OTC、添付文書まできちんと目を通す消費者は少ない?

 一般用医薬品のネット販売について調べていたら、1年ほど前にアップされた東邦大の報告がヒットしました。

Expected Information of Users for the OTC Drugs in Japan
Adv Pharmacoepidem Drug Safety Published Online 20 JAN 2012)
http://www.omicsgroup.org/journals/2167-1052/2167-1052-1-101.php?aid=4470

 この研究は、一般用医薬品の外箱表示や添付文書を消費者がどのように確認しているかなどについて206人に尋ねたアンケート調査の結果で、次のようなことが明らかになったそうです。

  • OTC購入の際、選択にあたっては有効性や価格が重視される一方、パッケージのイメージやテレビコマーシャルのメッセージはあまり重要視されなかった
  • 男性に比べ女性の方が店のスタッフに意見を求めたり、ブランド志向、家族などの意見に影響を受ける傾向が強かった
  • 使用する際に確認するのものとして最も多いのが外箱の記載事項(男性60%、女性63%)で、次いで瓶などに記載された事項(男性15%、女性14%)で、添付文書を確認したのは男性で24%、女性で19%にとどまった。
  • 確認内容については用法用量が8割程度に達したのに対し、使用上の注意は5~7割程度、服用期間使用期限(expiration date)については2~3割程度にとどまった
  • 記載事項については、最も重要な情報がよくわからない(difficulty finding the most important infomation)、注意や警告の内容が難しいなどの声が2~3割あった

 研究者らは、消費者が外箱に最も重要な情報をわかりやすく記載されていることを求めているとする一方、詳細な情報を含むパッケージ内の情報について消費者はほとんど確認していておらず、警告や注意については見落とされている可能性があるとしています。

 おそらく、日本語での論文/学会発表があると思うのですが、この報告で残念な点は、質問票がなく、またどのようにアンケート用紙が配られたのかがわからない点で、今回の結果がどの程度一般的な傾向となるかが分からない点です。

 とはいううものの、添付文書、特に使用上の注意まできちんと読んでいない消費者が少なからず存在することは確かで、販売時にその人にとって必要な薬なのかどうかの確認や、適切なアドバイスが求められているといえるでしょう。

 また、重要な情報をもっとわかりやすく外箱にという意見も少なくないようです。

 「×回(×日間)服用して症状がよくならかったら相談して下さい」(むしろ英国のように three days use onlyなどはっきりと使用期間を)とか、「連用すると依存する可能性があります」くらいは外箱にはっきり書いてもいいのではないかと思いました。(メーカーはいやがるでしょうが)(TOPICS 2009.09.04

関連論文:
インターネットによる一般用医薬品購入に関連する要因についての研究
(薬学雑誌 129(9) 1127-1136,2009)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/129/9/129_9_1127/_article/-char/ja/

関連情報:TOPICS
 2012.09.14 日本人はOTCの副作用や依存性はあまり気にかけない?
 2012.07.30 OTC薬の乱用・依存の実態(厚生労働科学研究)
 2008.10.11 風邪薬販売時に薬剤師からの情報提供は必要とされていない?
 2012.06.30 OTC鎮痛薬は4日分までに制限すべき(ドイツ)
 2010.05.01 コデイン配合OTC鎮痛薬の販売規制が開始(豪州)
 2009.09.04 ジヒドロコデイン配合OTC風邪薬,事実上使用禁止へ(英国)


2013年03月03日 00:25 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    記事中、“expiration date”の和訳が“服用期間”ではなく、“使用期限”との指摘を受けました。

    記事も訂正しました。ありがとうございます。