日本では未発売ですが、個人輸入のケースも考慮して記事にしました。EMA(欧州医薬品庁)のCHMP(医薬品委員会)は26日、ケトコナソール経口薬(本邦未発売、外用薬は除外)について、肝障害のリスクがベネフィトを上回るとして、販売の中止を勧告しています。
European Medicines Agency recommends suspension of marketing authorisations for oral ketoconazole
(EMA 2013.07.26)
http://www.ema.europa.eu/ema/index.jsp?curl=pages/news_and_events/news/2013/07/news_detail_001855.jsp&mid=WC0b01ac058004d5c1
CHMPでは、仏医薬品庁(ANSM)の要請によりレビューを開始、他の抗真菌薬比べ、肝障害の発症率がより高く、また治療に勧告された用量での服用開始後早い時期に発現する場合があり、リスクを減らす対策が難しいとして、今回の結論に至ったようです。
なお、外用剤(クリーム・軟膏・シャンプー)については体内に吸収されるケトコナゾールの量はごくわずかだとして、引き続き使用できるとしています。
EMAでは、ケトコナゾール経口薬で治療中の患者対し、別の治療を検討するよう呼びかけています。
MHRA(英医薬品庁)でも26日、使用中止を呼びかけるアナウンスが行われています。
Oral ketoconazole-containing medicines should no longer be used for fungal infections
(MHRA 2013.07.26)
http://www.mhra.gov.uk/NewsCentre/Pressreleases/CON297530
一方、米FDAでも26日、ケトコナゾール経口薬についての安全性情報が発出されています。
FDAでは肝障害の他、副腎不全、薬物相互作用の問題を指摘し、「第一選択として使用しない」「皮膚や爪の真菌の感染症の治療に対する適応はない」「急性・慢性肝疾患の患者には禁忌」などとした、厳しい使用制限を行っています。(販売中止は勧告せず)
FDA limits usage of Nizoral (ketoconazole) oral tablets due to potentially fatal liver injury and risk of drug interactions and adrenal gland problems
(FDA Drug Safety Communication 2013.07.26)
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm362415.htm
http://www.fda.gov/downloads/Drugs/DrugSafety/UCM362444.pdf
なお、ケトコナゾールはクッシング症候群においてoff-label での使用が知られていることから、EMAは承認を限定して新たに承認することも示唆しています。
参考:
FDA Puts Strict Limits on Oral Ketoconazole Use
(Medpage TODAY 2013.07.26)
http://www.medpagetoday.com/InfectiousDisease/GeneralInfectiousDisease/40710
2013年07月27日 11:15 投稿