13日、注目の一般用医薬品のインターネット販売等のルール作りを行う3回目の検討会が開催されています。(今後記事更新する場合があります)
第3回一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会 資料
(厚労省 2013.03.13 開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002x4pz.html
今回も、傍聴されたと思われる方がやりとりの一部をツイートしています。
厚生労働省:一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会
(第3回・2013/03/13)実況ツイ―ト
http://togetter.com/li/470884
今日の検討会ではまず構成員からのプレゼンが行われました。
資料1-1 根本構成員提出資料((社)日本漢方連盟)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002x4pz-att/2r9852000002x4tg.pdf
- 漢方薬の郵便等販売が必要な理由
・漢方薬の服用途絶に伴う健康被害を防ぐことが必要
・継続的に専門家が関与する漢方薬郵送販売は安全性が十分考慮されている
・厚生労働省が推進するセルフメディケーションの拠点を失うこととなる
資料1-2 全国消費者団体連絡会事務局長 河野康子構成員提出資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002x4pz-att/2r9852000002x4ty.pdf
◆(販売チャネルは問わず)一般用医薬品の販売に関して不安に思うこと
- 一般用医薬品の区分と定義 → ほとんどの消費者は正しく認識していない
- 自分で購入した薬を使用するときの情報源は「添付文書」→ 記載されている情報を正しく読み解け
ない、または、読み飛ばす - 薬には副作用リスクがある → 十分に認識されていない
- リスクは誰でも公平にある訳ではない → 医薬品の販売、使用で一番大事なのは安全性
◆薬のインターネット販売に関する懸念・不安
- 販売者側が期待する購入者像と、一般購入者の実像に乖離がある
- 購入者に、一般医薬品の副作用リスクをどう理解させるか?
→病院で処方された経験がある(スイッチOTC)ことで、副作用はないと思いこむこともある - 薬を選択する以前に、自分の症状に下した診断が正しいのかどうか、薬の選択に関する自己責任を全うするだけの知識(薬育)がないことをどう補うのか?
- 悪意ある事業者のなりすましを防ぐための仕組みはあるのか?ネット販売は、距離と時間を超えてボ
ーダーレス、海外事業者の参入をどう考えるのか? - 匿名性が高く、購入者が違法目的のために大量に購入するなど本来の目的以外に使用される懸念はないのか?
- 高額のものを売る、より大きな単位(大容量)で売るなど利益優先にならないか?
◆安心してネットで一般用医薬品を購入できる環境を整えるために解決すべき課題
- 薬剤師、あるいは登録販売者が仮想店舗に常駐している(24 時間対応)という仕組みをどう作るのか?
→相談に応じるとされる電話の相手、メールの相手が専門家であることをどう担保するのか? - 販売履歴の管理、購入量の制限をどう行うか?
→ネット販売参入の全業者横断的に行うと同時に、実店舗での購入履歴や購入量の総量チェックの必要性 - 購入履歴を基に、購入者個別に販売促進メールが送られるなど販売履歴による個人情報に対する管理体制は十分か?
資料1-3 全国薬害被害者団体連絡協議会 増山ゆかり構成員提出資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002x4pz-att/2r9852000002x4u9.pdf
- 医薬品は営利目的の中にある商品であることから高い安全策が求められる
~医薬品は電化製品などと違い患者自身が薬の善し悪しを判断することが難しい上に、
ネガティブ情報を製薬企業に頼らざるを得ない構造の中にあるために、より高い安全策
を医薬行政は講じなければならない - 消費者は医薬品のリスクについて、どれだけ知っているのか。
~医薬品販売時には直接専門家が関与することが大切。消費者保護という視点が必要。 - ネット販売という形態は、リスクある医薬品を扱うことに適しているのか。
~「安全性を適切に確保する仕組みを設ける」と国は掲げていますが、作ったルールを国
が責任を持って監視するということが、現実的に可能とは私には思えない。
資料1-4 國重構成員提出資料(一般社団法人新経済連盟)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002x4pz-att/2r9852000002x4uk.pdf
- 「医薬品販売許可を持つ薬局・薬店による一般用医薬品のネット販売」と「許認可を持たない違法業者による偽造処方箋薬のネット販売」は別物
~区別するための仕組み、監視体制の強化、消費者教育・啓蒙が必要 - トレーサビリティーを生かして、「ウイルスプロテクター」の回収に強みを発揮した
(→TOPICS 2013.02.18)
(個人的にはこういった商品が野放しで通販されていたこと自体がおかしいと思う)
資料1-5 一般社団法人ECネットワーク理事 沢田登志子構成員提出資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002x4pz-att/2r9852000002x4uv.pdf
- 対面で買いたい人は対面で。ネットで買いたい人はネットで。
☆消費者は、場面によって使い分けたい。
(例)
a. これから大事なプレゼンをするのに咳が止まらない。飛び込んだ薬局で、薬剤師さんに相談しながら即効性のある咳止めを購入した。
b. 常備している風邪薬が残り少なくなった。ドラッグストアかネットで、ポイント2倍キャンペーンの時に買っておこう。
c. ガスター10を初めて買うので、仕組みや副作用について、メーカーのウェブサイトとネット薬局の説明をじっくり読んで理解した。禁忌事項も該当しないことがわかった。 - 安全性について“よほどの懸念”がない限り、消費者の選択の自由を奪うべきではない。
- 安全性・信頼性・利便性に関するサービス間競争は大歓迎。
一方、前回指摘のあった憲法論からの資料が提出されています。
資料2 憲法22条に規定する職業選択の自由について
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002x4pz-att/2r9852000002x4v6.pdf
参考資料として、次の2つの資料が提出されています。
参考資料1:
一般用医薬品のインターネット等販売規制に関する規制改革会議の見解(平成25年3月8日)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002x4pz-att/2r9852000002x4vh.pdf
(→TOPICS 2013.03.11)
参考資料2:
医薬品のネットおよび通信販売に関する検討会報告書
(平成24年9月7日日本チェーンドラッグストア協会)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002x4pz-att/2r9852000002x4vs.pdf
(業界紙で紹介されていたが、報告書がWEBにアップされるのは今回が初めてだと思う)
そして、後藤構成員が下記の資料を提出しています。
インターネット販売を行っている薬局・店舗の相談対応に関する事例について
(特定非営利活動法人日本オンラインドラッグ協会 2013.03.13)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002x4pz-att/2r9852000002x4w1.pdf
詳細はこれからの報道に譲りたいと思いますが、資料と実況ツイートを見ると、推進派の委員はネットでの情報提供や管理システムでも十分安全性が担保できるとしたのに対し、慎重派の委員は、医薬品のリスク=くすりとどうかかわるかの認識が十分でない状況では懸念があるということが示され、今回も議論が噛み合わなかったようです。
また議論では、薬事法36条の6第4項で、第一項の規定(適正な使用のために必要な情報の提供)は、医薬品を購入し、又は譲り受ける者から説明を要しない旨の意思の表明があつた場合には、適用しない」 との条文がとりあげられています。
薬事法~医薬品の販売業→リンク
こういった背景には、薬事法の検討する際に、販売する側の都合(特に効率的な販売を進めたいドラッグなど)があったかと思いますが、考えてみれば、情報提供は義務であるとしているのだから、わざわざ薬事法にこんな条文を入れる必要があったのかと思います。
個人的には、第一類などで作成されている「セルフチェックシート」の存在もおかしいと思います。
「セルフフェックシート」を記入して持っていけば、第一類の購入の際に、説明を聞いたり、必要な情報の確認なしでも簡単に購入できるからです。どうしてこういうものを積極的に活用しようと考えるのでしょう?
何よりも、専門家と医薬品の購入を求める生活者との関わりを低めてしまいますよね?
関連情報:TOPICS
2013.02.27 第2回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
2013.02.14 一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討が始まる
2013.03.11 医薬品ネット販売、半年以内に全面解禁を求める(規制改革会議)
2013.03.03 OTC、添付文書まできちんと目を通す消費者は少ない?
2013.03.01 医薬品ネット販売についての現時点における厚労省のスタンス
2013.02.18 塩素除菌ブームの中、危険商品で健康被害
2013年03月13日 13:30 投稿
第一類医薬品が楽天市場の、ケンコーコムなど3店舗で通信販売されているとの記事を見つけました(日経トレンディ4月号)。
現時点で、今回の検討会を伝える全国紙は冒頭の様子だけを伝えた、時事通信ぐらいでした。
時事通信3月13日
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201303/2013031300059
不毛の議論に全国紙は記事にする価値がないと思ったのでしょう。
あとは、業界の各WEB記事。
規制改革会議の薬ネット販売見解に批判の声-厚労省検討会
(CB NEWS 2013.03.13)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130313-00000001-cbn-soci
「規制改革会議はあくまで参考」、医薬品ネット販売で厚労省検討会
(m3.com 2013.03.13)
http://www.m3.com/news/GENERAL/2013/3/13/168121/
ネット販売検討会 前回に続き紛糾、「同じことの繰り返し」との声も
(RISFAX 2013.03.13)
http://www.risfax.co.jp/risfax/article.php?id=40744
今回も頼りになるのは下記メデイアです。
第3回OTCネット販売検討会~不思議な人たち!
(NET IB NEWS 2013.03.14)
http://ib-kenko.jp/2013/03/otc_2_0314_knk_1.html
(続きの記事が出ましたら、コメントに追加します)
記事にもあるように、私も検討会をいっそのこと公開にして、一般用医薬品のネット販売について何が問題になっていて、どのような懸念があるか生活者に広く知ってもらうことも一案かと思います。
このままだと前回の二の舞になりそうです。
気がかりなのは、推進派から出されているものがそのままガイドラインとなってしまわないかどうかです。
それとも議員立法が出されて、政治的に決まってしまうのか、まだまだ注視が必要です。
委員である、ライフネット生命保険株式会社 代表取締役副社長の岩瀬大輔氏が自らのブログで意見を述べています。
対面販売原則は合憲か
( ライフネット生命 副社長のブログ 2013.03.18)
http://blog.livedoor.jp/daisuke_iwase/archives/6380968.html
それにしても、もう次は第4回になるというのに、厚労省は議事録はいつ出すんでしょうね?
議事録は、参加構成員の確認を経ないと出せないルールだと思います。 どなたかが留保を決め込むと、公開が遅れるものと思います。 厚労省が出さないということよりも、ありそうな事由と思われます。
そういえば、エパデールの審議が行われたはずの一般用医薬品部会も去年10月、11月の議事録がまだアップされていませんね。
販売開始までには是非アップしてもらいたいのですが、発言内容が記録に残ると不都合と考える委員がいるのではないかと邪推してしまいます。
催促をしたからというわけではありませんが、夕方、注目の議事録がアップされました。
医系議員がどのような発言をしているかこれから見てみます。
2012年10月17日 薬事・食品衛生審議会 一般用医薬品部会議事録
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002xdr5.html
2012年11月26日 薬事・食品衛生審議会 一般用医薬品部会議事録
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002xe0m.html