欧州9か国における地域薬局をとりまく状況

 ググっていたら、オーストリアの医薬品価格と償還政策のための協力センター(WHO Collaborating Centre forPharmaceutical Pricing and Reimbursement Policies)というサイト(http://whocc.goeg.at/)で、欧州各国の地域薬局をとりまく状況をまとめたレポートを見つけました。

 Impact of pharmacy deregulation and regulation in European countries (2012.03)
  →Summary →Full report

  欧州では、未だ開局規制が敷かれている国がありますが、最近開局制限が緩和された5か国(イングランド・アイルランド・オランダ・スウェーデン・ノルウェー)と、まだ開局規制が行われている4か国(オーストリア・デンマーク・フィンランド・スペイン)について、accessibility、quality、economics の視点で比較検討し、規制緩和の影響をまとめたもので、デンマークの薬局協会が委託を受けてレポートにしています。

 レポートでは各国ごとに、興味深い下記の項目について詳細が記されています。

  • 開局規制が緩和された背景と沿革
  • 薬局へのアクセス状況(特に地方の過疎地での処方せん医薬品の供給状況)
  • 薬局サービスの義務要件(営業時間、医薬品の備蓄、カウンセリングスペースの有無など)
  • 医師が直接調剤できる例外規定の有無
    (例えば、何km以内に薬局がない場合に限るなど)
  • テクニシャンの有無、薬剤師の勤務状況、チェーン店などの占める割合など薬局スタッフの状況
  • 医薬品の分類の仕組み
  • 薬局の取扱い品目
  • 薬局での行われているサービスの有無
    (ワクチン接種、血糖測定など。177ページに一覧表がある)
  • Pharmaceutical counselling
  • 医薬品産業の状況
  • 薬局の経営資源(マージンの仕組みなど)
  • ジェネリック政策や医薬品の償還の仕組み

 また、 「OTC医薬品の販売状況」や「インターネット販売」、「電子処方」などについても各国ごとの詳しい記述があります。(オーストリアではOTCも含めインターネット販売は禁止されている)

 日本におけるこれからの地域薬局のあり方を考える上で、必見のレポートです。


2013年05月14日 14:58 投稿

コメントが2つあります

  1. >■医師が直接調剤できる例外規定の有無
    これは日本でもぜひ厳格にやって欲しいです。
    まずは現行法を遵守さえすればいいはずです。
    「同じ建物にいればよい」なんてのは屁理屈でしかありません。日本では無資格調剤が平気で行われているんです。
    そして薬局は「僻地」対策、僻地での例外規定などありません。医療機関はちゃんと対策してます。

    大手チェーンやDsも商業ベースで考えず医療として調剤を考えて欲しいですね。
    また国も経済界に押されること無く国民の健康安全を考えたら調剤も非営利組織として考えるべきではないでしょうか。

  2. いつも、貴重な情報、ありがとうございます。