筋肉増強に憧れる米ティーン、ステロイドに手を出す子も

 だれでも憧れる? 筋肉増強(Build muscles)を目指して、食生活の改善だけではなく、プロテインなどのサプリメントを使ったり、ステロイドにも手を出す米国ティーンが少なくないとする報告が、Pediatrics 誌のオンライン版に掲載され、話題になっています。

Muscle-enhancing Behaviors Among Adolescent Girls and Boys
Pediatrics Online First  Nov 19, 2012)
http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2012/11/14/peds.2012-0095.abstract
http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2012/11/14/peds.2012-0095.full.pdf

 この調査は都市部の中学高校20校に通う生徒2793人へのアンケート調査で明らかになったもので、男子で約90%、女性で約80%が筋肉増強のために運動をしていると答えた一方、さらなる増強を目指して男子で34.7%がプロテインパウダーやShakeを、5.9%がステロイドを、また10.5%が他の筋肉増強を目的とした物質(ステロイドを除く、クレアチン、アミノ酸、ヒドロキシメチルブチレート、creatine, amino acids, hydroxyl methylbutyrate(HMB)、 DHEA、成長ホルモン)を使用したことがあると答えたそうです。

 また女子でも、21.2%がプロテインパウダー類を、4.4%がステロイドを、5.5%がその他筋肉増強物質を使用していたことがあると答えたそうです。(特に女子の場合は、肥満傾向のある人でプロテインパウダーを使う傾向があった)

 さらに、スポーツチームに所属するティーンで、ステロイドその他筋肉増強物質を使う傾向が高いことも明らかになっています。(大リーグの薬物汚染も影響があるのではないかと思ってしまう)

 一方、興味あるところでは、人種別にみると、アジア人でステロイドに手を出す傾向が高くなっていて、白人への肉体的なコンプレックスがあるのではないかとも思ってしまいました。(私もそうだけど)

 研究者らは一地域での調査であり全米の傾向を示したものではないとしながらも、こういった若者たちに対し、ステロイドや筋肉増強作用のある物質の潜在的な危険性とともに、栄養や運動に関する適切な情報を提供すべきだとしています。(日本ならスポーツファーマシストの出番かも)

関連情報:TOPICS
 2007.12.19 MLBミッチェル・レポート
 2007.06.21 低年齢層に広がる運動選手の禁止薬物の使用(フランス研究)

参考:
Teens Turn to Protein Shakes to Pump Up
(ABC News/Medpage  Today 2012.11.19)
http://abcnews.go.com/Health/teens-turn-protein-shakes-pump/story?id=17760126
http://www.medpagetoday.com/PrimaryCare/ExerciseFitness/36005
Young teens turning to protein powders, steroids to bulk up: Survey
(CBS NEWS 2012.11.19)
http://www.cbsnews.com/8301-204_162-57551862/young-teens-turning-to-protein-powders-steroids-to-bulk-up-survey/
Toned teens: Most teen boys – and girls – trying to build muscles
(NBC  2012.11.19)
http://vitals.nbcnews.com/_news/2012/11/19/15229634-toned-teens-most-teen-boys-and-girls-trying-to-build-muscles?lite


2012年11月20日 15:02 投稿

コメントが2つあります

  1. このステロイドは一般的な糖質コルチコイドとスポーツ界で言うステロイド(蛋白同化ステロイド:男性ホルモン)のどちらなんでしょう?
    原著をざっと斜め読みしたけど、よく分からなかった。

    筋肉増強目的だから、蛋白同化ステロイドかな?

  2. アポネット 小嶋

    Anabolic Steroidsと呼ばれる蛋白同化ステロイドですね。(もちろんドーピングの対象物質です)

    蛋白同化ステロイド
    (メルクマニュアル18版日本版)
    http://merckmanual.jp/mmpej/sec15/ch198/ch198d.html

    論文でも下記サイトの情報を引用しています。

    Steroids (Anabolic)
    (National Institute on Drug Abuse)
    http://www.drugabuse.gov/drugs-abuse/steroids-anabolic

    Anabolic Steroid Abuse
    (National Institute on Drug Abuse Research Report)
    http://www.drugabuse.gov/publications/research-reports/anabolic-steroid-abuse

    密輸品や不正に製造されたものが使われているとか

    What are anabolic steroids?
    http://www.drugabuse.gov/publications/research-reports/anabolic-steroid-abuse/what-are-anabolic-steroids

    別の調査でもティーン男子での使用報告が

    Why do people abuse anabolic steroids?
    http://www.drugabuse.gov/publications/research-reports/anabolic-steroid-abuse/why-do-people-abuse-anabolic-steroids

    DrugFacts:Anabolic Steroids
    http://www.drugabuse.gov/publications/drugfacts/anabolic-steroids

    ググってたらこんなブログ記事もヒット

    蛋白同化ステロイド剤使用の高すぎた代償 元MVP大リーガーの栄光の陰に
    (All About 2005.01.06)
    http://allabout.co.jp/gm/gc/300209/

    一地域での調査なので、この報告が全米にあてはまるかどうかは注意が必要ですが