる道路等」に該当するか否かです
ね。
高速道路のサービスエリア、ディズニーランド、等々の構内通路と同様、公道に準ずるとするのが普通の感覚でしょう。
駅ナカで、仮に隣接して診療所があったとしても、処方箋を受け取った患者が保険薬局を選ぶ自由は損なわれていません。
(近い薬局を選ぶ傾向はある。しかしそれは街ナカと変わらない。)
(駅への入場は有料だが、それは薬局の利用料ではない。)
現行法で考える限り、否定し難いと思います。
公道又はこれに準ずる道路に面するか否かは、医療機関との独立性を問われた場合なので、この問題には該当しない気がします。
(>この場合において・・・・と文章があるので)
おおむね医療機関に来た人のみが使う道であってはならないので、不特定多数が行き来する道なら問題ないと思います。
ただそれはこの通知に関してであって、駅構内の慌しい環境で十分な服薬指導が可能かどうかは個人的には疑問です。
「今電車来るんだからはやくして!急いでいるんだ!」って薬だけとって行く患者さんが多いのではないでしょうか?そんな環境で薬局を開設し処方せんを受けるのは問題だと思います。
コメントありがとうございます。
お二人のコメントを読ませて頂いて、公道うんぬんで開設を認めないと解釈するのは少し行き過ぎだと思いました。
こじづけと言われそうですが、もう一つ、保険医療機関としての指定の取扱いについて、最近次のような通知がありました。
特別養護老人ホーム等の医務室に係る保険医療機関の指定の取扱いについて
(厚生労働省保険局医療課2012.03.26)
http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/iryo_hoken/santei/documents/0383.pdf
特別養護老人ホーム等の医務室を医療機関として認めるかどうかの解釈を示したもので、微妙な表現ですが、「全ての被保険者に対して開放されている等必要な要件を満たす場合には、保険医療機関として指定を行うことが可能である」となっていて、これを保険薬局の指定にあてはめたらどうなるのだろうと思いました。
大阪駅や新宿駅など巨大な駅ナカ(改札内)であればおそらくニーズはあるとは思いますが、駅ナカ利用者は限られた時間を有効に利用したいという場合が少なくないと思います。
中には、保険調剤を、日用雑貨やOTC医薬品の購入など、コンビニ的な感覚で利用する方もいるかと思います。
それ自体は悪いこととは言いませんが、ぼんたさんが指摘するように、服薬指導など、保険医療機関としてその機能をきちんと果たせるかどうかは疑問があるところですね。
何でも利便性が追及される時代ですから、厚労省はこういったことにも早めに解釈を示した方がいいと思います。
1993年の薬局業務運営ガイドラインでも、薬局の開設許可に関わる構造設備の指導基準に「薬局は利用者の便に資するよう、公道に面していること」との記載があります。
○薬局業務運営ガイドラインについて
(平成五年四月三〇日)
(薬発第四〇八号)
(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kenkou/iyaku/sonota/kakaritsuke/files/guide.pdf
但し、その一方で「ただし、ビルの一室であっても、地下商店街のように不特定多数の人が自由に出入りできるところは差しつかえない。(平成5.4.30薬企発第37号)」とした附則もあり、やはり、駅ナカ(改札内)が果たして、不特定多数の人が自由出入りできるところであるかどうかの判断がカギになると思います。
滋賀県薬局開設等許可審査基準および指導基準
(平成23年10月 滋賀県健康福祉部医務薬務課)
http://www.pref.shiga.jp/data/kijun/shinsa/files/yakkyokutoukikyun.pdf
(各県に同様のものがありWEBにアップされています)
埼玉県のもの
http://www.pref.saitama.lg.jp/uploaded/attachment/398592.pdf
反論するようで大変申し訳ないのですが・・・・
この薬局業務運営ガイドラインは過去の物のような気がします。
p5に薬局は調剤のみではいけないと明記されていて、これが出た当初は確かに保健所からそのような指導がありましたが、すぐにそんな話は消え、今は「調剤のみ」の薬局が結構あると思います。
このガイドラインが適切に守られていれば、1類販売等今回の薬事法にも対応が少し変わっていたのではないか?と感じていました。
薬局と保険薬局はきちんと線引きを考えないといけない気がします。
個人的には、医療提供施設として医療法に何らかの記載をしてもらうのも一案かと思っています。
滋賀県のは詳しいので勉強になりました。
駅構内=改札内ではないのでは?
駅構内(改札外)の事例は福岡にあります。
http://www.ohga-ph.com/shop/shop.php?id=86
駅構内ということならば、横浜市営地下鉄センター南駅の入る駅ビル内に、あの日本調剤の直営店が昨年店開きしています。