診療報酬の改定はまだ再来年ですが、近年の調剤医療費の伸び率については、医系団体からさまざまな意見が示され、日薬が危機感を持っていることは皆さんもご存じかと思います。
17日には、日本病院会の会長が定例記者会見で、平成23年度で6兆5000億円以上にもなった調剤医療費について、「びっくりするくらいのものだ」と述べ、調剤医療費の伸び率や、院外処方に対する患者の満足度などの質について、調査して議論すべきとの考えを示したと伝えられています。
調剤医療費の伸び率・質の議論を- 日病・堺会長
(医療介護CBニュース 2012.11.17)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/38827.html
しかしこの「びっくりするくらい」の額のうちの約75%は薬剤費であり、この発言が適切なものかどうかと思い、厚労省の下記資料を調べて表にまとめてみました。(画像クリックで、別ウインドウでPDFファイルが開きます)
平成23年度 医療費の動向-MEDIAS-
http://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/11/index.html
最近の調剤医療費(電算処理分)の動向~平成23年度版~
http://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/11/gaiyou.html
調剤医療費全体の内訳は、平成21年度の分しかないので、比較は難しいのですが、確かに調剤医療費の技術料・薬剤料の総額の伸びは2年間でそれぞれ13.0%、11.7%と医療費全体の伸びに比べると大きくなっています。
しかし、これを処方せん1枚あたりにすると、技術料で5.8%、薬剤料で4.6%となり、医科の伸びとあまり変わりありません。(薬剤費は院内調剤でも発生するので、院外処方にシフトした分だけ医科の医療費が減るとも考えられるが)
一方、後発品の薬剤費の伸びにもかかわらず、薬剤費全体の伸びが1年間で7.2%の伸びがあることを考えると、高額新薬の登場、新薬へのシフトの影響もうかがわれます。
調剤医療費へ伸びへの疑問を指摘するのなら、新薬を中心とした高薬価の問題や、高薬価の新薬へのシフトなどの処方のあり方についても言及すべきであり、調剤医療費総額のみに着目して、調剤薬局自体を悪者にするような発言には疑問が残ります。
関連情報:TOPICS
2012.10.25 長期処方で医科医療費が調剤医療費に置き換わる(日医総研WP)
2012.09.26 FIP会長のメッセージ(医薬分業を推進する国際シンポ)(Update)
日本の薬学の国際化-医師の調剤からの脱却(日本薬剤学会)
http://www.apstj.jp/information/FIP%20Presentation.pdf
(日本薬剤学会名誉会長の永井恒司氏がFIP100周年年会で講演したスライド)
2012年12月19日 00:56 投稿
本当にそう思います。
弱いものいじめじゃないの?、誰かをスケープゴートにするのに調剤は都合がいいんじゃないの?って思います。
訪問看護ステーションの方でも報酬と業務内容を調剤と比較されてた方がいて、外来処方箋をこなしながら在宅専門でやってるところと同じように即時対応は無理ですし、報酬を比較するなら医科全体を考えるべきって思った事がありました。
個人的には機能分化を考えていかないといけないって気がします。
何でもやります!って言うには分業が進展してきて当初のようなゆとりはないです。
総合病院クラスに対応、町の医療機関に対応、それこそ在宅専門もありでないと。
とにかく、できない事はできない、きちんと現実を主張していかないといけないんじゃないですかね。
私は薬剤費の伸びが増大していく原因を以下のように考えています。
1)先発メーカーが後発品対策をあからさまにやりすぎている
化学修飾したものや光学活性体を新薬として出すのが目立ちますね。
そして、長期収載品を撤退させ、後発品だけを孤立させています。
2)医師が新薬に飛びつきすぎる
広域病院に多いのですが、採用品を新薬に切り替えることが多いです。
実例を出すと、アルファロールをエディロールに次々と変更しています。
私の店舗ではほぼジェネリックを投与していたのに、全部高い新薬にシフトです。
3)緩慢投与が未だに減らない
整形外科ではとりあえず2週間のNSAID処方。
消化器科では検査者にもれなく胃腸薬を2週間~4週間処方
開業医では過活動膀胱の薬をアセスメントもなくDo処方
挙げればキリがありませんが・・・本当に不要と思われる処方が多いです。
でも、最大の要因は医師の力が強すぎることですね、日本の医療業界において。
私も医師を恐れず、患者さんに粘り強くお話をして、医師に処方見直しを
してもらうようアドバイスをしてきたのですが・・・患者さんは医師の言いなりです。
加えて、医師からは余計なことを言うんじゃない、と叱咤の電話すらあります。
厚生労働省も医師に後発品の処方に努めるよう言えば良いんですけどね。
政治的な問題で薬剤師ばかり狙われるという現状を知っていると、
簡単な話ではないと私は思ってしまいます。
MEDIFAX web の見出し記事によれば、四病院団体協議会の総合部会は19日、調剤薬局チェーンの経営状況について問題意識を持って動向を注視するとし、次期診療報酬改定で「院外調剤報酬の適正化」を今後論点すると伝えています。
株式会社が経営できない病院・医院から見ると、株式会社化した調剤チェーンのさらなる拡大化には相当の疑問をもっているのでしょう。
中医協が薬局の調査に給料も入れるって記事がありましたね。それには個人の薬局とチェーンを分けて欲しいと日薬が要望し厚労省も前向き検討のようです。やはり「チェーン薬局」の存在は個人の薬局と分けてきちんと検証すべきと思います。
お金も人も回してどんどん店舗増やすのは「医療」にはそぐわないですね。
原点に帰ってかかりつけ薬局を今一度考えるべきと思います。
引用記事ありがとうございます。
早くも気になる、2014年調剤報酬改定の行方
(日経DI Online 2013.01.08)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/column/kumagai/201301/528464.html
RISFAX 8日掲載の記事(途中までしか読めないけど)も事実だったら、中医協の議論で間違いなくマイナスのイメージとなるでしょうね。(出す方もそうだけど、もらう方はバレないと思っていたのでしょうか?)
先鋭化する長期収載品の“防衛策”
新薬メーカーと調剤チェーン トップ営業、金銭の授受
(RISFAX 2013.01.08)
http://www.risfax.co.jp/risfax/article.php?id=40213