一般用医薬品への転用の在り方などに関する質問主意書

 短期間の特別国会の間にエパデール関連で質問主意書が出ていたんですね。質問は民主党衆議院議員の柚木道義(ゆのきみちよし)氏が行っています。

医療用医薬品から一般用医薬品への転用の在り方と新規に転用された一般用医薬品の販売体制に関する質問主意書
(衆議院 平成二十四年十二月二十六日提出 質問第四号)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a182004.htm

答弁(日刊薬業 行政資料)(いつもアップありがとうございます)
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226589015568

質問 答弁
イコサペント酸エチルの転用にあたっては、承認条件として「適正使用調査」を付与したと聞く。そもそも「適正使用調査」などというリスクがあるのであれば、なぜ一般用医薬品としての転用をするのか理解できないが、政府の見解如何。 お尋ねのイコサペント酸エチルを有効成分とする医薬品(以下「本件医薬品」という。) については、厚生労働省において、一般用医薬品としての品質、有効性及び安全性を確認し、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条第一項の承認(以下「承認」という。)を与えたものであるが、本件医薬品は、生活習慣の改善に取り組みつつ服用することを徹底しなければ、健康診断等で指摘された境界領域における中性脂肪値の改善の効能・効果が得られない可能性があると考えられたことから、本件医薬品の製造販売業者に対して、同法第七十九条第一項の規定により、本件医薬品の承認に「承認後、一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、使用実態に関する調査を実施することにより、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。」等の条件を付したものである
 「適正使用調査」とは、当該医薬品の販売が適正に行われているかどうかを確認するものと理解するところであるが、この調査は、主として当該医薬品を販売する職能団体が主体的に実施するものであるのか。あるいは国が主体的に実施するものであるのか。あるいは当該成分を含有する医薬品の販売を申請するものが実施するものであるのか。明示願いたい。 お尋ねの「適正使用調査」は、一のー(上記のこと)についてで述べた使用実態に関する調査(以下「使用実態調査」という。) を指すものと考えられるが、使用実態調査は、本件医薬品の製造販売業者が実施するものである
仮に当該成分を含有する医薬品の販売を申請するものが前記した調査を実施するとして、どのように中立性・公正性を担保するのか具体的に明示願いたい。 お尋ねの「中立性・公平性」が具体的に何を意味するのか必ずしも明らかではないが、使用実態調査が適切に行われていない場合は、一のーについてで述べた条件に違反する行為があったものとして、厚生労働大臣は、本件医薬品の製造販売業者に対して、薬事法第七十二条の四第二項等の規定により、条件に対する違反を是正するために必要な措置を採るべきことを命ずること等があり得るものである
同様に今回の承認条件にはチェックリストなるものを用いて消費者の生活状況をチェックした上でなければ販売できないとしていると聞く。このようなチェックリストのような判断シートは、諸外国の事例を鑑みれば、一般的なものであり、医薬品の安全及び適正使用を深慮するならば、必要な措置であると理解するところである。しかしながら、諸外国ではこうしたチェックリストのようなものは、専門職たる職能団体が自主的に作成し、これをもとに研修会を実施する国が多いと聞く。また、この過程で、多職種連携の基本である信頼関係を構築するよう努力していると聞く。今回の承認条件と承認プロセスを確認する限りでは、このチェックリストも当該成分を含有する医薬品の販売を申請する製薬会社が主体的な役割を任ずるものと理解する。販売者が作成するチェックリストで充分な安全性を担保できるのかどうかについて、また、このチェックリストに専門家の意見をどのように反映させるのかについても政府の見解をお示し願いたい。 お尋ねのチェックリストについては、本件医薬品の承認に係る審査に当たって、医学、薬学等の分野の学識経験者を委員とする薬事・食品衛生審議会薬事分科会一般用医薬品部会において、その妥当性等が審議されており、本件医薬品の適正な使用を確保する上で適切な内容であると考えている。
転用について厳しい承認条件がつくものについては、その使用の安全性や適正な販売の在り方について不安があるものと理解するところである。したがって、販売における薬剤師など専門職の積極的な関与が求められるものであるが、平成二十四年十二月二十一日に発表された「一般用医薬品販売制度定着状況調査」の結果を鑑みるに、医薬品販売セクターである薬局等で第一類医薬品の販売に際して関係法令が求める文書等を用いて販売している事例は充分とはいえない状態であったと聞く。そもそも販売者たる医薬品販売セクターが法令順守できない状態では、承認条件に販売条件を付与し、承認条件を厳しくしたとしても安全適正な販売を実行できるとは断じえない。適正な販売を担保するためにも、まずは販売状態の適正化が必要不可欠と考えるが、政府の見解如何。また、政府として具体的な医薬品販売の適正化についての政策案があるようであれば明示頂きたい。 薬局開設者等は、一般用医薬品の販売に当たって、その区分に応じて、その適正な使用のために必要な情報の提供等が求められている。厚生労働省としては、「平成二十三年度一般用医薬品販売制度定着状況調査結果」において、全体として一般用医薬品販売制度の定着が進みつつある傾向は示されているものの、第一類医薬品の販売の際に文書を用いた説明が徹底されていない事例が見られたこと等から、都道府県等及び関係団体に対して、より一層の当該制度の遵守の徹底を依頼したところである。同省としては、引き続き、都道府県等と連携して、一般用医薬品の販売が適切に行われるよう、努めていきたい。
一般用医薬品への転用については、薬事・食品衛生審議会にて審議されるものと理解するところであるが、審議においては科学的にその成分の有用性と安全性が評価されるものであり、その社会的基盤整備や使用環境整備などが評価されることはないと考える。しかしながら、一般に広く使用されることが想定される医薬品の販売については、医薬品使用を円滑せしむためにも、国民の理解は当然のことながら、関連職種たる医師、歯科医師、薬剤師、看護師等の多職種間の連携も重要である。保険医療における医師による治療を補完しうるのであれば、国民の保健福祉に充分に貢献することにもなりうるが、逆に医師の治療を妨げるようなものとなっては、かえって国民の健康を害することになりかねない。医療用医薬品の転用にあたっては、こうした医療職間の信頼関係を十分に斟酌しなければならない部分もあると考える。審議会は、評価尺度が客観的なものである必要があり、科学的な評価を旨とするのはやむをえない。しかしながら、社会基盤整備や使用環境整備が先行していなければ、国民に利する形の転用とはならないと案ずるところであり、評価とは別に、政府として一体として円滑に転用ができる社会基盤整備や環境整備のために何らかの施策が必要と考えるところであるが、医療用医薬品の円滑な転用を企図した多職種間の信頼関係構築等のための施策について政府の見解如何。 お尋ねの「円滑に転用ができる社会基盤整備や環境整備」及び「医療用医薬品の円滑な転用を企図した多職種問の信頼関係構築等」が具体的に何を意味するのか必ずしも明らかではないが、厚生労働省としては、生活習慣病分野における医療用医薬品の一般用医薬品への転用をどのように進めるべきかについて、医師や薬剤師が参加して議論する場を設けることを検討しているところである。

 なかなかいい質問ですね。

 一般用医薬品への転用(=セルフメディケーションの推進)についての明確な答弁を避けているところは、やはり厚労省としての基本方針がないことの現れなんでしょうね。

 上からの4番目のチェックシートの件なのですが、「医学、薬学等の分野の学識経験者を委員とする薬事・食品衛生審議会薬事分科会一般用医薬品部会において、その妥当性等が審議されており、本件医薬品の適正な使用を確保する上で適切な内容であると考えている。」としているのに、今回こういった形でエパデールOTCのチェックシートを変更させたことについて、厚労省はどう考えているんでしょうね。

 国会が再開したら是非、エパデールOTCのチェックシートが変更されたいきさつについて、議員のどなたかがきちんと質問して経緯が明らかにされることを期待しています。

関連情報:TOPICS
  2013.01.09 医療機関にまず受診していないとエパデールOTCは買えない
  2012.11.01 エパデール問題、スイッチへの意義とプロセスの共通認識が必要


2013年01月11日 21:45 投稿

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