シロスタゾールの使用制限を勧告(EMA)

 欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)は22日、日本でも広く使われているシロスタゾール(プレタール他)について、出血や心血管系の有害事象が懸念されるとして、一部の患者に対する使用制限を勧告しています。 

European Medicines Agency recommends restricting use of cilostazol-containing medicines
(EMA Press Release 2013.03.22)
http://www.ema.europa.eu/ema/index.jsp?curl=pages/news_and_events/news/2013/03/news_detail_001746.jsp&mid=WC0b01ac058004d5c1

日本語訳概要(医薬品安全性情報 Vol.11 No.09(2013/04/25))
http://www.nihs.go.jp/dig/sireport/weekly11/09130425.pdf#page=10

 今回の発表はシロスタゾールの心臓への影響についての重篤な副作用が寄せられているというスペイン医薬品庁の報告を受け、EMAがレビューを実施、評価結果の勧告として発表されたものです。

 レビューにあたっては、下記論文の他、14000の安全性のデータが検討されたそうです。

Long-term safety of cilostazol in patients with peripheral artery disease: the CASTLE study (Cilostazol: A Study in Long-term Effects).
(J Vasc Surg. 2008 Feb;47(2):330-336)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18155871
http://www.jvascsurg.org/article/S0741-5214(07)01609-6/fulltext

 EMAでは、レビューの結果、シロスタゾールには出血や心臓血管系の有害事象のリスクに懸念があるなどとして、医療専門職に次のような勧告を行っています。

  • シロスタゾールの間欠性跛行への使用はライフスタイルへの介入で十分改善しない場合のみ使われるべきである
  • シロスタゾールの間欠性跛行への使用は3か月使用して臨床的に改善が認められった場合は中止すべきである
  • シロスタゾールは不安定狭心症の患者、6か月以内に心筋梗塞があった患者や経皮的冠動脈形成術を行った患者には使われるべきではない
  • シロスタゾールは、アスピリンとクロピドグレルを含む2つ以上の抗血小板薬または抗凝血薬を使用中の患者には使われるべきではない
  • シロスタゾールは、CYP3A4阻害薬(エリスロマイシン、イトラコナゾール、シメチジン、ジルチアゼム、グレープフルーツジュースなど)またはCYP2C19阻害薬(オメプラゾールなど)を使用中の患者では減量されるべきである(プレスリリースでは強力な阻害薬となっていますが、日本の添付文書を参考に該当薬を抜粋しました)

 ちなみに日本では、警告欄で「本剤の投与により脈拍数が増加し、狭心症が発現することがあるので、狭心症の症状(胸痛等)に対する問診を注意深く行うこと」とされていますが、禁忌になっているのはうっ血性心不全などだけです。

4月25日リンク追加


2013年03月23日 10:23 投稿

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