第10回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会

 24日、注目の一般用医薬品のインターネット販売等のルール作りを行う10回目の検討会が開催されて います。(今後記事更新する場合があります。詳しい状況は、下記実況ツイートまとめと今後の報道でご確認下さい。)

第10回一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会 資料
(厚労省 2013.05.24 開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000032rnf.html

 今回も傍聴されたと思われる方がやりとりの一部をツイート(https://twitter.com/hideharus)しています。(投稿規制?で、実況が途中で一時止まってしまったのが残念)

厚生労働省:一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会
(第10回・2013/05/24)実況ツイ―ト
http://togetter.com/li/507878

 まず、前回たたき台に修正が加えられたものの説明があったのち、偽造医薬品対策についての議論が行われています。(追記部には下線がある)

資料:検討会の意見を取りまとめるためのたたき台(PDF)

 以下、提出された資料を覗いてみました

参考資料1
 第1類医薬品が医療用として販売されていた時の副作用発生状況について(第9回資料2)(PDF)
参考資料2
 偽造医薬品・偽販売サイトへの対応について(第9回資料3)(PDF)
参考資料3
 一般用医薬品(第1類、第2類)の主な種類について(第8回資料7)(PDF)
参考資料4
 指定第2類医薬品について(第2回資料1)(PDF)

参考資料5 生出構成員提出資料(PDF)

 たばこのネット販売する場合の年齢確認等について記した2010年9月発出の財務省の通知

参考資料6 國重構成員提出資料(PDF)

 前回提出の事務局たたき台(修正版)に対する意見を示したもの。目に留まったところを抜粋します。

(インターネット販売等のニーズについて)
 たたき台に記載されている以外にも、デリケートな部分に使用する医薬品の購入などで対面では購入しづらい者や、障がい者にもニーズがある(報告書に盛り込んでもらいたいのでしょう)

(情報収集について)
 一般用医薬品は、「提供された情報に基づいて需要者が自らの選択により使用する」ことが前提であって、 

  • 使う人が買うとは限らない
  • 使う人が1人とは限らない
  • 買う段階では誰が使うか明確でない場合がある
  • 買ってから使用するまでに長い時間が経過することもある

 という特徴があることを念頭に置いたうえで制度設計を行わなければ現実と乖離したものになり、制度としても矛盾をきたす。

 情報収集ができないことを理由としてその医薬品の販売や特定の販売方法を認めないほどに使用者にリスクがあるのであれば、販売方法にかかわらず、医薬品ごとに具体的な情報収集を義務化しなければ整合性が取れない。(ということは、こういった視点でも一般用医薬品のリスク区分を考える必要がありますね)

(モール事業者の責任について)
 インターネットモール運営者も、また、リアルのショッピングモール運営者も、薬事法によって直接規制を受ける対象ではないが、民法上の責任を問われる可能性があることはたたき台でも明記されて
おり、これ以上の議論は不要である。

 現在、モール運営者によっては、自主的な監視活動やルールを設けているところもあり、そのような活動が奨励され、拡大されていくことが重要である。

参考資料7 後藤構成員提出資料(PDF)

 國重構成員と同様に、前回提出の事務局たたき台(修正版)に対する意見(訂正案)を示したもの。

 各記述部分について、下記の記述の追加を求めています。

ただし実際は、目視、嗅覚、接触に頼らなければ副作用被害や有害事象を防止することができない一般用医薬品はないと考えられる。また、常備のために症状が出る前に購入される場合は、症状の性質や状態等を目視等できない。

 その他修正や論点として提案されたところ

  • (販売を差し控えることが必要な)リスクが高い品目、(購入者の挙動等を専門家が確認することが必要な)乱用等のおそれのある品目を検討する際は、個々の品目について、その方法でなければならない合理的な理由が必要。
  • そもそも医療用から一般用医薬品に移行したということは「人体に対する作用が著しくないもの」という条件を満たしているということではないか。
  • にもかかわらず薬剤師が使用者を目視等しなければ販売できないほど危険であれば、その医薬品は医療用医薬品に戻すべきではないか。
  •  医療行為にあたらず、かつ目視したり臭いをかいだりしなければ副作用を防げない医薬品はどれほどあるか。具体的にどの第一類医薬品について使用者の目視・嗅覚・接触が必要か。

参考資料8 森構成員提出資料(その1)(PDF)

 最高裁判決(TOPICS 2013.01.14)で、ネット販売の規制が違憲であるという結論は示されていないなどとした弁護士の見解を示しています。

参考資料9 森構成員提出資料(その2)(PDF)

 (日本チェーンドラッグストア)協会の検討会がまとめた考え方を一覧表にしたもの。

  • 「ネット購入」文化の蔓延が、安全意識の垣根を低下させ、「海外通販サイト」などから、「処方せん医薬品」を購入してしまう一般生活者が増え、健康被害が多発する
  • 薬歴が存在するため、処方せん医薬品との飲み合わせ確認などが店頭で促進される
    (調剤併設型ドラッグストアが増加し、自宅近くの「かかりつけ薬局」が、地域医療の一翼を担う
    環境整備が進み、重要性が増している)
  • 指定第2類医薬品は、麻薬成分などを配合している医薬品があるため、リスクが高く、簡便なネット販売は禁止が妥当

 さて、議論の方ですが、ツイートをされている江口氏(https://twitter.com/hideharus)のメモが一時途中で止まってしまい、議論の方向がいまひとつつかめなかったのですが、ネット販売に不向きな品目を具体的に検討することでは一致したように感じました。

 また、ネット推進派の構成員の方が、常備薬として購入時の情報提供についての考え方を述べていましたが、日本では総合感冒薬など、複数成分が含まれている一般用医薬品が少なくなく、常備薬として、ネットで簡単に購入できるのが果たしてふさわしいのかどうかという検討も必要ではないかと感じました。

 ところで、インターネットモールについては、下記のようなサイト(楽天市場の「お手軽ジャンルカスタマイズリンク」を利用)の登場を可能にしています。

 医薬品ネット.com  URL:http://医薬品ネット.com/

 例えば、感冒薬のカテゴリーを見る→リンク
 (「ベルゲンシロップ(小児用) 【第(2)類医薬品】  48mL×60個セット 送料無料」というのも表示されている。ルールがないからといっても、これはさすがに考えさせられる)

 上記のサイトを目にすると、医薬品を安く沢山購入することを促しているようで、私は、モールを通じての医薬品販売自体が適切かどうかは大いに疑問に感じています。(海外では現時点ではこういったサイトは見つからない。個人的にはこうったものは規制すべき)

 議論の内容の詳細については、これからの報道で必ずご確認下さい。

関連情報:TOPICS
 2013.05.16 第9回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
 2013.05.10 第8回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
 2013.04.26 第7回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
 2013.04.19 第6回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
 2013.04.05 第5回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
 2013.03.22 第4回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
 2013.03.13 第3回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
 2013.02.27 第2回一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討会
 2013.02.14 一般用医薬品のインターネット販売に関するルールの検討が始まる


2013年05月24日 12:06 投稿

コメントが5つあります

  1. アポネット 小嶋

    医薬品ネットcom.を利用して、楽天市場に入っている店舗や商品や詳細を見たら、目を覆いたくなるような現状が。

    ノーシン100包を3箱、パブロンA錠210錠を5箱、コーラック350錠を10箱、パブロン鼻炎錠64錠3箱などのまとめ売りとか、ジヒロドコデイン配合の咳止め薬(28回分84錠入り)をまとめて12個など、どうぞ乱用して下さいと言わんばかりの店舗が散見されますね。(水虫のくすりまとめて10個というのもたくさんあった)

    また、店舗があると記された住所をGoogle ストリートビューでみたらとっても楽しかったです。

    物流センターみたいなところが所在地になっているところ、どう見ても雑居ビルにしか見えない○Fの1室に店舗を構えている所、雑居ビルの同じ階(1Fじゃないですよ)に複数の店舗がはいっている所など。(こういうときに Google Map や ストリートビューって便利! でもこんなところでも店舗販売業の許可って下りるんだ。どうみてもネット販売専売にしか見えないんだけどな。もっとも、ケンコーコムだって福岡物流センターが所在地になってるけど。)

    でも極めつけは、同じ許可番号で別の店舗名で出店しているところが。(同じ許可番号で3つの異なる店舗が都内と大阪、福島で確認。これは衝撃ですね。名前を晒す気はありませんが、ネット販売の管理者は3つの店舗を掛け持ちできるほど軽いもんなんですか? 売り上げをあげるため、こうでもしないとモールの中で目立たないんだろうけど、不正薬局オンラインネットワークとやってることは同じじゃん。保健所はこういうのって指導できないんですか?)

    モール運営者によっては、自主的な監視活動やルールを設けていると検討会ではお話されたそうですが、にわかに信じられなくなりましたね。 

    楽天さんは、こういう店舗でも出店がいいってことなんですね。(出店者を多く見せかけたいとか)

    だからモールは信じられません。

    リアル店舗としての販売状況の確認も必須ですね。

  2. あぶらかだぶら

    ベルゲンシロップは小児用かぜシロップとなっていますが、大人で1本一気飲みしている方、直販品で入手できない小売業者がユーザーでしょうね。

  3. アポネット 小嶋

    それと、大阪の3店舗の管理者とされている薬剤師の方について、厚労省の資格確認検索でチェックしたところ、おひとりしかヒットしませんでしたが、何と昭和30年に薬剤師登録をされた方です。

    少なくとも80歳の方が現役で頑張っているってことですね。

    こういう方が現役で働けるなんてすばらしい職場ですね。

  4. アポネット 小嶋

    事実上検討会の報告書のとりまとめは断念するようです。

    今日の検討会はもめそうですね。

    薬ネット販売 別の議論の場を提案へ
    (NHKニュース 2013.05.31 04:27 配信)
     http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130531/k10014972661000.html

    新たな議論の場というけど、詳細について改めて検討会を設置するのでしょうかね。

    委員の選考ももめますね。

  5. アポネット 小嶋

    これまでに報じられた第10回検討会の様子です。

    なおも対立し、まとまらず‐ネット販売「たたき台」
    (薬事日報 HEADLINE NEWS 2013.05.30)
    http://www.yakuji.co.jp/entry31427.html

    OTCネット販売、「全面解禁」と「一部禁止」で攻防
    (日経DI 2013.05.25)
    http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201305/530717.html

    第10回OTCネット販売検討会(1)~悪質事業者排除で合意
    (NET IB NEWS 2013.05.24)
    http://ib-kenko.jp/2013/05/10otc_0524_dm1217_01.html

    第10回OTCネット販売検討会(2)~置き去りの本質論議
    (NET IB NEWS 2013.05.28 )
    http://ib-kenko.jp/2013/05/10otc_0528_dm1217_02.html

    第10回OTCネット販売検討会(3)~論点のない論点整理の謎
    (NET IB NEWS 2013.05.29)
    http://ib-kenko.jp/2013/05/10otc_0529_dm1217_03.html

    第10回OTCネット販売検討会(4)~事務局の真意は何処に?
    (NET IB NEWS 2013.05.29 )
    http://ib-kenko.jp/2013/05/10otc_0529_dm1217_04.html