5日、注目の一般用医薬品のインターネット販売等のルール作りを行う5回目の検討会が開催されています。(今後記事更新する場合があります)
第5回一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会 資料
(厚労省 2013.04.05 開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002z6to.html
今回も、傍聴されたと思われる方がやりとりの一部をツイートしています。
厚生労働省:一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会
(第5回・2013/04/05)実況ツイ―ト
http://togetter.com/li/483264
資料1:
一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する主な論点(案)
資料2:
第1回~第4回検討会における主なご意見等
資料3:
セルフケア及びセルフメディケーションにおける薬剤師の役割(WHO報告書の抜粋(仮訳))
資料4:
安全性確保のための具体的方策に関する法令規定
資料5-1:
一般用医薬品販売の手引き(第1版)(平成21年6月 日本薬剤師会)(抜粋)
資料5-2:
対面話法例示集(二訂版)(平成21年12月 日本薬剤師会)(抜粋)
資料5-3:
一般用医薬品のインターネット販売に関するガイドライン(2013年1月11日 特定非営利活動法人 日本オンラインドラッグ協会)(目次追加版)
資料6-1:
インターネット販売等における様々なコミュニケーション手段について
資料6-2:
インターネット・コミュニケーションと対面コミュニケーションにおける情報の伝わり方の差異についての意見書(後藤構成員提出資料)
資料7:
一般用医薬品のリスク分類の考え方について
資料8:
第1類・第2類医薬品のインターネット販売を行っている薬局・薬店調査結果
(2月末の時点で150店舗を確認。うち17店舗では第1類もネット販売)
資料9:
一般用医薬品の服用により生じた副作用症例の具体例(PDF)
議事はまず事務局より上記資料の説明があったのですが、事務局によって示された論点(案)についてはインターネット販売は法的に認められいているかどうかの入り口論などで、議論がまず伯仲したようです。
資料1:一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する主な論点(案)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002z6to-att/2r9852000002z6wh.pdf
- 一般用医薬品の意義について
(1)専門家の適切なアドバイスの下、身体の軽微な不調や軽度な症状を自ら手当てする上で重要なものではないか。(2)他の商品やサービスとは異なり、程度の差こそあれ、リスクを併せ持つものであることから、必要な情報が適切に提供され、購入者側に十分理解された上で、適正に使用されることが重要ではないか。
- 一般用医薬品の安全性確保のための方策について
(1)安全性確保のための基本的なポイントとして、以下のような点が挙げられるのではないか。
①販売に当たって専門家が購入者側の状態を的確に把握すること
②販売に当たって購入者側と専門家との円滑な意思疎通(コミュニケーション)を確保すること
③保管や搬送に当たり、適正に品質管理等を行うこと(2)具体的には、例えば、以下のようなことが求められるのではないか。
①安心できる店舗において販売されること
②購入者側の状態や状況、問題意識、困っている点などが正確に専門家に伝わり、それらに基づき購入者側の状態等を適切に確認できること
③必要な資質・知識を持った専門家が確保されていること
④医薬品の必要な情報を、専門家が積極的に、分かりやすく、かつ確実に購入者側に伝え、購入者側がそれを適切に理解できること
⑤購入者側の相談に専門家が適切に応じられること
⑥医療が必要な人に適切な医療にアクセスさせられること
⑦多量購入、頻回購入等を防止可能なこと
⑧医薬品の陳列、表示等が適切に行われること
⑨販売後も必要な相談に応じるための体制が整備されていること
⑩保管や搬送に当たり、専門家の管理・監督の下、適正に医薬品の品質管理等が行われること
⑪医薬品の選定から情報提供、受渡し、販売後のフォローにわたる全ての流れにおいて、専門家が関与、管理・監督し、購入者側からもそれが明確に分かること
⑫医薬品の適正使用を促すこと(3)上記以外に一般用医薬品の安全確保に必要な方策をどのように考えるか。
- インターネット販売等の特徴
(1)インターネット販売等のコミュニケーション方法として、メールや電話、テレビ電話など様々な手段が想定されるが、各々の特徴をどのように考えるか。(2)一般用医薬品におけるインターネット販売等の安全対策について、課題とその解決策をどのように考えるか。
(3)一般用医薬品における対面販売の安全対策について、課題とその解決策をどのように考えるか。(4)インターネット販売等の利便性についてどのように考えるか。
- インターネット販売等を認める範囲とその条件などについて
(1)一般用医薬品のリスク分類ごとの性格や副作用の発生状況などをどのように捉えるべきか。(2)これまで検討会において、以下のような意見が出されているが、これについてどのように考えるか。
・第1類については、インターネット販売は絶対に禁止すべき。
指定第2類については、インターネット販売は禁止すべき。
他の第2類や第3類については、条件を付して認めるべき。
・第1類、第2類、第3類にかかわらず、対面で買いたい人は対面で買っても良く、ネットで買いたい人はネットで買っても良いのではないか。(3)インターネット販売等を認める際の条件をどのように考えるか。また、行政による監視指導を実行可能なものとするためには、どのような点に留意する必要があるか。
(4)販売した医薬品により健康被害等が生じた際の責任の在り方をどのように考えるか。
- 新しいルールについては、憲法や現行の法体系との整合性を図り、違憲・違法とならないものとする必要があるのではないか。
- 一般用医薬品のインターネット販売等の普及とともに偽造医薬品や偽の販売サイトなどが増加するのではないかとの懸念が出されているが、今後、どのような取組や対策が考えられるか。
- その他
議論になったのは、資料6-2の上智大経済学部の杉谷陽子氏がまとめた、オンライドラッグ協会提出資料「インターネット・コミュニケーションと対面コミュニケーションにおける」情報の伝わり方の差異についての意見書です。(コピペ等不可なので、下記資料をご覧下さい)
資料6-2:
インターネット・コミュニケーションと対面コミュニケーションにおける情報の伝わり方の差異についての意見書(後藤構成員提出資料)
上記によれば、インターネットコミュニケーションの方が対面コミュニケーションより「伝達度」が優れているといった調査結果が得られた(面と向かって恥ずかしくて言えないようなことでも、ネットなら言えるなど)という内容なのですが、当然委員からは「若者を対象にした調査であり一般化できない」などの反発の声が示され、事務局にこれを確認するよう意見が示されました。(今さら、また優劣を競ったって意味がないと思うんだけどね)
杉谷氏の論文等については下記を
杉谷陽子のホームページ・業績一覧(上智大学経済学部)
http://pweb.sophia.ac.jp/sugitani/publications.html
その後、論点案の取扱いが争点となり、5番目になっている憲法論を上の項目あげ、きちんと議論するよう後藤委員が強く主張したようです。
関連記事:
第5回検討会を前にケンコーコムが記者会見
(NET IB NEWS 2013.04.04)
http://ib-kenko.jp/2013/04/post_834_0404_dm1217_01.html
http://ib-kenko.jp/2013/04/otc_0404_dm1217_02.html
それと、最後に動議?が出ましたが、もう5回目というのに、厚労省は今回もどうして海外の詳しい事情を資料として提出しなかったのでしょうか?
海外の事情が異なるということが背景や、議論が紛糾するのを避けたいという思いがあってのことでしょうが、 比較対照するものがなければ、議論が先に進まないと思います。
もちろん、海外事情を伝えるときは、海外では日本のような沢山の成分が入った総合感冒薬(しかも大包装)が少ないことや、コデイン類やプソイドエフェドリン配合製品(米国などではネットでは買えない)の販売規制、乱用や誤用対策が行われていることについても示さないと意味がないのですが、これらを資料として提出されたらもう議論にならないかもしれませんけどね。(個人的には店舗販売も含めた一般用医薬品の販売のあり方も議論すべきだと思う)
次回は4月19日だそうです。
関連情報:TOPICS
2013.03.22 第4回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
2013.03.13 第3回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
2013.02.27 第2回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
2013.02.14 一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討が始まる
2013.03.11 医薬品ネット販売、半年以内に全面解禁を求める(規制改革会議)
2013.03.03 OTC、添付文書まできちんと目を通す消費者は少ない?
2013.03.01 医薬品ネット販売についての現時点における厚労省のスタンス
2010.05.01 コデイン配合OTC鎮痛薬の販売規制が開始(豪州)
2009.09.04 ジヒドロコデイン配合OTC風邪薬,事実上使用禁止へ(英国)
2009.01.26 OTC鎮痛剤で依存が起こるか?(英国)
2013.02.14 一般用医薬品の店舗販売における見直しを求める要望書
2013年04月05日 18:01 投稿
米国でのOTC医薬品販売は、連邦法レベルでは処方箋医薬品と異なり、日本でいえば医薬部外品並みの規制となります。 つまり、どこで売ろうとかまわない。
しかしながら、実際の流通はいわゆるドラッグストア(かつ、米国のドラッグストアは基本的に処方箋受付を行い、調剤を実施している。つまり、日本でいえば薬局)が担っています。
さらに、州法レベルでの規制が別途行われ、プソイドエフェドリン製剤の販売規制は、州法レベルによっています。コデイン製剤については、乱用問題から商品が消滅してしまったといえます。
米国では、一般商店で非処方せん薬が販売されている割合はどのくらいなのでしょうか?
一般商店ではどのようなものが特に扱われているのか? 日本のような総合感冒剤のようなものが山積みでってことはないのではないかというイメージなのですが。
以前、欧州の消費者では、「薬剤師のアドバイスが薬剤選択の上で非常に重要である」と答えた人が平均で38%(ベルギー・スペインでは50%超)を占めているのに対し、日本では15%、米国では13%にとどまったというニールセンの調査(TOPICS 2009.06.12)を紹介しましたが、今回の問題の背景には、この数字が如実に示すように、OTC医薬品(非処方せん薬)の販売に際し薬剤師が関わってこなかったという事実と、OTC医薬品は自分で選んで買うことという社会的認知を作ってしまったからではないかと思います。
そうでなければ、「インターネットコミュニケーションの方が優れているんだ」といった話が堂々と語られるということはなかったと思います。
今日も、日本チェーンドラッグストア協会の宗像事務局長が加盟企業に販売自粛を要請したとの報道(→日経)がありますが、遅れたら負けとどの会社も思っているでしょうから、もう止められないでしょう。
元はといえば、ドラッグストアなどの量販店が、消費者の選択の自由の名の下に、効率化のためのセルフ販売を推し進め、専門家を介さない販売スタイルを社会に認知させたのが原因です。
90年代に業界紙でドラッグストアのある方が、「今時だれでもわかっている大衆薬を説明して売るのは化石」といった記事が今でも目に焼き付いています。
私はOTC医薬品による乱用や誤用へのリスク対策が今回の鍵だと思います。
ですから、ネット販売だけでなく、店舗販売も含め検討することが必要であると思います。
いわゆる、数量制限だけでは無理だと思います。
即ち、多くの成分が配合されたOTC医薬品(特に総合感冒薬)の現状が本当にいいのかどうか、乱用につながる大包装品が簡単に入手できる状況のままでいいのかどうか、私はこういった点も議論して欲しいと思っています。
ドラッグストア以外では、いわゆるコンビニエンスストア(7Elleven等)や、空港のKioskでの販売が目立ちますが、品目としては限定的なものとなっています。生活者にとってなじみの深い、まさに説明不要の商品で、かつ包装容量は1日分程度のものが販売されています。
ただし、ドラッグストア(日本でいえば薬局)の棚では、日本的な総合感冒薬に相当するものが増え、また解熱鎮痛薬の大容量包装品も並んでいます。
豪州やニュージーランドは、薬剤師会で評判が高いようですが、米国よりも多数のOTC医薬品がコンビニエンスストアの棚に並んでいます。
情報ありがとうございます。
2013/04/06 産経ニュース
小売り各社は市販薬のネット販売を強化。イオンは3月上旬、ネットスーパーを扱う全国127店舗のエリアで、かぜ薬など第2類の販売を開始。ネット画面に説明が明示され、店舗の薬剤師などが問い合わせに応じる。セブン&アイ・ホールディングスも、東日本を中心にネットスーパーで第3類を扱うほか、第2類についても検討を始めた。ドラッグストアでは、ウエルシアホールディングスが国が認める一部消費者に限定し、第2類を販売する。
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お人好しな薬剤師たちが、結論さえ出せずに賛成反対と言って牽制しあっている間に、流通大手が、家電量販店が、一般医薬品のネット通販に奇襲攻撃開始。あっと言う間に市場を占拠されてしまうでしょう。
個人薬局はおろかドラッグストアーも存亡の危機を迎えることになりました。
今更ながら、ネット通販を禁止して登録販売者は認めたという日本薬剤師会の判断は、間違いだったと思う。
日本薬剤学会名誉会長の永井恒司氏が9日、「一般用医薬品のインターネット販売等に関する問題は単なる国内問題ではなく国際問題として取り上げて対処されるべきですと考えます」とした意見書を検討会関係者向けに提出したそうです。
厚生労働省一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会関係各位殿
(日本薬剤学会名誉会長他 永井恒司 2013.04.09)【日刊薬業行政情報】
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226604485659
>医薬品は、高度の国際性・科学性・人間性が付加され、人々の生命に関わる
>hardware/software/humanity の総合システムであります。このような
>システムが、世界でリードすべき第1級の先進国の日本において、一般販売業
>商品と同様に手軽に扱われることが、国際的に理解されません。
大いに同意するとともに、いろいろと考えさせられる内容です。
医薬分業もそうですが、「薬剤師なしでは薬は売れない」というあるべき姿を、薬剤師が集まらないからとか、効率化の名の下にこの30年間で壊してしまったからですからね。
果たして、検討会で取り上げられるかどうか。
Tweetに後藤さんが書込みしていますが、何か勘違いをされているのではないでしょうか? ドイツで判決が出たのはネット販売が優れているという趣旨ではなく、欧州共同体の原則市場一体化の中で、ドイツの医薬品法で海外企業のネット販売を禁止することはダメという、今回の最高裁と同様な杓子定規の判決だったと記憶します。
またも、
各紙報道をまとめました。
薬のネット販売、全面解禁が焦点に 厚労省が条件示す
(日本経済新聞 2013.04.05)
http://s.nikkei.com/Zhuock
【厚労省検討会】安全性確保と規制条件‐ネット販売めぐり論点整理
(薬事日報 2013.04.10)
http://www.yakuji.co.jp/entry30824.html
http://www.qlifepro.com/news/20130410/safety-and-regulatory-conditions-online-shop-tour-debates.html
課題残すも論点整理を了承、医薬品ネット販売検討会
(m3.com 2013.04.08)
http://www.m3.com/news/GENERAL/2013/4/8/169658/
第5回OTC医薬品ネット通販検討会~提出資料の批判合戦始まる(前)
(NET IB NEWS 2013.04.05)
http://ib-kenko.jp/2013/04/otc_2_0405_dm1217_1.html
第5回OTC医薬品ネット通販検討会~賛成派が巻き返し?(中)
(NET IB NEWS 2013.04.08)
http://ib-kenko.jp/2013/04/otc_2_0408_dm1223_1.html
第5回OTC医薬品ネット通販検討会~「対面販売が優位」は幻想?(後)
(NET IB NEWS 2013.04.10)
http://ib-kenko.jp/2013/04/otc_2_0410_dm1223_1.html
4月5日 20:43 投稿、21:20追記