WHOは8日、必須医薬品モデルリスト（WHO Model List of Essential Medicines）の最新版を公表しています。
Release of 18th WHO model List of Essential Medicines
（WHO 2013.07.08）
http://www.who.int/medicines/EMP_Website_notice_EML_July2013.pdf
WHO必須医薬品モデルリストは、開発途上国において多くの地域の人々が必要な医薬品を入手できないという1970年代の状況を背景に作成されたもので、1977年に開催された「必須医薬品の選択に関するWHO専門委員会(WHO Expert Committee on the Selection of Essential Drugs)」の第1回報告として掲載（第1版当時、医薬品208種類収載）されたのが始まりです。
WHO Model Lists of Essential Medicines
http://www.who.int/medicines/publications/essentialmedicines/en/index.html
以後、医薬品供給不足の解消、適切な医療水準の確保など、開発途上国の医療のニーズを満たすものとして、約2年ごとの改訂が行われ、今年4月の専門家委員会での議論を踏まえた第18版と、2007年から作成されている小児用の医薬品リストの第4版が公表されました。
Executive Summary
http://www.who.int/entity/selection_medicines/committees/
expert/19/EC19_Executive_summary_Final_web_8Jul2013.pdf
WHO Model List of Essential Medicines 18th edition (April 2013)
http://www.who.int/entity/medicines/publications/essentialmedicines/18th_EML_Final_web_8Jul13.pdf
WHO Model List Of Essential Medicines For Children 4th edition (April 2013)
http://www.who.int/entity/medicines/publications/essentialmedicines/4th_EMLc_FINAL_web_8Jul13.pdf
この必須医薬品モデルリストに採用されている医薬品は、公衆衛生上の課題（疾病の罹患率）や有効性と安全性のエビデンス、費用対効果などが選択の基準となっています。
つまり、必要最小限の医薬品目でいかにして地域住民の健康を守るかという観点が貫かれており、医療費の高騰や医薬品の不適切な使用が問題となっているわが国など、先進国にとっても学ぶべき点が多くなっています。
ちなみに2011年には、米国40州で使われている’Medicaid program’s Preferred Drug Lists（PDLs）’ と、このWHO必須医薬品モデルリストを比較した研究があります。（→論文あれこれ 2011.7）
Applying the Essential Medicines Concept to US Preferred Drug Lists
（Am J Public Health. 2011 Aug;101(8):1444-8）
http://ajph.aphapublications.org/doi/full/10.2105/AJPH.2010.300054
参考・関連情報：
薬と社会をつなくキーワード事典（本の泉社 2011）
（このキーワードの担当だった。大分添削されましたが）（→TOPICS 2011.04.08）
EBMに基づいた必須医薬品リスト選定のガイドライン作成に関する調査研究
（厚生労働科学研究 2001年、2002年）
http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=200100521A
http://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=200201347A
災害の種類と必須医薬品
（緊急災害医療支援学）
http://www.group-midori.co.jp/logistic/essential/
福井 次矢：WHO必須医薬品モデルリストの選定―専門家委員会のセクレタリアートとして―
（臨床評価（Clinical Evaluation ） 2001; 28（3）: 499-504）
http://homepage3.nifty.com/cont/28-3/p499-504.html
斉尾武郎他：必須医薬品の歴史と医薬品の合理的使用の今日的課題
（臨床と薬物治療 2001; 20(1): 85-9.）
http://homepage3.nifty.com/saio/E-drug-history.pdf
エッセンシャルドラッグとパーソナルドラッグ
（『日本医事新報』第4260 号（2005 年12 月17 日発行）掲載）
http://www.med.kyushu-u.ac.jp/clipharm/about/pdf/essay051217.pdf
Essential medicines（WHO）
http://www.who.int/medicines/services/essmedicines_def/en/index.html
（Fact sheet Revised June 2010）
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs325/en/index.html
2013年07月09日 01:09 投稿
