シグナル(オランダLareb Quarterly Reports)

 オランダ薬剤監視センター(Lareb:Netherlands Pharmacovigilance Centre Lareb)ではシグナル検出をまとめたレポートを四半期ごとに発出してますが、このほど最新のレポートがLarebのウェブサイト(http://www.lareb.nl/)に掲載されています。

Kwartaalbericht 4e kwartaal 2012
(Lareb Quarterly report 2012-4 )(英語です)
http://www.lareb.nl/getmedia/2073efe5-ad74-435d-b1b7-f77948655cfc/2012-4-LQR.pdf

 今回掲載されたのは次の7件です。(簡約です。原文でご確認ください。)

シグナル   概要
Natalizumab and cervical dysplasia
(ナタリズマブと子宮頸部異形成)
Larebには、4例のトシリズマブ(Tysabri)との関連性が疑われる子宮頸部異形成報告があり、WHOのデータベースでも悪性頸部新生物の16の報告と子宮頸部異形成の22の報告症例が確認された。またEudravigilanceデータベースにも子宮頸部の異形成または子宮頸癌の19の報告が確認された。ナタリズマブは免疫抑制剤であって、日和見主義的な感染症と関係している。(生物学的製剤にも同様の報告も見られることから)文献でのエビデンスはないか、HPV感染症を悪化させるか、子宮頸部異形成を誘発することが認められる。
Clindamycin and acute generalized exanthematous pustulosis (AGEP)
クリンダマイシンと急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)
Larebには、2例のクリンダマイシン(ダラシン)との関連性が疑われるAGEPの報告があり、文献でも報告例が確認された。また、WHOのデータベースでは27の報告、Eudravigilanceデータベースでも26の報告が確認された。

Quetiapine and sleep apnea syndrome
(クエチアピンと睡眠時無呼吸症候群)
Larebには、2例のクエチアピン(セロクエル)との関連性が疑われる睡眠時無呼吸症候群の報告があり、文献でも報告例が確認された。また、WHOのデータベースでは155の報告、Eudravigilanceデータベースでも110の報告があった。なお睡眠時無呼吸症候群は他の非定型抗精神病薬にも報告が見られている。(リスペリドンとパリペリドンについては、すでにSmPCで記載あり)
Triamcinolone acetonide injection and postmenopausal haemorrhage
(トリアムシノロンアセトニド注射と閉経後出血)
Larebには、9例のトリアムシノロンアセトニド注射との関連性が疑われる閉経後出血の報告があった。発症までは2日~2週間を要し、6例では中止により回復が確認された。また、WHOのデータベースでは18の閉経後出血の報告、12の膣からの出血の報告があった。
Tricyclic antidepressants and peripheral coldness
(三環系抗うつ薬と末梢冷寒(四肢厥冷))
Larebには、11例の三環系抗うつ薬との関連性が疑われる末梢冷感の報告があった。(アミトリプチン7、デシプラミン4、ノルトリプチリン1、クロミプラミン1、イミプラミン1) 一方、WHOのデータベースでも関連の報告が123例、Eudravigilanceデータベースでも32例の報告が確認された。
Methylphenidate, dexamphetamine and trismus
(メチルフェニデート、デキストロアンフェタミンと開口障害)
Larebには、メチルフェニデート(リタリン、コンサータ)との関連性が疑われる顎関節の痛み/開口障害に関する7つの報告があり、デキストロアンフェタミンについても2つの開口障害の報告があった。(10代の1例を除き成人) 一方、WHOのデータベースでも、メチルフェニデートで19例、デキストロアンフェタミンのプロドラッグのLisdexamphetamineで9例の報告が、またEudravigilanceデータベースでも、メチルフェニデートで12例、dexamfetamineで1例の報告があった。メカニズムについてはドパミンの関与を示唆した。(モダフィニルでは報告がなかった)

Methylphenidate and epistaxis
(メチルフェニデートと鼻出血)
Larebには、7例のメチルフェニデートとの関連性が疑われる鼻出血の報告があった。(20歳未満が5例) いずれも中止で回復したが、再投与をした3例中1例で再び鼻出血が見られた。また、WHOのデータベースでも61の報告が確認された。α2受容体の刺激が平滑筋の収縮をもたらすことがメカニズムとして示唆された。

 シグナルは定期的に発出されており、まとめたものが下記ページに掲載されています。

Signals(Lareb)
http://www.lareb.nl/Informatie-bijwerkingen/Signalen


2013年02月25日 00:36 投稿

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