第2回スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合

 23日、8日開催の第1回会合(TOPICS 2013.08.10)に続き、第2回の「スイッチ直後品目」及び「劇薬指定品目」についての安全性を検証する検討会が開催されています。

第2回スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合
(厚労省 2013.08.08開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000016547.html

 資料で注目なのは資料2(→リンク)のスイッチ直後品目の副作用報告(死亡症例)で、厚労省としてはスイッチ直後品目には死亡例も少なくないということを示したかったのでしょうが、個人的にはこれら品目だけをあえて取り上げたことには若干の疑問を感じます。

 具体例を詳しく示したことは評価したいのですが、PMDAサイトで公表されて副作用症例を見ると、資料2に記載されている「転帰」の項目がなく、個別の症例の副作用の重篤度を知ることができません。(肝障害や皮膚障害の個別の成分ごとの重篤度などは特に知りたいがわからない)

 また、処方(使用)量が公表されていないので、どの程度の頻度でこういった死亡例が出ているのかもわかりません。

 ちなみに成分ごとの死亡症例数については、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会でで年に1回公表されています。

 最近のものは8月9日に開催された対策部会で公表されています。

平成25年度第1回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会 資料
(2013年8月9日開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000015139.html

資料1-1-3 死亡症例の公表状況(A評価:因果関係が否定できないもの)(PDF:113KB)

資料1-1-4 死亡症例の公表状況(公表しているもの全て)(PDF:216KB)

 各紙報道によれば、死亡症例(→資料2)を見せられた委員からは当然のように、「処方薬から転用直後は副作用リスクの評価がはっきりしていないからネット販売は危険」「販売する上では長期使用や大量使用とかを注意しなくてはいけない」「専門家と使⽤者との間で双⽅向のかなり密着したやり取りが必要」などの意見が出されたそうですが、「必要な人が必要な量だけ使用する」という適正使用を考えるのであれば、何もスイッチ直後品目に限ったものではなく、もっと広い視点で安全性の検証も行うべきだと思いました。(特に痛み止め、総合感冒薬)

 一方、ヨヒンビンなどの劇薬成分についても新たな資料を提出しています。

資料5 劇薬指定成分について(PDF:234KB)

 上記を見ると、古典的な薬理学の教科書から抜粋しただけで、海外での使用状況や有用性や安全性についての文献が全く示されておらず、これだけで判断させるのはあまりにも情報が少ないように思いました。(PubMedで検索すれば文献はいっぱい出てくるんだけどな。どうして、用意できなかったんだろう)

 次回会合をめどに、専門家会合の見解を意見書の形で取りまとめるとのことですが、今回、この程度の資料と議論だけで、この28品目に限って安全性を検討したことに改めて疑問を感じました

 日経によれば、ネット販売業者から「店舗での対面はよく、ネットがだめな理由がはっきりしない」との声も挙がっているそうで、私も説得力が十分でないと思います。(もちろんこれら28品目のネット販売を支持しているわけではありませんが)

関連情報:TOPICS
 2013.08.10 第1回スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合

参考:
日本経済新聞 2013.08.23
 http://s.nikkei.com/14oV0Zc
医療介護CBニュース 2013.08.23
 http://www.cabrain.net/news/article/newsId/40739.html
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130823-00000002-cbn-soci


2013年08月25日 22:35 投稿

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