第9回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会

 16日、注目の一般用医薬品のインターネット販売等のルール作りを行う9回目の検討会が開催されています。(今後記事更新する場合があります。詳しい状況は、下記実況ツイートまとめと今後の報道でご確認下さい。)

第9回一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会 資料
(厚労省 2013.05.16 開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000320oa.html

 今回も傍聴されたと思われる方がやりとりの一部をツイート(https://twitter.com/hideharus)しています。(今回は細かくて様子がよくわかりました。感謝感謝です。)

厚生労働省:一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会
(第9回・2013/05/16)実況ツイ―ト
http://togetter.com/li/503653

 まず、前回たたき台に修正が加えられたものの説明がありました。(追記部には下線がある)

資料1 議論を進めるための事務局たたき台(修正案)(PDF)

 「インターネットショッピングモール」運営者の責任(海外にはこういった形での医薬品販売のサイトというのはあるのかなあ?)や個人輸入の規制についてが追記されています。

資料2 第1類医薬品が医療用として販売されていた時の副作用発生状況について(PDF)

 ロキソプロフェン、フェキソナジン、ニコチンについて例示

資料3 偽造医薬品・偽販売サイトへの対応について(PDF)

 インターネット上の監視状況と今後の課題がまとめられている。(個人的には、個人の処方せん医薬品の輸入はさらなる規制強化が必要だと思う)

参考資料1
 一般用医薬品販売における安全性確保のための方策について(國重構成員提出資料)(PDF)

参考資料2
 一般用医薬販売の安全性確保のためのJODAの取組みについて(後藤構成員提出資料)(PDF)

参考資料3
 一般用医薬品(第1類、第2類)の主な種類について(第8回資料7)(PDF)

参考資料4
 生出構成員提出資料(PDF)

参考資料5
 河野構成員提出資料(PDF)

 消費者の立場で、新たなルール作りへの提言を提出。下記のような課題を指摘。

  • 金融商品等の購入とは違い、健康に関するものなので購入者、使用者の「自己責任の範囲」をより小さくするべきである。
  • ネット販売により情報提供する場合には、一般用医薬品の情報提供の程度に応じた「手段の工夫」と「監視指導の担保」が論点となる。(ネット販売において、販売時に専門家が対応したかをチェックする監視指導はできない)
  • 購入者が販売者を直接認知できないという「間接的」の特徴から、「専門家以外の者の成り済ましの防止」や「販売時に専門家が常在していることの確保」が求められる。
  • 健康状態等プライバシー性の高い情報が含まれるため、個人情報保護の観点から、医薬品販売においては、通常の商品の販売における場合よりも厳格にすべきである。
  • 一般用医薬品が流通の範囲が限定されていないこと、ネット販売では購入者と販売者の地域的関係が希薄になっていること、海外からネットを通じた偽薬の流入等の問題が起きていることから、ネット販売者の許可・監視指導全国的な保健衛生に責任のある「国」が主体になって対応すべきである。(地域の保健衛生に責任を持つ地方自治体がネット販売の許可監視指導に責任を負えるかは疑問)

参考資料6
 後藤構成員提出資料(その1)(PDF)

  日本オンラインドラッグ協会の受診勧奨についての方法を示したもの。ガスターが例示されている。

 個人的には第一類だけではなく、かぜ薬や痛み止め、下剤などについても、乱用防止のためのメッセージ(依存するなどの潜在的リスク)をきちんと入れて受診勧奨をはかることも必要じゃないかと思う。(繰り返し使用の人は、対面ならいくらか介入はできるがネットだとこういった方法しかない)

参考資料7
 後藤構成員提出資料(その2)(PDF)

 テレビ電話を通じたやりとりの義務付けについて異議を唱えた、日本オンラインドラッグ協会の立場を表明。

 さて、議論の方ですが、ツイートをされている江口氏(https://twitter.com/hideharus)のメモによれば、まずたたき台の安全性確保についての部分について議論が始まり、リスクの高いものについては店舗販売での代理購入も認めない方向で意見の一致を見たようです。(ところが、日本チェーンドラッグストア協会の構成員が後になって撤回を主張。これはいただけない。結局チェーンドラッグは自分たちの利益が最優先されると思われてしまう)

 また、「最大限の情報収集」の義務付けや「受診勧奨」ということも議論となったようです。(事実上のセルフ販売が行われている店舗ではどう考えているんだろう。多くの人が並ぶレジでできるとは考えにくいけど。やっぱり根本は、これまでの(現在も散見される)医薬品販売のスタイルが問われているんだと思う

 さらに、「テレビ電話」については、質や普及の問題から、ネット販売推進派の方から義務付けについては疑問視する声が示されています。(テレビ電話の導入については、おそらく規制改革会議からの何らかの意向が働いているんだと思う。特にコンビニ業界です)

 一方、リスクの高い医薬品についての取扱いについての意見も交わされたようです。(これこそ、通知ではなく省令できちんと規制することが必要だと思う。海外などの事情を踏まえれば、コデイン類、デキストロメトルファン、プソイドエフェドリンあたりかなあ)

 また、伝統薬・漢方薬(多くは第2類)については、ネット+電話での確認があればよいという雰囲気のようです。

 これらの議論を見ていると、これまでのリスク区分の考え方というのを再検討する必要があるのではないかと改めて思います。

 それにしてもこの検討会、関心が高いし、各構成員一人一人の発言は重いんだから、議事録をすみやかに作成することができないのなら、WEBで生中継すべきじゃないでしょうか。

関連情報:TOPICS
 2013.05.10 第8回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
 2013.04.26 第7回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
 2013.04.19 第6回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
 2013.04.05 第5回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
 2013.03.22 第4回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
 2013.03.13 第3回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
 2013.02.27 第2回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
 2013.02.14 一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討が始まる
 2013.04.09 第一類もテレビ電話を介せばネット販売が可能に?
 2013.05.12 日本をターゲットにする不正オンライン薬局ネットワーク

14:00 リンク追加


2013年05月16日 12:04 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    24日に第10回の検討会が行われますが、確認の意味で関連記事を示しておきます。(一部記事は会員登録必要)

    第1類の代理購入認めない案も、医薬品ネット販売検討会
    (m3.com 2013.05.16)
    http://www.m3.com/news/GENERAL/2013/5/16/172306/

    OTC薬が抱える“リスク”に対し、安全性をどう担保する
    (日経DI 2013.05.17)
    http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201305/530580.html

    【厚労省】“最大限の情報”で対立‐第1類は使用者本人が原則
    (薬事日報 HEADLINE NEWS 2013.05.20)
    http://www.yakuji.co.jp/entry31303.html

    薬局新聞
    http://www.yakkyoku-shimbun.co.jp/news.html

    第9回OTCネット販売検討会~いつまで続く 「消費者視点ゼロ」の議論!
    (NET IB NEWS 2013.05.07)
    http://ib-kenko.jp/2013/05/otc_2_0517_knk_1.html

    当初、代理購入も認めないとした発言を撤回したのが、日薬の生出構成員ということになっていた。今見たら、こっそり、発言者が森構成員に訂正されていた。(だれか、間違いを指摘したのでしょうか? でもお詫び文は入っていなかった)