長期処方で医科医療費が調剤医療費に置き換わる(日医総研WP)

 日医総研は25日、最近の医薬分業や後発医薬品使用促進の動向についてまとめたレポートを公表しています。

医薬分業、後発医薬品使用促進の現状と薬局および後発医薬品メーカーの経営
(日医総研 日医総研ワーキングペーパー No.268 2012.10.25)
http://www.jmari.med.or.jp/research/summ_wr.php?no=492

 内容的には有価証券報告書などから客観的データを基にまとめたもので、調剤薬局拡大に対する強い懸念は示していないものの、次のような考察が行われています。(赤字の部分は、肯定的にとらえた方がいいと思う)

  • 医薬分業については、医師と薬剤師とのダブルチェックによる安全性の向上などがメリットとして挙げられているが、十分なエビデンスはない。患者の不利益(費用負担の増加、二度手間)に対する明確な回答もない。
  • 医薬分業に加え、長期処方が進むなどして、医師の業務が薬剤師に移りつつある。財源的には通院間隔が開くので再診回数が減り、医科医療費の抑制につながる。しかし、この分は医科の財源になるわけではなく、現状を見る限り、医科医療費が調剤医療費に置き換わっているように見受けられる。
  • 医薬分業や後発医薬品の使用促進について、厚生労働省は、「経済的インセンティブ」(処方料・処方せん料、後発医薬品の使用に対するもの、長期処方に対するもの)、「医療費抑制効果」「患者への影響」(メリット・デメリット)を総合的に検証して政策を再評価し、必要に応じてその見直しを行うべきである。

関連資料
医薬分業の進捗状況と保険財政への影響
(ESRI 調査研究レポート No.4 2003.08)
http://www.esri.go.jp/jp/archive/tyou/tyou010/tyou004a.pdf

長期処方についてのアンケート調査報告
-6 道県におけるパイロットスタディ-
(日医総研 日医総研ワーキングペーパー No.225 2012.10.20)
http://www.jmari.med.or.jp/research/summ_wr.php?no=441

 


2012年10月25日 23:34 投稿

コメントが1つあります

  1. 毎度の事ながらレベルの低レポートで・・・
    他者を卑下する前に、もっと効率的な提言をすればよいものを。

    医薬分業にエビデンスを求めるなんて、道路に信号機、空港に管制官の是非を求めるもので、どうかしています。
    それほどエビデンスを求めるなら、欧米の医学会に対し提案すればよいものを。
    ものの見事にジャパンパッシングされると思いますが。

    第一、医療自体が全てエビデンスで行われるものではないのに。
    エビデンス原理主義で医療を行えば、どれほどの患者が見殺しにされるか理解できないのでしょうか?

    レポートを書いているのは臨床家ではないでしょうから、言っても仕方ないのでしょうけど。

    赤文字の部分は、そこだけ抜け出せば肯定的に取れますでしょうが。
    そういうやり方は賛同できません。
    某議員の「1番じゃなければ駄目ですか」発言と同じで、ただの揚げ足取りになってしまいます。
    そういうことは二流紙・三流誌に任せましょう。