脂溶性スタチンの使用とパーキンソン病の発症リスク(海外研究)

 エビデンスとしてはまだまだ不十分ですが、興味深い研究結果が得られています。

Discontinuation of statin therapy associates with Parkinson disease:A population-based study
Neurology Pubalished Online 24 Jul 2013)
http://neurology.org/content/early/2013/07/24/WNL.0b013e31829d873c.abstract

 この研究は、LDL-Cがコントロールされたとして、スタチンの服用を止めた人と、服用を継続した人とのパーキンソン病(PD)の発症リスクを調べた、台湾のpopulation-based studyです。

 次のようなことがわかったそうです。

  • PDの発症率は水溶性のスタチン使用者で100万人あたり3.52人だったのに対し、脂溶性のスタチン使用者では100万人あたり1.68人だった。
  • 脂溶性スタチンの使用継続者は、使用を中止した人と比べ、PD発症のハザード比はHR0.42(95%CI 0.22-0.64)だった。
  • 成分別では、シンバスタチンでHR0.23、アトルバスタチンでHR0.33となった他、女性のシンバスタチン使用者でHR0.11、高齢のアトルバスタチン使用者でHR0.42となった。
  • 水溶性、脂溶性とも使用期間や用量と関連性は見られなかった。

 研究者らは、脂溶性スタチンが脳関門を通過して、PDで見られるニューロンの喪失をスタチンの抗炎症作用が防ぐのではないかとしいます。(動物実験ではシンバスタチン投与で線条体のトパミン喪失を防いだらしい)

 ただ、この研究では喫煙の影響やカフェイン摂取、農薬暴露などの影響となる因子が検討されていないことやこれまで相反する結果を示した研究もあることから、まだエビデンスとしては不十分ですが、興味深い結果となっています。

関連論文:
A review of the potential therapeutic role of statins in the treatment of Alzheimer’s disease: current research and opinion.
Neuropsychiatr Dis Treat. 2013;9:55-63.)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23319866
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3540910/

参考:
Can Statins Fend Off Parkinson’s Disease?
(Medpage TODAY 2013.07.25)
http://www.medpagetoday.com/Neurology/ParkinsonsDisease/40697
Statin Use May Reduce Parkinson’s Risk, Study Says
(Healthday 2013.07.24)
http://consumer.healthday.com/cardiovascular-and-health-information-20/crestor-news-819/statin-use-may-reduce-parkinson-s-risk-study-says-678551.html
Lipophilic statins linked to reduced risk of Parkinson’s
(PJ Online 2013.07.25)
http://www.pjonline.com/news/lipophilic_statins_linked_to_reduced_risk_of_parkinson%E2%80%99s


2013年07月26日 12:42 投稿

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