薬剤師医薬品のネーミングも必要(衆院厚生労働委員会)

 まだ、全部の内容を確認していませんが、15日行われた衆議院の厚生労働委員会で、伊佐進一(公明党)委員と柚木道義(民主党・無所属クラブ)委員が、医薬品のネット販売や一般用医薬品の販売制度について質疑を行っています。(他の委員の質問については確認中)

厚生労働委員会(2013.3.15)
(衆議院インターネット審議中継)
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=42511&media_type=fp

(1:36.30あたりから)
伊佐委員:
医薬品のネット販売が事実上の解禁状態になっている。規制改革会議の見解も踏まえた大臣の所見は?

厚労大臣:
利便性というものもあると思いますが、やはり薬でありますから、安全性の確保をどうとるか、これが重要なところでございまして、その部分を十分と勘案したい。

伊佐委員:
現在のネット販売において、どのような安全性の懸念があるか?

とかしき政務官:
購入者が適切なサイトかどうかの判別がしにくい。購入者の意識のないまま、違法なサイトから不適切な医薬品を購入される可能性がある。また、購入した際に何らかのトラブルがあった場合、また相談をしたい場合に、突然そのサイトが閉鎖されるというケースも考えられれるなど責任の所在がはっきりしないことが多々考えられる。

伊佐委員:
副作用の問題と違法業者の問題を議論する必要がある。ネット販売についても副作用については情報提供と相談体制の確保が必要であると考える。

(食品医薬品局長の答弁ははっきりせず)

伊佐委員:
セルフメディケーションは自己判断であるからリスクが存在するが、専門家を含めたサポートが必要と考えるが?

とかしき政務官:
セルフメデフィケーションには専門家のアドバイスが重要。薬剤師等の専門家のきちんとした情報提供を行うことが必要。

(1;52.00あたりから)
柚木委員:
医薬品のリスク区分がわかりにくく、消費者に十分理解されていない、薬剤師が積極的に管理するという意味で、諸外国のように薬剤師医薬品という名称にすれば、消費者にとってわかりやすく、また現場の薬剤師も自ら積極的に関わるというモチベーションがあがり、薬剤師不在の薬局ということから脱却できるのではないか。

厚労大臣:
やっと周知されたところで新たに混乱も想定されるが、名称変更で逆に混乱もなくなる可能性もあり、検討したい。

柚木委員:
ネット販売については、郵便等の配送の質や、薬物乱用、営業の継続性がない業者などの問題がある。リアル店舗を構えているかどうかが論点になるかと思うが。

厚労大臣:
無店舗販売は想定されていないので心配ないと思う。

柚木委員:
第一類販売で薬剤師が積極的に関与していないという調査結果がある。書面を用いた説明が十分行われていない状況を考えると、国民から批判されても仕方がない。政府はこういった現状をどう考えているか?

とかしき政務官:
(あまり答えになっていない)

 「第一類医薬品」いう名称ではなく、「薬剤師医薬品」(個人的には要薬剤師薬という名称でもいいと思う)という名称にすべきとする柚木委員の提案については、私も同意しますね。

関連情報:TOPICS
 2013.01.11 一般用医薬品への転用の在り方などに関する質問主意書


2013年03月15日 17:43 投稿

コメントが2つあります

  1. >柚木委員:第一類販売で薬剤師が積極的に関与していないという調査結果がある。書面を用いた説明が十分行われていない状況を考えると、国民から批判されても仕方がない。政府はこういった現状をどう考えているか?

    答弁例「システムがおかしかったと反省しています。たとえば、この答弁を100%文書を用いてやりなさいと規定したようなものですから。まともな専門家であればこそ、個々の顧客にあった説明を口頭でする割合が増えるのは当たり前です。さっそく、文書説明の項目について、削る方向で検討したいと思います」

     文書説明の項目をつくった役人さんの面子は潰れますけど、問題なし。

  2. アポネット 小嶋

    ようやく議事録がアップされました。

    衆議院厚生労働委員会 第183回第2号 平成25年3月15日(金曜日)
    http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009718320130315002.htm

     以下、柚木委員の部分を抜粋します。

    —————————————————–

    柚木委員:
     御案内のように、薬事法の定める一般用医薬品の分類でございますけれども、一類、二類、数字で区分するのが、一般の方からするとそもそもわかりにくいのではないかという指摘もございます。海外などではもっとわかりやすく、例えば薬剤師薬とか薬局薬とか、消費者にわかりやすいネーミングとなっているようでもございます。

     それで、薬事法の法文を読むと、第一類医薬品というのは、薬剤師の関与をより明確化させるものと理解をいたします。そうであるならば、薬剤師が積極的に関与する医薬品という意味で、薬剤師医薬品などという名称も考えられるのではないでしょうか。その方が、薬剤師の皆さんも、みずから積極的に関与していこうというモチベーションも高まるはずでございまして、最近言われるように、薬剤師不在の薬局というようなことから脱却できるのではないかと思うんですが、医薬品の分類について、ネーミングも含めて検討いただけないか、田村大臣に伺います。

    田村厚労大臣:
     薬事法改正、平成十九年に、第一類、第二類という形で、第三類まで含めて名称をつけてきたわけでございまして、そういう意味では、やっと周知されてきたところで、名前を変えること自体、また混乱が生まれるのではないのかなという気もいたします。

     一方で、委員おっしゃられたとおり、わかりやすい名前をつけてしまえば、それだけ、後、いろいろな問題が起こらない可能性もあるのであろうというのも、それは、言われる御指摘、理解するところでございます。

     今、インターネット等の販売に関しましても、いろいろな議論を検討会でしていただいております。私の方も、先生の御意見をしっかりと踏まえながら、これからいろいろな御議論はさせていただきたいというふうに思います。

    柚木委員:
     本当に、一般の利用者の方、患者さんにわかりやすいネーミングというものを、ぜひ議論を進めていただければと思います。

     次に、医薬品のネット販売のルール検討会が省内で開催されていると承知をしておりますが、ここでは、郵便等の配送の質の保証にも踏み込んだ検討がなされているのかどうか、これを確認させていただければと思っております。

     また、ネット販売をする業者の方が、特定の商品に限って販売するようなものであれば、例えば薬物の乱用を助長するとか、あるいは劣悪な商品を売りつけるようなことがあってはならないわけですが、そういう懸念も私は生ずると思っております。

     あるいは、営業の継続性ですね。この継続性をあえて行われないような業者であったりしては、これは医薬品流通に大きな支障を来すことにもなると思っております。

     したがいまして、ネット販売のルールづくりに当たりましては、事業者が従前の薬局等の施設基準を満たす、いわゆるリアル店舗をきちんと構えているかどうかというのは一つの重要な論点だと思います。

     こういった問題について、国民の健康を守ると所信でおっしゃられている大臣の御見解を伺えればと思います。

    田村厚労大臣:
     まずは、郵便等々で販売する場合、運送といいますか輸送等々ですね、ここで品質をしっかりと確保できるのかというお話であったと思います。

     そもそも、医薬品を保管する場合も、湿度でありますとか温度、それから直射日光等々をやはり気にしなきゃならぬわけでありまして、それは当然、輸送するときもそういうものを考えなきゃならぬわけでありますね。特に液体なんかの、シロップのせきどめでありますとか、そういうものに関しましては品質が変わりやすいということもございますので、そういう部分も、今後、この検討会の中でいろいろと御議論をいただけるものだというふうに思っております。

     それから、もう一方で、無店舗で、インターネットでだけ配送する、そういうような薬局、薬店というものは認めるのかという話なんですが、そもそも、やはり店頭で売るということが薬局や薬店の前提となっておるというふうに認識いたしておりますから、そういうものは認められないというふうに思っておりますし、実際問題、日本オンラインドラッグ協会等におきましても、そういうことは前提に考えていないというお話でございますので、そういうことにはならないというふうに理解をいたしております。

    柚木委員:
     大臣がしっかりとした御見解をお持ちということで、安心をしたところでもございます。

     先ほどの伊佐委員からも、やはり利便性と安全性という部分、本当にございますので、しっかり今の御所見の中で議論を進めていただければと思います。

     もう一点、そういった中で、医薬品販売の現状という観点から質問をさせていただきたいと思っております。

     先ほども少し申し上げましたが、第一類医薬品の販売について、薬剤師が積極的に関与をしていない、あるいはできていないと言うべきなのか、そのようなデータが、政府のこれは覆面調査というんでしょうか、多々報道もなされておるところでございます。

     薬剤師の方が第一類の医薬品をきちんと販売できていない、こういうことですと、例えば、具体的に言えば、現行の薬事法が規定します書面を用いての説明、これも十分に行われていないという状況と言わざるを得ない。

     そうすると、対面販売が必要、重要だと主張したとしても、そこがいま一つ、国民からしてみれば説得力に欠けるということなんだと思うんですね。

     ですから、国民目線からいたしますと、書面などなくとも自分で使うことができるし、薬剤師さんに説明してもらわなくても使えるよと言われてしまっても、現状からすれば仕方がない部分があると言わざるを得ません。

     リスクが高いから薬剤師の方が積極的に関与する第一類医薬品を規定したということであれば、そのリスクを軽減するために薬剤師の方が何をできるのかを国民に明示する必要があると思います。

     政府は、第一類医薬品の販売で十分な働きができていないという現状にある薬剤師のこの部分についての対応をどのようにお考えなのか、現状をどのように脱して、国民が望む情報提供をするようにしていくのか、あるいは、職能としての薬剤師にどのような役割を期待しているのか、大臣のお考えをお示しください。

    とかしき厚労大臣政務官:
     私も薬剤師でございますので、両方の立場からお答えさせていただきたいと思います。

     委員御指摘のとおり、平成二十三年度の調査結果によりますと、専門家による情報提供を求める販売制度の定着は進みつつあるというふうに報告は受けておりますけれども、しかしながら、第一類の医薬品の販売の際に、文書を用いた説明が徹底されていない事例が見られたところでもあります。

     ということで、今後も、こういったことがないように、販売制度の定着、きちっと文書でも徹底されるようにこれからも図っていきたいと思っております。

     薬剤師としましては、やはりチーム医療、これから特に在宅医療などでは重要な役割を果たしていくかと思いますので、生涯学習の充実など、質の向上に努めていきたいと思います。