国立医薬品食品衛生研究所・安全情報部（http://www.nihs.go.jp/dig/jindex.html）は5月8日、医薬品安全性情報（海外公的機関 医薬品安全性情報）Vol.12 No.10を公表しています。
副腎皮質ステロイドの硬膜外注射（疼痛緩和用）と重篤な神経学的障害、レニン‐アンジオテンシン系（RAS）阻害薬の併用療法を行わないようPRACが勧告、アンブロキソール（ムコソルバン他）およびブロムヘキシン（ビソルボン）のレビュー開始、Vemurafenib（Zelboraf’）と薬剤性肝障害（DILI）との関連などの情報が掲載されています。
全文はこちら（PDF）です。
注目は2番目のARBとACE阻害薬の2剤併用療法に関する情報で、EMAのPRACのレビュー結果によれば、心不全のない患者では2剤併用療法による有意なベネフィットがみられなかったとして、今後、（一部の患者集団を除く？）これらの併用が勧められないとする最終見解が行われるようです。
なお日本でも、PMDAの医薬品に関する評価中のリスク等の情報のページ（→リンク）に添付文書の改訂の方向が示されています。
糖尿病患者へのアリスキレン（ラジレス）とARB/ACE阻害薬との併用については、海外では禁忌となりましたが、本邦においては、「ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く」との例外が付記され、禁忌の記載は、事実上骨抜きにされました。
今後、EMAが最終的にどのような見解を示すか、また日本ではどのような添付文書の改訂（注意喚起）が行われるか注目です。
関連論文：
Efficacy and safety of dual blockade of the renin-angiotensin system: meta-analysis of randomised trials
（BMJ Published Online 28 Jan 2013）
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3556933/
（上記論文の解説ブログ）
2種類の降圧剤の併用のリスクについて
（六号通り診療所所長のブログ 2013.02.07）
http://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2013-02-07
（上記論文などを受けて出された仏ANSMの注意喚起）
Médicaments antihypertenseurs agissant sur le système rénine-angiotensine : rappels des précautions d’emploi et des règles de bon usage – Point d’information
（ANSM 2013.03.13）
http://ansm.sante.fr/S-informer/Points-d-information-Points-d-information/Medicaments-antihypertenseurs-agissant-sur-le-systeme-renine-angiotensine-rappels-des-precautions-d-emploi-et-des-regles-de-bon-usage-Point-d-information
Evidence-Based Guideline for the Management of High Blood Pressure in AdultsReport From the Panel Members Appointed to the Eighth Joint National Committee (JNC 8)
（JAMA Publisahed Online 5 Feb 2014）
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24352797
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1791497
（勧告9で、ACE阻害薬とARBは併用すべきでないとした）
Guideline alert for blood pressure patients as treatment combo fails
（Canadian Heart and Stroke Foundation 2009.01.16 の助言）
http://www.heartandstroke.com/site/apps/nlnet/content2.aspx?c=ikIQLcMWJtE&b=3485819&ct=6501933
（2剤の併用は腎臓に大きなストレスになると指摘）
2014年05月10日 18:41 投稿
