改正薬事法の省令案のパブコメ締め切りは24日です

 ツイッターや新年雑感2014で紹介しましたが、24日までの日程で、一般用医薬品のネット販売のルールなどを示した、改正薬事法に対する省令案について、パブコメが行われています。

薬事法施行規則等の一部を改正する省令(案)に関する意見の募集について
(案の公示日 2013年12月26日 意見・情報受付締切日 2014年01月24日)
(ネット販売、店舗販売のルールなど)
  →薬事法施行規則等の一部を改正する省令(案)の概要

薬事法施行令の一部を改正する政令(案)に関する意見の募集について
(案の公示日 2013年12月26日 意見・情報受付締切日 2014年01月24日)
(薬局製造販売医薬品(薬局製剤)の取扱い)
  →薬事法施行令の一部を改正する政令(案)の概要

OTC薬の新販売ルールを盛り込んだ薬事法施行規則案が公表
(日経DI 2013.12.26 要会員登録)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201312/534430.html 

新販売ルールの省令案公表‐ネットは「特定販売」に変更
厚生労働省
(薬事日報 2014.01.10)
http://www.yakuji.co.jp/entry34242.html
https://www.pharmacist-magazine.com/news/article/795.html

 ネット販売のルールについてばかりが注目されていますが、実は今回、薬局医薬品や調剤された薬剤の販売・情報提供・指導等に関する事項についても省令に盛り込まれることになっています。

3.調剤された薬剤の販売・情報提供・指導等に関する事項
(1)調剤された薬剤の販売の方法

  • 当該薬局において調剤された薬剤の販売に従事する薬剤師に、自ら販売させることとする。
  • 購入者に情報提供及び指導の内容を理解したこと及び更なる質問が無いことの確認を行った後でなければ、販売してはならないこととする。
  • 購入前の相談があった場合は、情報提供及び指導を行った後でなければ、販売してはならないこととする。
  • 販売した薬剤師の氏名、薬局の名称及び電話番号その他連絡先を購入者に伝えさせることとする。

(2)調剤された薬剤に係る情報提供及び指導の方法

  • 調剤された薬剤の販売に従事する薬剤師に、情報提供及び指導を次の方法により行わせることとする。
    ①薬局内の情報提供及び指導を行う場所において行わせること
    ②当該薬剤の用法、用量、併用を避けるべき医薬品、使用上の注意その他当該薬剤の適正な使用のため必要な情報を、購入者の状況に応じて個別に提供させ、必要な指導を行わせること
    ③当該薬剤の副作用その他の事由によるものと疑われる症状が発生したときなどの対応について説明させること
    ④購入者が情報提供及び指導の内容を理解したこと及び更なる質問がないかを確認させること
    ⑤情報提供及び指導を行った薬剤師の氏名を購入者に伝えさせること
  • 情報提供及び指導に用いる書面の記載事項は、以下のとおりとする。
    ①薬剤の名称
    ②薬剤の有効成分の名称及び分量
    ③薬剤の用法・用量
    ④薬剤の効能・効果
    ⑤薬剤の使用上の注意のうち、保健衛生上の危害の発生を防止するために必要な事項
    ⑥販売する薬剤師が、当該薬剤の適正な使用のため必要と判断する事項
  • 書面以外にも、電磁的記録に記録された事項を紙面又は映像面に表示する方法も認めることとする。
  • 情報提供及び指導に当たっては、以下の事項を確認しなければならないこととする。
    ①年齢
    ②他の薬剤又は医薬品の使用状況
    ③性別
    ④症状
    ⑤現にかかっている疾病がある場合は、その病名
    ⑥妊娠しているか否か及び妊娠中である場合は妊娠週数
    ⑦授乳しているか否か
    ⑧当該薬剤に係る購入又は使用の経験の有無
    ⑨調剤された薬剤又は医薬品の副作用その他の事由によると疑われる疾病にかかったことがあるか否か、かかったことがある場合はその症状、その時期、当該薬剤又は医薬品の名称、有効成分、服用した量及び服用の状況
    ⑩その他情報の提供及び指導を行うために確認することが必要な事項
  • 調剤された薬剤等について相談があった場合の情報提供及び指導を、薬剤の販売に従事する薬剤師に次の方法により行わせることとする。
    ①当該薬剤の使用に当たり保健衛生上の危害の発生を防止するために必要な事項について説明を行わせること
    ②当該薬剤の用法、用量、併用を避けるべき医薬品、使用上の注意その他当該薬剤の適正な使用のため必要な情報を、購入者の状況に応じて個別に提供させ、必要な指導を行わせること
    ③情報提供及び指導を行った薬剤師の氏名を購入者に伝えさせること

 上記のほとんどは、これまでは保険薬局業務における「薬剤服用歴管理指導料」の算定要件に記されていたものですが、今回の薬事法改正に伴い、薬事法の省令に盛り込むことで、保険薬局業務ではなく、薬局業務として当然行う業務にいわば格上げということになりそうです(薬歴にも記録必要?)。

 おそらく、処方せん医薬品(調剤された薬剤)のインターネット販売を想定して、あえてこれらを盛り込んだとも思えますが、これにより、もしかすると近い将来、「薬剤服用歴管理指導料」というのも消えるのではないかと考えてしまいます。

 薬局医薬品についても、上記に準じた販売方法を示しています。(要指導医薬品についてもほぼ同様)

4.薬局医薬品の販売・情報提供・指導等に関する事項
(1)薬局医薬品の販売の方法

  • 当該薬局において医薬品の販売に従事する薬剤師に、自ら販売させることとする。
  • 当該薬局において医薬品の販売に従事する薬剤師に、購入者が使用者本人以外の者でないか確認させ、使用者以外の者が購入者である場合は、法第36 条の3第2項に規定する正当な理由の有無を確認させることとする。
  • 当該薬局において医薬品の販売に従事する薬剤師に、当該医薬品の使用者の他の薬局等からの購入の状況を確認させることとする。
  • 確認の結果を勘案して適正な使用のため必要と認められる数量に限って販売させることとする。
  • 購入者に情報提供及び指導の内容を理解したこと及び更なる質問が無いことの確認を行った後でなければ、販売してはならないこととする。
  • 購入前の相談があった場合は、情報提供及び指導を行った後でなければ、販売してはならないこととする。
  • 販売した薬剤師の氏名、薬局の名称及び電話番号その他連絡先を購入者に伝えさせることとする。

(2)薬局医薬品に係る情報提供及び指導の方法

  • 医薬品の販売に従事する薬剤師に、情報提供及び指導を次の方法により行わせることとする。
    ①薬局内の情報提供及び指導を行う場所において行わせること
    ②当該薬局医薬品の用法、用量、併用を避けるべき医薬品、使用上の注意その他当該薬局医薬品の適正な使用のため必要な情報を、購入者の状況に応じて個別に提供させ、必要な指導を行わせること
    ③当該薬局医薬品の副作用その他の事由によるものと疑われる症状が発生したときなどの対応について説明させること
    ④購入者が情報提供及び指導の内容を理解したこと及び更なる質問がないかを確認させること
    ⑤当該薬局医薬品を使用しようとする者に対して、当該薬局医薬品に代えて、必要に応じて他の医薬品の使用を勧めさせること
    ⑥当該薬局医薬品を使用しようとする者に対して、必要に応じて医師又は歯科医師の診断を受けることを勧めさせること
    ⑦情報提供及び指導を行った薬剤師の氏名を購入者に伝えさせること
  • 情報提供及び指導に用いる書面の記載事項は、以下のとおりとする。
    ①当該薬局医薬品の名称
    ②当該薬局医薬品の有効成分の名称及び分量
    ③当該薬局医薬品の用法・用量
    ④当該薬局医薬品の効能・効果
    ⑤当該薬局医薬品の使用上の注意のうち、保健衛生上の危害の発生を防止するために必要な事項
    ⑥販売する薬剤師が、当該薬局医薬品の適正な使用のため必要と判断する事項
  • 書面以外にも、電磁的記録に記録された事項を紙面又は映像面に表示する方法も認めることとする。
  • 情報提供及び指導に当たっては、以下の事項を確認しなければならないこととする。
    ①年齢
    ②他の薬剤又は医薬品の使用状況
    ③性別
    ④症状
    ⑤現にかかっている疾病がある場合は、その病名
    ⑥妊娠しているか否か及び妊娠中である場合は妊娠週数
    ⑦授乳しているか否か
    ⑧当該薬局医薬品に係る購入又は使用の経験の有無
    ⑨調剤された薬剤又は医薬品の副作用その他の事由によると疑われる疾病にかかったことがあるか否か、かかったことがある場合はその時期、当該薬剤又は医薬品の名称、有効成分、服用した量及び服用の状況
    ⑩その他情報の提供及び指導を行うために確認することが必要な事項
  • 薬局医薬品について相談があった場合の情報提供及び指導を、医薬品の販売に従事する薬剤師に次の方法により行わせることとする。
    ①当該薬局医薬品の使用に当たり保健衛生上の危害の発生を防止するために必要な事項について説明を行わせること
    ②当該薬局医薬品の用法、用量、併用を避けるべき医薬品、使用上の注意その他当該薬局医薬品の適正な使用のため必要な情報を、購入者の状況に応じて個別に提供させ、必要な指導を行わせること
    ③当該薬局医薬品を使用しようとする者又は使用する者に対して、当該薬局医薬品に代えて、必要に応じて他の医薬品の使用を勧めさせること
    ④当該薬局医薬品を使用しようとする者又は使用する者に対して、必要に応じて医師又は歯科医師の診断を受けることを勧めさせること
    ⑤情報提供及び指導を行った薬剤師の氏名を購入者又は使用者に伝えさせること
  • 上記にかかわらず、特定販売が認められる薬局製造販売医薬品については、第1類医薬品と同様のルールを適用することとする。

 いわゆる薬局製剤については、上記の確認等は免除されるようですね。

 あと個人的に気になったところは、下記事項です。

2.薬局開設者等の遵守事項
(3)別に厚生労働大臣が定める濫用等のおそれのある医薬品を販売するときは、
①若年購入者の場合は氏名・年齢
②他の薬局等における当該医薬品及び他の濫用等のおそれのある医薬品の購入又は譲り受け(以下単に「購入」という。)の状況
③多量・頻回購入の場合は購入の理由
④適正な使用を目的とする購入であることを確認するため必要な事項を医薬品の販売に従事する薬剤師又は登録販売者に確認させた上で販売しなければならないこととし、確認の結果を勘案して適正な使用のため必要と認められる数量に限って販売しなければならないこととする。

(5)医薬品を競売(オークション形式での販売)に付してはならないこととする。

(6)販売しようとする医薬品について広告するときは、当該医薬品の購入者又は使用者による意見(レビューや口コミ)その他医薬品の使用が不適正なものとなるおそれのある表示をしてはならないこととする。

 この省令案では、「厚生労働大臣が定める濫用等のおそれのある医薬品」の規定がないのですが、これをどのような配合成分で規定するのか今回のパブコメでは明示されていません。

 また、何をもって「多量・頻回購入」と定義するのか、「確認の結果を勘案して適正な使用のため必要と認められる数量」といった場合、例えば総合感冒薬や痛み止め、咳止め薬、眠気防止薬などの場合には、どういう指標で必要と認められる数量となるのかがはっきりしません。

 「医薬品を競売(オークション形式での販売)に付してはならないこととする」としていますが、いわゆる価格比較サイトはこれに該当するのかどうか。

 また、レビューや口コミを禁止とのことですが、他サイトへの誘導やレビューや口コミなどを専門に扱うサイトも禁止されるのかどうかよくわかりません。

 それと、要指導医薬品の陳列の規定って、改正薬事法本文にあったっけ?

 みなさんも疑問点や意見は、是非意見として提出してみましょう。


2014年01月19日 17:28 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    下記の内容で、パブコメに出します。(アポネットR見解としての見解ではありません。 要指導医薬品の陳列については、よく見たら省令案に規定がありました。それなので日頃からの疑問点を示しました)

    —————————————————————————-

    2.薬局開設者等の遵守事項(3)について
    「厚生労働大臣が定める濫用等のおそれのある医薬品」の規定がないが、どのような配合成分をもって規定するのか。
    また、何をもって「多量・頻回購入」と定義するのか。
    「確認の結果を勘案して適正な使用のため必要と認められる数量」としているが、例えば総合感冒薬や痛み止め、咳止め薬、眠気防止薬などの場合には、どういう基準で必要と認められる数量と規定するのか。

    2(5)で、医薬品を競売(オークション形式での販売)に付してはならないこととしているが、いわゆる価格比較サイトはこれに該当するのか

    2(6)で、使用者による意見(レビューや口コミ)その他医薬品の使用が不適正なものとなるおそれのある表示をしてはならないこととしているが、レビューや口コミなどを専門に扱うサイトやこういったサイトへの誘導も禁止されるのか。

    4.(2)薬局医薬品に係る情報提供及び指導の方法
    最後の項目で、「上記にかかわらず、特定販売が認められる薬局製造販売医薬品については、第1類医薬品と同様のルールを適用することとする。」としているが、薬局製造販売医薬品に第1類医薬品に該当する成分が含まれているものはなく、第1類医薬品と同様のルールを適用することは不適切ではないか

    7.(3)要指導医薬品及び一般用医薬品の陳列
    「要指導医薬品を陳列する場合には、要指導医薬品陳列区画の内部の陳列設備に陳列すること」となっているが、完全に陳列区画を分けるという事か、また、現状では第一類医薬品の空き箱を第二類、第三類医薬品と同じ陳列区画に並べている事例が散見されるが、要指導薬の空き箱陳列も可能としてよいか