日本感染症学会は20日、病院や高齢者施設でインフルエンザが疑われる患者が発生した場合の抗ウイルス薬の予防投与の考え方などをまとめた提言を公表しています。
社団法人日本感染症学会提言2012
~インフルエンザ病院内感染対策の考え方について~
(高齢者施設を含めて)
(2012.08.20 日本感染症学会)
http://www.kansensho.or.jp/influenza/1208_teigen.html
http://www.kansensho.or.jp/influenza/pdf/1208_teigen.pdf
この提言は、病院や高齢者施設におけるインフルエンザ流行の被害が大きい現状を踏まえ、感染症対策の一環として加えられたもので、インフルエンザ患者が発生した場合の「予防投与」(=post-exposure prophylaxis:曝露後予防投与)の指針が示されています。
- 入院患者でインフルエンザ感染・発症が疑われた場合には、ただちに個室に隔離する。インフルエンザ患者の発生が1つの病室に留まっている場合は同意取得の上、その病室に限定して抗インフルエンザ薬を予防投与を行う。
- 多数のインフルエンザ患者が発生した状況では、インフルエンザ患者を集め大部屋に収容することも対応として考慮する。
- 高齢者施設等の集団居住施設では、インフルエンザ様の患者が2~3日以内に2名以上発生し、迅速診断でインフルエンザと診断される患者が1名でも発生したら、施設や入所者の実情に応じて同意取得を心がけたうえで、フロア全体における抗インフルエンザ薬予防投与の開始を前向きに考慮する。
- インフルエンザ感染後のまだ症状がない潜伏期間中であっても、発症の1日前から感染力があると考えられているので、可能であれば、インフルエンザ初発患者の発症から12~24時間以内とすべき。
- 予防投与の期間は7日間から10日間とし、オセルタミビルは1回1カプセル、1日1回内服とし、ザナミビルは1日1回吸入とするが、高齢者では発症しているか潜伏期なのか判断できないような場合があり、このような時は、当初、オセルタミビルやザナミビルは治療量で開始することも考慮する。
同学会の提言によれば、同様の指針(勧告)は各国で既に示されているそうです。
Antiviral Agents for the Treatment and Chemoprophylaxis of Influenza
Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP)
(米CDC Recommendations and Reports January 21, 2011)
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/rr6001a1.htm
Pharmacological treatment and prophylaxis of influenza
(英国 Health Protection Agency:.January 2011)
http://www.hpa.org.uk/webc/HPAwebFile/HPAweb_C/1287147812045
参考:
NHK NEWS WEB 2012.08.21
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120821/k10014428481000.html
2012年08月21日 17:20 投稿