いつもチェックしている、集中・MEDICAL CONFIDENTIAL に掲載されていた、浜六郎氏執筆の記事が目に留まりました。
浜六郎の臨床副作用ノート ~プレガバリン(リリカ):乱用と中毒~
(集中・MEDICAL CONFIDENTIAL 2012.08.24)
http://medical-confidential.com/confidential/2012/08/post-432.html
浜氏は、フランスの独立系の医学雑誌を発行する団体Prescrire が発行する雑誌記事などをまとめ、プレガバリンはベンゾジアゼピン剤とカルシウム拮抗剤の両面を有すると考えられ、またGABA神経系を促進し、臨床的に依存・乱用・中毒・離脱症状が出現するなどの注意喚起を行っています。
Gabapentin and pregabalin: abuse and addiction.
(Prescrire Int. 2012 Jun;21(128):152-4.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22822593
Beware of abuse and dependence with gabapentin and pregabalin
http://english.prescrire.org/en/81/168/47879/0/NewsDetails.aspx
プレガバリンに依存や乱用は確か、なかったはずと思い、改めてググったところ、カナダの CADTH(Canadian Agency for Drugs and Technologies in Health、医薬品や医療技術の評価機関?)も同様のレポートを出していました。
Abuse and Misuse Potential of Pregabalin: A Review of the Clinical Evidence
(CADTH Rapid Response Report: 24 April 2012)
http://dpic.org/sites/default/files/PregabalinAbuse_CADTH_24Apr2012.pdf
浜氏が紹介し、上記にも記されていた、2010年にスウェーデンの医薬監視制度が、2008年と2009年に受理したプレガバリン依存と乱用に関しまとめたレポートもFULL-TEXTで見つかりました。
A signal for an abuse liability for pregabalin–results from the Swedish spontaneous adverse drug reaction reporting system
(Eur J Clin Pharmacol. 2010 Sep;66(9):947-53. Epub 2010 Jun 19.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20563568
http://peer.ccsd.cnrs.fr/docs/00/60/15/60/PDF/PEER_stage2_10.1007%252Fs00228-010-0853-y.pdf
フランスでは、今年行われた学会で乱用を懸念する発表も
Is pregabalin abused in France ?
http://www.atout-org.com/p2t2012/abstract_display!fr!!!!dd2c6eaa-6d54-102f-b1e6-855e464587d5!session32
いろいろと論文や報告にあたってみたのですが、薬物依存歴(アルコールも含む?)がある人でリスクが高いようで、少なくとも「トラムセット配合錠」のような注意喚起(慎重投与:薬物の乱用又は薬物依存傾向のある患者[依存性を生じやすい。])も必要ではないかと思いました。
実際、リリカカプセルの申請資料概要(→PMDA)を見ると、米国(p52-53)では添付文書で「医師は薬物乱用歴を評価し、本剤の誤用や乱用の兆候がないかどうか患者を観察する」と注意喚起(中止時、1週間かけて漸減ということ自体、身体依存=離脱症状とみることができるらしい)、また欧州(p85)でも製品特性概要で「乱用の症例が報告されている。薬物乱用の既往がある患者には注意し、プレガバリン乱用の兆候について観察すべきである」としています。
HIGHLIGHTS OF PRESCRIBING INFORMATION(Revised: June 2011)
http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/
2011/021446s026,022488s005lbl.pdf
(Medication Guide でも、過去に処方薬やストリートドラッグの乱用、アルコール乱用(依存)していた人は服用前に相談するようにとなっている)
Product information(EMA 2012.01.30 Update)
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/
EPAR_-_Product_Information/human/000546/WC500046602.pdf
ちなみに日本では、最新の添付文書でも「乱用」や「依存」といったについての文言はなく、またインタビューフォーム(2012年7月 第6版)では、「プレガバリンは、乱用又は身体的依存を生じにくい」とした記載しかありませんでした。(いいのかなあ?)
TOPICS:
2012.07.11 リリカの添付文書が変更
2010.11.01 リリカの適応症が追加(研究会学習メモも)
8月25日 9:10リンク追加
2012年08月25日 01:05 投稿