厚労省は29日、1999年以降に国内で承認されたパロキセチン除く6種類の抗うつ薬について、「18歳未満(エスシタプラムは12歳未満)の大うつ病性障害患者(MMD)に投与する際には適応を慎重に検討すること。」などの記載を行うよう、添付文書の改訂の指示を行っています。
使用上の注意改訂情報(平成25年3月29日指示分)
http://www.info.pmda.go.jp/kaitei/kaitei20130329.html
今回の改訂にあたっては、専門委員によるレビューが行われていて、改訂に至った考え方を示した、詳しい調査結果報告書も公表されています。
新規抗うつ薬(SSRI、SNRI、ミルタザピン)における18 歳未満の大うつ病性障害患者を対象とした海外検証的試験に関する調査について
(PMDA 調査結果報告書 2013.03.19)
http://www.info.pmda.go.jp/kaitei/file/20130329frepno1-5.pdf
今回の添付文書の変更については、各紙が事前に取り上げていたのでどのようなものになるのか注目していたのですが、基本的にはパロキセチンと同じ表現にとどまり、記載される個所もパロキセチンの「警告」欄ではなく、「効能・効果に関連する使用上の注意」への記載であり、各紙が報じているほど中身的には大きな変更と言えるものとは言えません。
今回の添付文書の変更を受け、関係学会が理事長連名がコメントを出しています。
大うつ病性障害の小児に対する新規抗うつ薬の投与にかかる添付文書改訂に対する見解
(日本うつ病学会、日本児童青年精神医学会 2013.03.29)
http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/gakkaitou_gakkai_201303_1.pdf
今回の改訂で、エスシタプラムだけは思春期の子どもも使用可能ともよみとれますが、関係学会では、「今回の添付文書改正でも他の薬剤とは異なる表現が採用されているが、日本においては小児における有効性と安全性を示す試験がまだ行われていないこと、心電図QT時間の延長などを来すこともあることから、本剤の使用が積極的に推奨されると考えるのも尚早である。現時点においては、いずれかの薬剤を積極的に選択するだけの合理的な根拠はない。」として、年齢により治療反応性が異なることを踏まえ、慎重に薬物療法を実施することを求めています。
一方で、今回の添付文書の改訂で薬物療法の可能性が否定されるものではないとして、患者家族が自己判断によって服薬を中断することを危惧されるなか、現場の医師に対し、このたびの添付文書改訂の背景を踏まえた説明を行い、患者ならびに患者家族が安心して治療に臨めるよう、心がける必要があるとしています。
2013年03月29日 14:11 投稿