調剤ポイント付与禁止に関する通知(Update2)

 15日のTOPICSで、調剤ポイント付与禁止の10月実施が事実上先送りされるとした報道が出ていることを紹介しましたが、14日発出の通知が関東信越厚生局のウェブサイトに18日掲載されています。

保険医療機関及び保険医療養担当規則及び保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部改正に伴う実施上の留意事項について(平成24年9月14日保医発0914第1号)
http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/info/2012/documents/h24_0918_01.pdf

保医発0914第1号
平成24年9月14日

地方厚生(支)局医療課長 殿

厚生労働省保険局医療課長

保険医療機関及び保険医療養担当規則及び保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の
一部改正に伴う実施上の留意事項について

 標記については、保険医療機関及び保険医療養担当規則及び保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部を改正する省令(平成24年厚生労働省令第26号)が公布され、平成24年10月1日より適用されるが、本改正の趣旨は下記のとおりであるので、その取扱いに遺漏のないよう貴管下の保険医療機関及び保険薬局に対し、周知徹底をお願いいたします。

 本改正は、保険薬局における調剤一部負担金に対するポイント付与が行われている事例が認められたことに鑑み、次の考え方を踏まえ、一部負担金等の受領に応じて専らポイントの付与及びその還元を目的とするポイントカードについては、ポイントの付与を認めないことを原則とするものです。

  • 保険調剤等においては、調剤料や薬価が中医協における議論を経て公定されており、これについて、ポイントのような付加価値を付与することは、医療保険制度上、ふさわしくない。
  • 患者が保険薬局等を選択するに当たっては、保険薬局等が懇切丁寧に保険調剤等を担当し、保険薬剤師等が調剤、薬学的管理及び服薬指導の質を高めることが本旨であり、適切な健康保険事業の運営の観点から、ポイントの提供等によるべきではない。

 ただし、現金と同様の支払い機能を持つクレジットカードや、一定の汎用性のある電子マネーによる支払いに生じるポイントの付与は、これらのカードが患者の支払いの利便性向上が目的であることに鑑み、当面、やむを得ないものとして認めることとしますが、その取扱いについては、引き続き年度内を目途に検討することとしているので、ご留意願います。

 確かに、禁止の徹底というのは求めていませんが、逆にこの内容だと、解釈をいくらでもすることができ、厚生局によっては厳しい指導があるのではないかと思います。

関連情報:TOPICS 2012.09.15 調剤ポイント付与禁止、10月実施は事実上先送り?

9月19日 15:17、9月20日 13:09 コメント追加


2012年09月18日 22:49 投稿

コメントが11つあります

  1.  この通知であれば、突っ込みどころ満載ということでしょうか?
    「一部負担金等の受領に応じて専らポイントの付与及びその還元を目的とするポイントカード」これに限定するということならば、限定するものではないということで、除外されると言い張れる?
    「現金と同様の支払い機能を持つクレジットカードや、一定の汎用性のある電子マネーによる支払いに生じるポイントの付与は、これらのカードが患者の支払いの利便性向上が目的であることにかんがみ、当面、やむを得ないものとして認める」とするが、「調剤料や薬価が中医協における議論を経て公定されており、これについて、ポイントのような付加価値を付与することは、医療保険制度上、ふさわしくない」とすることとの整合性が取れないのではないか?
    「その取扱いについては、引き続き年度内を目途に検討する」その結果により、禁止もありうる?

  2. アポネット 小嶋

    本来なら、この通知は周知として4月の時点で出されているものですよね。

    「ポイントを付与している施設には中止するよう指導せよ」(省令の実施であれば、本来ならこういった文言が入っていて当然)とは書いていないので、確かに先送りとも読めなくはないですが、だからといって、まだポイントを継続してもかまわないと各メディアが解釈するのはどうなのでしょう?(特に日経)

    ポイントを付与している施設がこれからたまたま個別指導などにあたったら、「ポイント付与をやめない場合には、保険薬剤師および保険薬局の指定取り消しもあります」とでも指導するのでしょうか? (これまでの療担規則等に従えばそうなるけど)

  3. アポネット 小嶋

    日本チェーンドラッグストア協会(http://www.jacds.gr.jp/)は19日、今回の通知に対するコメントを発表しています。

    同協会では、「法の上の公平性から問題になっていた、汎用クレジットカードや電子マネーについて、本年度を目途に検討するとの内容が記載されております。したがって、私たちは運用の平等性により、現行の調剤ポイント付与継続については来年3月まで可能であると判断しております。」として、ポイント付与の継続を明らかにしています。

    保険医療機関及び保険医療養担当規則及び保険薬局及び
    保険薬剤師療養担当規則の一部改正に伴う業界対応について
    ~調剤ポイント付与禁止の省令施行に関する業界対応~
    (日本チェーンドラッグストア協会 広報担当 2012.09.19)
    http://www.jacds.gr.jp/press/newsrelease_105.pdf

    また一時、訴訟の検討もしていた同協会ですが、

    ・それまで、高圧的な対応を行ってきた厚生労働省保険局医療課が、この半年間誠意ある対応と話し合いを行ってきたこと。
    ・しかし、この話し合いによって進展または納得したものはまだなく、現実(実施) を考慮した更なる話し合いが必要であること。
    ・業界内でも、大幅な調剤ポイントの付与またはポイント付与による競争は好ましくないという認識があること。
    ・現時点において、法廷の場で争うことは、企業の対応は言うに及ばず消費者や顧客に多大な迷惑と混乱を与えることになること。
    ・厚生労働省保険局医療課に、ポイント付与の状況や汎用クレジットカードや電子マネーなどの扱いについて、これからの半年間、柔軟な対応と継続して話し合いを行うことを確認したこと。

    として、即時に訴訟(地位確認、ポイントの公平性、事業補償、など) に至らなかったとしています。

    調剤ポイント付与をめぐる動きと対応
    (日本チェーンドラッグストア協会)
    http://www.jacds.gr.jp/chozai_point/index.htm

  4. アポネット 小嶋

    日薬は20日の定例記者会見で、都道府県薬剤師会会長宛てに、今回の通知に対して、「経過措置期間を設けるという趣旨ではありません」とした通知を発出しています。(資料のアップが早かった)

    保険医療機関及び保険医療養担当規則及び保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部改正に伴う実施上の留意事項について
    (日薬定例記者会見資料 9月20日)
    http://www.nichiyaku.or.jp/press/wp-content/uploads/2012/09/120920_1.pdf

    実際にポイントを付与しているところがあるのだから、はっきりと「ポイントを付与している施設は行わないように」といった文言は書けなかったのですかね?(やっぱりチェーンドラッグストア協会への配慮?)

    厚労省 調剤ポイントで玉虫色の留意事項通知
    (RISFAX 9月20日)
    http://www.risfax.co.jp/risfax/article.php?id=39375

  5. 岡本 邦子

    このままだとまた、イチャモンつけてポイント付与です。永久にかもしれません!!
    厚労省や日薬など、足元にも及ばないずる賢い手を考えてきます。そういうのは
    おちゃのこさいさいですから。
    一部大手のJACDSの教育はしっかりされていますが、それ以外のAPO達は生涯学習なんてしなくていいと思っている人達がほとんどです。
    顧客をポイントで集客すればいいので、これほど楽な事はありませんよ。
    厚労省もなぜ、きつくいわないのか???いつまで続く”キツネ”と”タヌキ”の馬鹿試合???

  6. しょうちゃん

    この調剤ポイントの問題
    藤井もとゆき議員「質問主意書」の時点から、きな臭いことだらけで、今回の通知文書もお役人特有のナントでも解釈できる文書ですね。調剤ポイント禁止で通知「経過措置の趣旨ではない」旨を会員に通知するようですが、本当に大丈夫ですか??

  7. アポネット 小嶋

    改めて、この通知文で3月までどうしてOKということになってしまうのでしょうね。

    調剤ポイント  ドラッグストア大手各社、10月以降も継続の方向
    (日刊薬業WEB フリーサイト 2012.09.21)
    http://nk.jiho.jp/servlet/nk/kigyo/article/1226570085310.html?pageKind=outline

    ドラッグストア協会は高圧的な指導だったら即裁判だそうです。

    ドラッグストア協会 調剤ポイント、高圧的な指導なら「即裁判」
    (RISFAX 2012.09.24)
    http://www.risfax.co.jp/risfax/article.php?id=39392

  8. アポネット 小嶋

    集中(MEDICAL CONFIDENTIAL)紙に、ドラッグストアの10月からの対応についての内部情報が掲載されています。

    調剤ポイント禁止で未成熟さ露わにしたドラッグストア業界
    (集中 MEDICAL CONFIDENTIAL 9月26日)
    http://medical-confidential.com/confidential/2012/09/post-458.html

    10月からはPOPやのぼりなどは外して目立たないようにはするものの、ポイントの付与はこっそりと続けるそうです。

    記事には事情通として下記コメントを掲載しているのですが、関係者はこういった指摘をどう考えているのでしょうね。

    「社会常識、良識のある大人の企業であれば、そこまで行政指導を明確にされたら、禁止期日を待たずに調剤ポイント付加を自主的に中止するだろう。しかし、大手しかも一部上場の大手ドラッグストアチェーンのほとんどが禁止期日までは大丈夫として割引合戦をしている姿を目の当たりにすると、そこには社会意識や会社の品格の片りんも見えず、新興業界の未成熟さを強く感じる」

  9.  このような上から目線には、大いに違和感を感じます。 
     そもそも、医療保険の窓口支払いにクレジットカード利用を認めた際に、その利用手数料の医療機関による負担を認めた時点で「値引き」販売に類した行為にお墨付きを与えたとの考えがあります。 その利用は、財務省サイドに関わるからとして手を付けず、業許可を背景に個別の小売店に対して前言を翻して締め付けを行ったことに、ドラッグストア側は大いに反発していると見ることが出来ます。
     自分の利益をあえて削ることに、ドラッグストア側は喜んでいる筈がありません。
     他店との競争を意識するからこその取組みとなっているわけで、あえて訴訟に踏み切らないのもそろばん勘定を意識したものと思われます。

  10. アポネット 小嶋

    三井厚労相は5日の閣議後の記者会見で、調剤ポイント付与の問題について言及し、クレジットカードで支払った際に付与されるポイントも含めて禁止すべきとの考えを示したそうです。

    【調剤ポイント】クレジットも禁止すべき‐三井厚労相
    (薬事日報 HEADLINE NEWS 2012.10.05)
    http://www.yakuji.co.jp/entry28561.html

    全国メディアも取り上げるようになっています。

    処方箋で薬を購入した人にインタビューしたところ「処方箋で出す薬でポイントがつくっていうのは、お得感がある気がします」と語ったとか。

    ドラッグストアのポイントサービスめぐり協会と厚労省が対立
    (FNNニュース 10月5日)
    http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00232952.html

    日本チェーンドラッグストア協会の宗像守事務局長が、

    「いきなりやめなさいと勝手に判断し、勝手に運用される。そこで(ドラッグストア)業界は、多大な損害を被る」

    とメディア向けにアピールしていますが、半年間も周知期間が設けられたのですけどね。

    昨日の読売新聞を読むと、ドラッグストア各社は日本チェーンドラッグストアの後ろ盾があるから、続けているとも感じます。

    読売新聞・経済ニュース 10月4日
     http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20121004-OYT1T01075.htm

  11. アポネット 小嶋

    5日の閣議後の記者会見の概要がアップされました。けっこうやりとりがあったようです。

    三井大臣閣議後記者会見概要
    (H24.10.05(金)11:12~11:34 省内会見室)
    http://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/2r9852000002lfh6.html

    (記者)
     薬剤の薬局でのポイント制度なのですが、10月1日から調剤ポイントを原則禁止としていますが、これに対して業界が反発していまして、クレジットカードで支払った場合のポイントは容認されて、何でポイントカードはだめなんだという意見が強いですが、厚生労働省のこの問題に対する認識と、あと今後の対応についてお聞かせください。

    (大臣)
     今おっしゃるとおりですね、クレジットが良くて現金では何かそういう取り扱いが違うではないかと。当然、このことを含めて、クレジット等を含めて、すべてこれ指導していきたいと考えています。

    (記者)
     先ほど調剤ポイントのお話をされていましたが、クレジット等にも指導していきたいとおっしゃっていまして、年度末に向けて、クレジットとか電子マネーのポイントを禁止すると受け取っていいのでしょうか。テクニカルに相当難しいと原課から伺っているのですが。

    (大臣)
     確かに難しいことはございますから、これはもう一度きちっと調査をしながら、私も前もこの問題をずっと聞いておかしいなと。特に調剤報酬ですから、これがポイント制になること自体が納得いくわけではありませんから、クレジットであろうと現金であろうと全て禁止しなければならないと思っていますから、クレジットについてはどういう形でやるのかについては少し時間がかかるかもしれません。

    (記者)
     そうすると大臣のお気持ちとして禁止すべきだというお考えと伺ってよろしいのでしょうか。

    (大臣)
     私は禁止するべきだと思っています。

    (記者)
     もう少し踏み込むと、禁止する場合、厚生労働省だけでできるのかどうか、その辺の省庁との連携とか意思決定の枠組みはどのように考えておられますか。

    (大臣)
     私は禁止したいと言っても、今お話のとおり各省庁との、やはり経産省もありますから、そういうところもきちっと連絡を密に取りながら進めていきたいと思っています。

    (記者)
     年度内にというのは通知でも明示しているので、残り半年でそこまでできるのでしょうか。

    (大臣)
     できるだけ、迅速にやりたいと思っています。

    RISFAXにはこんな記事も(記事後半の部分は見れないけど)

    日薬・児玉会長 三井厚労相の調剤ポイント発言、「なんとも」
    (RISFAX 2012.10.09)
    http://www.risfax.co.jp/risfax/article.php?id=39533

    一方、NHKはクレジットカードのポイントの対象から医療用医薬品の購入代金だけを除外するのは技術的に難しいのではと報じています。

    医療用医薬品のポイント禁止で調整へ
    (NHK NEWS WEB 2012.10.08)
    http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121008/k10015582841000.html