米FDAは30日、サムスカ錠(成分名:トルバプタン)について、臓器移植や死に至る肝障害の可能性があるとして、使用期間を30日に制限するなどのラベルの変更指示を行ったことを明らかにしています。
Samsca (Tolvaptan):
FDA Limits Duration and Usage Due To Possible Liver Injury Leading to Organ Transplant or Death
(FDA Drug Safety Communication 2013.04.30)
http://www.fda.gov/Safety/MedWatch/SafetyInformation/
SafetyAlertsforHumanMedicalProducts/ucm350185.htm
FDA Drug Safety Communication: FDA limits duration and usage of Samsca (tolvaptan) due to possible liver injury leading to organ transplant or death
(Drug Safety and Availability 2013.04.30)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm350062.htm
今回の変更は、 常染色体優性多発性嚢胞腎(Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease, ADPKD)を対象とした臨床試験で重篤な肝障害の事例が明らかになっているためで、医療専門職に対し、次のような注意を呼びかけています。
- Samsca treatment should be stopped if the patient develops signs of liver disease.
肝臓の病気の徴候が見られる場合は、サムスカによる治療は止められるべきである - Limit the duration of Samsca treatment to 30 days or less.
サムスカによる治療の期間は30日以下に制限する - Avoid use of Samsca in patients with underlying liver disease, including cirrhosis, because the ability to recover from liver injury may be impaired.
肝障害からの回復能力が弱められる可能性があるので、肝硬変を含む肝疾患を基礎疾患として有している患者へのサムスカの使用は避けること
関連論文:
Tolvaptan in patients with autosomal dominant polycystic kidney disease.
(NEJM 2012 Dec 20;367(25):2407-18.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23121377
関連情報:TOPICS
2013.03.06 海外公的機関 医薬品安全性情報Vol.11 No.5
2013年05月01日 14:11 投稿
詳しい関連記事です。
肝機能障害リスク減少策でトルバプタンの投与期間制限へ,米FDA
(MT Pro 2013.05.01)
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1305/1305001.html
紹介遅れましたが、大塚製薬は23日、投与2週間は定期的な肝機能検査を行うことと、目標体重(体液貯留状態が良好にコントロールされているときの体重)に戻った場合は、漫然と投与を継続しないよう注意喚起を行っています。(但し、米国での対応には触れていない)
サムスカ錠7.5mg/15mg 適正使用のお願い
重大な肝機能障害の回避のための肝機能検査に関するお願い
(PMDA 2013.05.23掲載)
http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/kigyo_oshirase_201305_1.pdf
上記によれば、因果関係が否定できない重篤な肝機能障害の報告が26例(2013年4月24日現在)あったそうです。
関連記事
トルバプタン投与2週間は定期的な肝機能検査を
(MT Pro 2013.05.24)
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1305/1305070.html
厚労省は7月9日に添付文書改訂の指示を行っています。
使用上の注意改訂情報(平成25年7月9日指示分)
http://www.info.pmda.go.jp/kaitei/kaitei20130709.html#2
http://www.info.pmda.go.jp/kaitei/notice/20130709no2.pdf
調査結果概要によれば、肝機能障害関連症例27例(うち、因果関係が否定できない症例8例であるが、1例は承認効能・効果外の症例)があり、転帰死亡症例が5例(うち、因果関係が否定できない症例0例)あったそうです。
7月31日発出の医薬品・医療機器等安全性情報 No.301でも注意喚起が行われました。
トルバプタンによる肝機能障害について
(医薬品・医療機器等安全性情報 No.301)
http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_anzen/file/PMDSI303.pdf#page=3