表題 |
概要 |
The science of prescribing (pages 559–560) |
今回の特集号の概要を紹介 |
A national in-patient prescription chart: the experience in Wales 2004–2012 (pages 561–565) |
ウェールズで2004年以降に使用されている“national prescription chart”の意義について紹介したもの。入院患者に使用されている“Wales in-patient medication administration record”(急性期・長期療養・小児・学生(実習用?)などの種類がある。こういった形で標準化されているのかなあ?) |
Balanced prescribing – principles and challenges (pages 566–572) |
英国薬理学会がまとめたTen principles of good prescribing(バランスがとれた処方を行う10の原則)を紹介したうえで、「投薬計画を策定の方法」「処方せん作成時の留意点」「モニタリングの際の留意点」「患者や介護者と接する際の留意点」などが記されています。 |
Medication reviews (pages 573–580) |
NHSで行っている“Medication Review”の紹介。Medication Review には次の3つのアプローチがあるという
(詳細はこちら→A Guide to Medication Review 2008)
- Prescription review
医薬品や患者の安全性の臨床的および費用対効果を向上させることを視点に
- Compliance and concordance review
患者の服用に関する考えを視点に
- Clinical medication review
症状や基礎疾患など患者の背景を視点に
そして、現在NHSによって行われている下記サービスについて解説しています。
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Prescribing and partnership with patients (pages 581–588) |
書面による医薬品情報が患者が求めているではないとしたレビュー(→Health Technol Assess 2007; 11: 1–178.)を踏まえて生まれたPatient information leaflet(→MHRAウェブサイト)など、パートナシップによる処方が可能となるよう取り組まれている患者向け情報の状況、また患者に対応すべく医療専門職側の必要な準備などが記述されている他、セルフケアに必要な7つの原則(→common core principles to support self care)などが紹介されている。 |
Concept-based learning of personalized prescribing (pages 589–596) |
一人一人によって異なる処方を行う場合の留意点をまとめたもの。また、これを可能とするための教育法についても触れている。 |
A review of medication incidents reported to the National Reporting and Learning System in England and Wales over 6 years (2005–2010) (pages 597–604) |
6年間のインシデントレポートをまとめたもの。6年間で526,186件(全体の9.68%)の薬関連の報告があり、このうち死亡(271件、0.05%)または重篤な危害(551件、0.1%)となった。原因薬物を調べると、オピオイド、抗生剤、ワルファリン、低分子ヘパリン、インスリンなどが上位を占めた。 |
How could undergraduate education prepare new graduates to be safer prescribers? (pages 605–613) |
実際の現場における処方の複雑について、どのような学部教育がおこなわれているかどうかを文献でのレビューで行ったもの。 |
How clinical decisions are made (pages 614–620) |
診断を行い、処方の決定に当たってはEBMが重視されるが、実際の現場ではギャップが少なくない。そういったギャップを埋めるために、2つのプロセスがあるという。また現代医療においては、patient decision aids (患者が意思決定の支援ができるよう、医療者向けに作られた治療薬のエビデンスの概要)を用いて、意思決定を患者と共有することも求められている。
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e-Learning initiatives to support prescribing (pages 621–631) |
処方技術などを得るためのe-ラーニングについて、その概要と意義について紹介している。 |
Assessing prescribing competence (pages 632–639) |
処方技術が得られているかどうかを評価する方法について記載。最も有効な方法として、オンラインによるOSCEの事例を紹介している。 |
Local formularies (pages 640–643) |
local で利用されている処方集(formulary)を活用することの意義と問題点についてが記されている。下記などがある(関連ページにリンク。英国内Onlyやログインが必要なサイトもある)
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Prescribing and the core curriculum for tomorrow’s doctors: BPS curriculum in clinical pharmacology and prescribing for medical students (pages 644–661) |
処方を行うには知識・判断・技術を合わせた複雑なプロセスが要求されるが、これを可能とするための医学部の学部教育のあり方を記したもの。「principles of clinical pharmacology(臨床薬理学の原則)」「essential drugs(必須医薬品)」「essential therapeutic problems (必須となる治療上の問題)」「prescribing skills(処方技術)」の4つの学習目的を示して、どのようなカリキュラムが必要を記している。英国薬理学学会では、安全かつ有効な処方のためのコアカリキュラムを2003年に策定してる(→Br J Clin Pharmacol. 2003 June; 55(6): 496–503.) |
Educating nonmedical prescribers (pages 662–667) |
英国では看護師、薬剤師などの医師以外にも処方権が拡大していますが、これら医師以外の処方者への教育やトレーニング、処方の質や課題について記されています。(これが最も興味深い)
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Prescribing errors in hospital practice (pages 668–675) |
院内における処方過誤についてのレビュー。処方過誤は、手書きで約15%、電子処方でも最大8%の報告があり、入院開始時に多い。電子処方が過誤の数を減らすというエビデンスもあるが、一方で新しい種類の過誤も発生する。処方雅語の原因は手書きと電子処方で一部については共通性を示すが、各々に特有である原因もある。 |
Safe prescribing: a titanic challenge (pages 676–684) |
タイタニック号の悲劇を引用して、安全な処方を行うことの留意点をまとめたもの。 |
Monitoring medicines use: the role of the clinical pharmacologist (pages 685–690) |
薬剤疫学、ファーマコビジランス、副作用報告、患者データベース、処方過誤の原因分析など、臨床薬理学者が行うべき医薬品使用におけるモニタリングの必要性について記されている。 |
Prescribing without evidence – pregnancy (pages 691–697) |
妊娠中の医薬品の使用についての留意点についてまとめています。「妊娠による薬物動態の変化」「胎盤を通過する薬剤」などの項は興味深い |
Personalized medicine: is it a pharmacogenetic mirage? (pages 698–721) |
薬物動態における遺伝子との関わり(特に代謝酵素)について解説したもの |
表の概要をみて、関心のあるところをダウンロードしました。
膨大な情報をサマライズして頂き有難うございました。