OTC鎮痛薬の販売制限(デンマーク)

 TOPICS 2013.02.10 で、OTCアセトアミノフェンの販売制限で過量服用による中毒死や肝移植を減らしたことが示唆されたとするBMJの論文を紹介しましたが、デンマークではこの論文を受けて(?)、アセトアミノフェンやアスピリン、イブプロフェンなどが含まれる鎮痛薬の大包装品については、処方せん薬にすることを決めたそうです。

Hovedpinepiller i store pakninger kommer på recept
(デンマーク保健省 2013.04.05 デンマーク語)
http://www.sum.dk/Aktuelt/Nyheder/Psykiatri/2013/April/Hovedpinepiller-i-store-pakninger-kommer-paa-recept.aspx

Painkillers to be prescription only in Denmark
(デンマーク医薬品庁 2013.04.08 英語)
http://laegemiddelstyrelsen.dk/en/service-menu/news/painkillers-to-be-prescription-only-in-denmark

 6月実施を目途に関係会社との調整中とのことですが、上記によれば、一包装単位あたりの総量で、アセトアミノフェン(パラセタモール)、アスピリン、アンチピリンは10gまで、イブプロフェンについては4gを超えるものは、処方せん医薬品の通り扱いとなるそうです。(デンマークではアセトアミノフェンが1錠500mgを含む製品があるが、これだと20錠が上限となる)

 販売制限の背景には、過量服用による肝障害や腎障害、自殺目的での使用が挙げられます。

 これを日本の一般用医薬品の配合基準にあてはめるとと、アセトアミノフェンは1回300mg(1日900mg)なので、総合感冒剤や鎮痛解熱剤だと34回分を超えるのが該当となるので、パブロンゴールドA微粒の44包やノーシンの100包などは、デンマークでは販売できないということになります。

 OTC鎮痛薬の包装制限は、ドイツ(TOPICS 2012.06.30)の他、スウェーデンでも実施されており、生活者からは不満の声もあるようですが、当局としては乱用や誤用などの予防的な措置として対応せざるを得ないのでしょう。

 連用のリスクを十分知らないままで鎮痛薬・総合感冒薬気軽に使うことができるのはもしかしたら日本だけかもしれません。

 これでもし、総合感冒薬や鎮痛解熱剤がネットで購入が可能となれば、連用や乱用によるリスクにあまり気づかない・気にしないままに使用される可能性があります。

 パックへの直接のリスク標示を含め、店舗販売も含めて、日本の状況についても、そろそろ真剣に考える必要があるのではないでしょうか?

関連情報:TOPICS
 2013.04.16 OTC薬の大量・頻回購入の対象はブロンだけではない
 2013.02.10 OTC鎮痛薬・風邪薬の包装(販売)制限は必要か
 2012.09.14 日本人はOTCの副作用や依存性はあまり気にかけない?
 2012.07.30 OTC薬の乱用・依存の実態(厚生労働科学研究)
 2012.06.30 OTC鎮痛薬は4日分までに制限すべき(ドイツ)

参考:
Store Panodil-pakker bliver receptpligtige til juni
(2013.04.05)
http://www.ugeskriftet.dk/portal/page/portal/LAEGERDK/UGESKRIFT_FOR_LAEGER?public_modtager=6&public_visningsType=15&public_forrigeVisningsType=16&public_nyhedsId=87338

Sverige tillader kun 20-stykspakninger: Øget doser øger risiko for selvmordsforsøg
(2013.01.22)
http://www.ugeskriftet.dk/portal/page/portal/LAEGERDK/UGESKRIFT_FOR_LAEGER?public_visningsType=5&public_modtager=0&public_forrigeVisningsType=4&public_nyhedsId=84614&public_afsender_gruppe=9,13


2013年04月18日 12:12 投稿

コメントが2つあります

  1. アポネット 小嶋

    デンマーク医薬品庁は、鎮痛薬の大包装品について、9月30日から処方せん医薬品にすると発表しています。

    Painkillers to be prescription only in Denmark from 30 September 2013
    (Danish Health and Medicines Authority 2013.05.27)
    http://laegemiddelstyrelsen.dk/en/service-menu/news/painkillers-to-be-prescription-only-in-d–ember-2013

    小包装品のみ over-the-counter で買えるとなっていますね。(セルフはダメってこと?)

    詳細については触れていないので4月のアナウンス通りになるようです(詳報についてははこれからもチェックします)

    ノーシン100包を3箱、パブロンA錠210錠を5箱をネットでまとめ買いができる日本はこういったデンマークの対応をどう考えたらいいでしょうね。

    ネット販売検討会も海外のこういった動きはきちんと示さないとね。

  2.  提示された記載では、小包装品の払底を防ぐとの業界意見等を踏まえ、実施時期を遅らせたようです。 また、引き続き、償還対象とすることができるとしており、医師への注意喚起もあります。
     素直に、大包装品のリスクを考慮した措置ということかと思われます。 
     他方、デンマークを含む欧州全体としては、OTC医薬品のうち、GSL(英国でいう一般販売品目)規制への移行を促進する動きも強く、スーパーマーケット等の棚に、風邪薬や解熱鎮痛剤が(医薬品販売業の許可とは関係なく)並んでいる国も少なくありません。