いよいよインフルエンザのシーズンが近づく季節になっていますが、米国では先シーズン、20%の人がインフルエンザの予防接種を薬局で受けているそうです。
Flu shots drive traffic for pharmacies
(Chicago Tribune 2012.09.21)
http://www.chicagotribune.com/news/local/ct-met-0921-flu-econ-20120921,0,7876827.story
このうち550万人がウォルグリーンに勤務する薬剤師や看護師によって行われたとのことで、10年前にはなかったこのサービスがもはやビッグビジネス化しているそうです。
生活者にとっては休日など24時間いつでも気軽に接種を受けることができ、歓迎されているようですが、薬局で接種を受けたことをプライマリケア医に知らせないために医療記録に残らないことや、有害反応が多いなど、医師からの懸念も少なくありません。
一方、予防接種のサービスを新たな顧客獲得の機会ととらえ、最近では接種者に対し20%のクーポンや100ドル相当のクーポンを出しているドラッグストアもあるそうです。
そんななか、テネシー州の第3の都市であるノックスビル郡市では、初めて導入する高校生向けの予防接種プログラムについて、ドラッグストア大手のウォルグリーンにも委託することを明らかにしています。
School FluMist Vaccination Campaign
(Health Department – Knox County Tennessee)
http://www.knoxcounty.org/health/flumist_vaccination/
School FluMist Vaccination Campaign
(Health Department – Knox County Tennessee)
http://www.knoxcounty.org/health/flumist_vaccination/walgreens_highschool.php
しかも、ウォルグリーンでは3000人分(10万ドル相当)のワクチンを寄付するとのことで、公的機関との連携をより強めることで、こういった機会をビジネス拡大につなげようとすることがうかがえます。
Walgreens to provide free flu shots to Knox high-schoolers
(knoxnews.com 2012.09.20)
http://www.knoxnews.com/news/2012/sep/20/walgreens-to-provide-free-flu-shots-to-knox-high/
日本の調剤ポイントの付与の是非の議論なんては米国では大したことじゃないんですね。薬局経営はやっぱりビジネスなんだと改めて感じされられました。(米国以外ではたぶんこういったことはないと思うけど)
参考:
Walgreens donates 3,000 flu shots to high school students in Tennessee
(Drug Store News 2012.09.21)
http://www.drugstorenews.com/article/walgreens-donates-3000-flu-shots-high-school-students-tennessee
2012年09月22日 10:52 投稿
米国では、日本的な「保険薬局」という概念はないと思います。 医療保険は、基本償還払いですから、薬局が保険者に代わって代理徴収することもないわけです。
また、日本では当然な調剤基本料などの手間賃の支払いもないと聞いています。 とすれば、高コストの薬剤師をいかに活用し、また顧客の医療ニーズにどう応えるかが経営のカギとなります。
同様の厳しい経営環境は、英国なども例外ではないと聞くのですが、如何でしょうか?
関連記事です
ドラッグストアでできる予防注射- ただいまボストン留学中
(朝日新聞・アピタル 2013.01.24)
http://apital.asahi.com/article/msk/2013012200003.html
上記で紹介されているページ・論文
Pharmacy-Based Immunization Delivery
(American Pharmacists Association)
http://www.pharmacist.com/node/22181
Pharmacist Involvement with Immunizations: A Decade of Professional Advancement
(J Am Pharm Assoc. 2006;46:168-18)
http://japha.org/article.aspx?articleid=1041042
こういう話しは日本でももっと紹介されて欲しいな。
Forbes 紙によれば、米ドラッグストアでのインフルエンザ予防接種はビッグビジネスとなり、売り上げ増に大きく貢献しているそうです。
How Flu Shots Became Big Sales Booster For Walgreen, CVS
(Forbes 2013.02.08)
http://onforb.es/WTrkyX
予防接種の回数は、驚くことにウォルグリーンでこれまでに690万接種、CVSでは480万接種に達しているそうです。
ウォルグリーンの薬局部門の責任者は、「予防接種は、地域薬局を変革し、前進するための戦略の重要な柱の一つである」と述べたそうです。