昨年から話題になっているMERCK社の新規作用機序の不眠症治療薬のスボレキサント(suvorexant、商品名:BELSOMRA、ベルソムラ錠)について、米FDAは13日に承認したと発表しました。
FDA approves new type of sleep drug, Belsomra
(FDA News Release 2014.08.13)
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm409950.htm
FDA Approves BELSOMRA® (suvorexant) for the Treatment of Insomnia
(Merck 2014.08.13)
http://www.mercknewsroom.com/news-release/prescription-medicine-news/fda-approves-belsomra-suvorexant-treatment-insomnia
スボレキサントは、覚醒状態の維持に深い関係を持つオレキシンを標的とするオレキシン受容体拮抗薬で、FDAでは昨年5月22日に行われた諮問委員会で審議が行われていました。
当初は高齢者は15mg、それ以外は20mgで開始し、30mg~40mgでの用量での申請が出されていましたが、持ちこしの問題や自殺リスクなどが指摘されていました。
FDA raises concerns about experimental sleep aid suvorexant
(CBS News/AP 2013.05.20)
http://www.cbsnews.com/news/fda-raises-concerns-about-experimental-sleep-aid-suvorexant/
2013 Meeting Materials, Peripheral and Central Nervous System Drugs Advisory Committee
http://www.fda.gov/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/Drugs/
PeripheralandCentralNervousSystemDrugsAdvisoryCommittee/ucm346581.htm
諮問委員会では、医薬品監視団体の Public Citizen もプレゼンを行い、安全性への懸念を示しています。
FDA Should Reject Dangerous Sleep Medicine, Public Citizen Tells Advisory Committee
(Public Citizen 2013.05.22)
http://www.citizen.org/pressroom/pressroomredirect.cfm?ID=3895
http://www.citizen.org/documents/2129.pdf
そして審議の結果、FDA諮問委として低用量については 13対3で安全に使えると評決、一方、高用量では7対8で安全性に疑問とした評決が行われています。(→議事録)
Merck’s insomnia drug moves a step closer to U.S. approval
(Reuter 2013.05.22)
http://reut.rs/11ZUKRj
Merck Insomnia Drug Safe Only in Low Doses, FDA Panel Says
(Businessweek/bloomberg 2013.05.23)
http://www.businessweek.com/news/2013-05-22/merck-insomnia-drug-is-safe-only-in-lower-doses-panel-says-1
その後、Public Citizen からは承認に反対する意見書も提出されていました。
Letter to the FDA Opposing Approval of the Sleep Medicine Suvorexant
(Public Citizen 2013.06.14)
http://www.citizen.org/hrg2136
http://www.citizen.org/documents/2136.pdf
諮問委員会での評決を受け、FDAでは去年7月メルク社に対し、5mgや10mgの用量の販売の検討を求めました。
Merck Receives Complete Response Letter for Suvorexant, Merck’s Investigational Medicine for Insomnia
(Merck 2013.07.01)
http://www.mercknewsroom.com/press-release/research-and-development-news/merck-receives-complete-response-letter-suvorexant-merck
FDA won’t approve high doses of Merck’s experimental insomnia drug
(Ctv.Ca/AP 2013.07.01)
http://www.ctvnews.ca/health/fda-won-t-approve-high-doses-of-merck-s-experimental-insomnia-drug-1.1348773
FDAはSuvorexantの高用量を承認しない
(くすりなひと 2013.07.02 上記紹介記事)
http://kusurinahito.futsuo-holiday.com/?eid=83
こういった経緯を経て、今回承認されたのは5、10、15、20mgの4規格ですが、メルク社のプレスリリースを見ると推奨用量は10mgで、CYP3A阻害作用を有する薬剤を併用時には5mgを推奨しています。
また、乱用や依存の懸念があることから、発売は DEAの scheduling が行われてからとなるため、発売開始は2015年はじめとなるとのことです。
ここからが重要なのですが、実は日本の方がスボレキサントの販売開始が先になりそうなのです。
MSDの新規不眠症治療薬ベルソムラ、世界初で了承
(日刊薬業WEBフローサイト 2014.08.01)
ttp://nk.jiho.jp/servlet/nk/gyosei/article/1226578229650.html?pageKind=outline
さらに問題なのは、今回日本で承認されるのは、15mgと20mgの錠剤のみの予定(→薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会資料)であり、このまま正式承認されることは安全性に大きな懸念があります。
米国では諮問委員会で承認に関する資料が事前に公開され、公開で審議が行われ、時間をかけて問題点をクリアして今回のような形で承認・発売に至りますが、日本での審議は非公開で、正式承認されないと審査報告書も掲載されません。また、どのような問題がやりとりされたかを知ることができる議事録の公開も半年くらいたってからとなるので、おそらく発売後となる可能性が大です。正直なところ有効性や安全性、安全対策についてどの程度検討されたのかどうか疑念がよぎります。
米国承認品のラベル等の公表はまだされていませんが、各施設で本薬を採用される際は、メーカーの情報のみをうのみするだけではなく、日米の承認に関する情報の比較やこういった経緯も十分留意する必要がありそうです。(勉強会では是非メーカーにご確認を)
関連情報:
睡眠障害に対する新規機序の治療薬suvorexantを承認,米FDA
(MTPro 2014.08.14 要会員登録)
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1408/1408034.html
ベルソムラ錠 承認了承〜新しい不眠症治療薬の登場
(薬剤師の脳みそ 2014.08.07)(→リンク)
ベルソムラ(スボレキサント)の作用機序:睡眠薬
(役に立つ薬の情報~専門薬学 2014.08.05)
http://kusuri-jouhou.com/medi/sleep/suvorexant.html
Suvorexant, a dual orexin receptor antagonist for the management of insomnia
(PT 39(4) 264-266 2014)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3989084/
2014年08月15日 12:29 投稿
9月26日付で正式承認されました。
新規作用機序の不眠症治療薬「ベルソムラ®」の製造販売承認を取得
(MSD株式会社 2014.09.26)
http://www.msd.co.jp/newsroom/msd-archive/2014/pages/product_news_0926_2.aspx
添付文書等がメーカーサイトにアップされていました。(リンクすみません)
添付文書
http://www.msd.co.jp/Documents/hcp/productinfo/information/pi_belsomra_tab.pdf
新医薬品の「使用上の注意」の解説
http://www.msd.co.jp/Documents/healthcare/medicine/revision/explanation_belsomra.pdf
インタビューフォーム
http://www.msd.co.jp/Documents/hcp/productinfo/interviewform/if_belsomra_tab.pdf
注目の用量ですが、「通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1 回15mgを就寝直前に経口投与する」となっており、米メルク社のプレスリリースの推奨用量10mgと異なる点が気がかりです。
また、米国では5mgへの減量が推奨されたCYP3Aを阻害する薬剤(ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等)との併用ですが、強く阻害するものについては併用禁忌、弱く阻害するものについては併用注意の扱いとなっています。
ですので、下記のただし書きの通り、場合によっては投与できるというようにも読み取れます。(もっとも日本の製品には割線もないので半量など、減量する場合どうするんだろう。なんか変)
CYP3Aを阻害する薬剤(ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等)との併用により、スボレキサントの血漿中濃度が上昇し、傾眠、疲労、入眠時麻痺、睡眠時随伴症、夢遊症等の副作用が増強されるおそれがあるため、併用は治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみとすること。
ちなみに、米国製品の製品情報とMEDICATION GUIDEは下記の通りです。見比べてみてください。
製品情報
http://www.merck.com/product/usa/pi_circulars/b/belsomra/belsomra_pi.pdf
MEDICATION GUIDE
http://www.merck.com/product/usa/pi_circulars/b/belsomra/belsomra_mg.pdf
用量については、下記の記載があります。
Recommended dose is 10 mg, no more than once per night taken within 30 minutes of going to bed, with at least 7 hours remaining before the planned time of awakening. If the 10 mg dose is welltolerated but not effective, the dose can be increased, not to exceed 20 mg once daily
相互作用については、下記の記載があります。
• CYP3A inhibitors: Recommended dose is 5 mg when used with moderate CYP3A inhibitors. Dose can be increased to 10 mg once daily if the 5 mg dose is not effective. Not recommended for use in patients taking strong CYP3A inhibitors.
• Strong CYP3A inducers: Efficacy may be reduced.
• Digoxin: Monitor digoxin concentrations.
安全性についてのPMDAとのやりとりはおそらく1週間以内にアップされる承認審査書に注目したいと思います。
なお、習慣性医薬品に指定されたものの、向精神薬には指定されていません。
早くも疾病啓発サイトも
快眠ジャパン
http://www.kaimin-japan.jp
PMDA 医療用医薬品の承認審査情報のページに審査報告書がアップされました。これから読んでみます。
ベルソムラ錠15mg錠/20mg錠
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201400117/170050000_22600AMX01302_A100_2.pdfhttp://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201400117/170050000_22600AMX01302_A100_3.pdf(2014.11.12追記 アドレスが知らないまに変更になっていました。こういうのってあり?)
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201400117/170050000_22600AMX01302_A100_4.pdf(2015.02.18追記 アドレス変更)
http://www.pmda.go.jp/drugs/2014/P201400117/170050000_22600AMX01302_A100_4.pdf
(2016.11.17追記 アドレス変更)
(ベルソムラ錠15mg/20mg 申請資料概要 2016.11.17追記)
http://www.pmda.go.jp/drugs/2014/P201400117/index.html
11月5日付けの朝日新聞朝刊に依存性のない新型睡眠薬(商品名ベルソムラ)が、今月下旬に日本で新発売される記事が載っていました。
記事によると、この薬は覚醒を維持する神経伝達物質の働きを抑えて、睡眠を促すそうです。ベンゾは不安を抑える神経伝達物質の働きを強めて睡眠を促すそうで、これに比べての作用機序の違いから依存性を生じないとか・・・。
これが、この薬のアピールポイントみたいですね。
米国のFDAは日本の常用量の半分で使用を推奨しながら、日本より遅い年明けからの新発売とのこと。
上述から私なりの感想を下記に添えたいと思います。
・この薬は依存性がないと言われているが、その代わり、翌朝まで眠気の影響が残る。
・米国に比べて日本の方が早く発売されるということは、いかにメーカーにとって日本が 美味しい市場であるかが伺える。
・常用量においても、米国に比べて日本は規制が緩すぎる。
厚労行政は患者のことをどう考えているのか。
・日米の医療制度や医師の裁量権の違いについて考えさせられる。
・この薬が安全性が高く、有効性が既存品に比べて大いに期待できるのであれば、大いな る福音となるが、果たしてそうなるであろうか・・・・。
・日本の不眠症は10人に一人、薬服用は20人に一人。他の疾患(生活習慣病など)に比べ て、驚きの数字なのだろうか。
小嶋先生のコメントと多々、重複するところがありますが、新聞報道によってさらなる関心が高まっているようなので、遅ればせながらコメント掲載させて頂きました。
発売が近づき、ツイッター上でも話題になってきました
医師の方がブロク記事で取り上げています。
目に留まったものをいくつか紹介します。(抜粋すみません)
新規不眠症治療薬スボレキサントの話
(六号通り診療所所長のブログ 2014.10.06)
http://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2014-10-06
新しい睡眠薬 (2) スボレキサント
(内田直ブログ 2014.10.24)
http://blog.uchidaclinic.net/2014/10/2_24.html
スボレキサント(ベルソムラ®)は安全なのか
(もなかのさいちゅう 2014.10.17)
http://m03a076d.blog.fc2.com/blog-entry-1806.html
また、サンプルを飲んでの感想も(こういうを記事にするのは、ありなのかなあ)
ベルソムラ(スボレキサント) 飲んでみた
(ゆいメンタルクリニック院長ブログ 2014.11.12)
http://pudding3.cocolog-nifty.com/blog/2014/11/post-4d32.html
ベルソムラ(スボレキサント)20mgを実際に服用してみました
(内田直ブログ 2014.10.27,11.03)
http://blog.uchidaclinic.net/2014/10/3.html
http://blog.uchidaclinic.net/2014/11/420mg.html
あくまで、個人の感想ですが、起床時の「眠気」という感覚はどうもあるようです。
こういった記事を書くと、この薬に対して否定的だと思われてしまいますが、決してそうではありません。
懸念すべきは、メディアの取り上げ方などを見ると、まだまだ未知な部分が多いにもかかわらず、多くの方が過度の期待(ベンゾジアゼピン系のような依存性がない)をして、多くの方が使用するようになるかもしれないことです。
また、元記事にあるような、これまでの米国での承認までの経過が患者さんだけでなく、処方する医師の方にも十分に伝わっていないようにも思われるからです。
米国における審査の状況について(2016.11.17リンク再設定・黒塗りはされていません)
http://www.pmda.go.jp/drugs/2014/P201400117/170050000_22600AMX01302_A100_4.pdf#page=82
承認審査書をみると、米国での審査状況の部分はなぜか黒塗りとなっています。(FDAの情報をみれば、意味ないのにね)米国における審査の状況についてhttp://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201400117/170050000_22600AMX01302_A100_3.pdf#page=82
元記事でもふれましたが、米国では諮問委でFDAの見解をまとめた資料(開催日の2日前までに)、プレゼンスライド(開催後まもなく)が公開され、判断となる詳しい資料が公開されます。
FDA資料(メモ)
http://www.fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/Drugs/PeripheralandCentralNervousSystemDrugsAdvisoryCommittee/UCM352969.pdf
スライド(Suvorexant Safety and Efficacy)
http://www.fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/Drugs/PeripheralandCentralNervousSystemDrugsAdvisoryCommittee/UCM354215.pdf
日本では、検討の部会は非公開ですし、議事録も半年くらいたたないと出てこないので、どのような議論がされたかをすぐに知ることはできません。(FDA諮問委は、内容によってはWEBで生で見ることができることを考えると、企業保護という意味が果たしてあるのだろうかと思う)
私のところでも、おそらく発売されれば調剤をする機会がすぐに出てくるように思われます。入手した情報をきちんと吟味し、服薬指導や副作用の確認に生かしたいと思います。
11月19日の中医協で、薬価が提示され、了承されたそうです。
薬価収載即販売開始になりそうです。
15mgが89.1円、ベルソムラ錠20mg107.9円です
【中医協】 新医薬品一覧表(平成26年11月25日収載予定)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000065730.pdf
それと、う~ というくらい、睡眠の仕組みや薬理作用など、非常に詳しいブログ記事がありました。
ベルソムラという新しい睡眠剤が発売された
(場末P科病院の精神科医のblog 2014.11.17)
http://blog.livedoor.jp/beziehungswahn/archives/41579156.html
・乱用が生じる危険性はマイスリーと同じ程度は存在する
・スボレキサントは半減期が長く、3日間で定状状態に達するため、毎日20mg以上を内服しているような場合では運転は必ず控えるべきであろう
・アルコールとの併用は絶対にやめるべきである
薬剤師に対しては、副作用についての積極的な情報提供を求めています。
中医協では質問が相次ぎ、「潜在的なリスク」をめぐる、異例の議論があったそうです。各紙が伝えています。
2014年11月19日 中央社会保険医療協議会議事録(2016.11.17追記)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000071140.html
ベルソムラ、潜在的リスクの「情報提供徹底を」 中医協総会
(日刊薬業WEB 2014.11.20)
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/gyosei/article/1226579321530.html?pageKind=outline
中医協 MSDの「ベルソムラ」、診療側から慎重投与求める声
(RISFAX 2014.11.20)
http://www.risfax.co.jp/risfax/article.php?id=46247
ミクスOnline(2014.11.20)
https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/50785/Default.aspx
情報徹底というけど、米国FDAと用量が異なる件について担当の卸のMSに話したんだけど、知らないんだよね。
日本の臨床試験の結果だけでしかプロモーションできないんだろうけど、どうなんだろう。
「使用上の注意」の解説とは別に「適正使用ガイド」が出ています。(必読です。リンクすみません)
「使用上の注意」の解説
http://www.msd.co.jp/Documents/healthcare/medicine/revision/explanation_belsomra.pdf
「適正使用ガイド」
http://www.msd.co.jp/Documents/hcp/productinfo/20141126_1.pdf
医療関係者向けですが、重要なので抜粋しておきます。
ベルソムラ®のご処方にあたり、ご注意いただきたい事項
・本剤は習慣性医薬品に指定されています(米国では、他の多くの不眠症治療薬と同様スケジュールIVに分類)。依存性が発現する可能性がありますので、注意してお使いください。
・用法・用量は「通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する」となっております。なお、国内の用量設定は米国の開始用量よりも高く設定されておりますのでご留意ください。本剤は製剤の特性上、分割して用いないでください。
・他剤から本剤へ切り替えを行った臨床試験データはありません。前薬を中止してベルソムラ®に切り替えると、前薬の反跳性不眠や退薬症候が生じる可能性があるため、十分な注意が必要です。睡眠薬を服用中の患者においては、休薬期間を設け、前薬の反跳性不眠や退薬症候がないことを確認した上で、本剤を使用することが望ましいと考えられます。
くすりのしおりもアップされています。
ベルソムラ錠15mg
http://www.rad-ar.or.jp/siori/kekka_plain.cgi?n=40003
上記だけでは不十分かもしれません。薬情などは独自に検討する必要がありそうです。
米国のMEDICATION GUIDEを参考にしようかなあと思っています。
MEDICATION GUIDE
http://www.merck.com/product/usa/pi_circulars/b/belsomra/belsomra_mg.pdf
How should I take BELSOMRA?
• Take BELSOMRA exactly as your doctor tells you to take it.
• Only take BELSOMRA 1 time each night, if needed, within 30 minutes of going to bed.
• Only take BELSOMRA when you can get a full night’s sleep (at least 7 hours).
• Do not take BELSOMRA if you drank alcohol that evening or before bed.
• BELSOMRA may be taken with or without a meal. However, BELSOMRA may take longer to work if you take it with or right after meals.
• Call your doctor if your insomnia (sleep problem) worsens or is not better within 7 to 10 days. This may mean that there is another condition causing your sleep problem.
• If you take too much BELSOMRA, call your doctor right away or get emergency treatment.
What should I avoid while taking BELSOMRA?
• Do not drink alcohol while taking BELSOMRA. It can increase your chances of getting
serious side effects.
• Do not drive, operate heavy machinery, do anything dangerous or do other activities
that require clear thinking after taking BELSOMRA.
• You may still feel drowsy the next day after taking BELSOMRA. Do not drive or do
other dangerous activities until you feel fully awake.
審議が行われた、2014.08.01開催の医薬品第一部会の議事録がアップされました。
薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録(2014.08.01 開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000068108.html
鈴木委員がPMDA(機構)にいろいろと質しているのですが、10mgでは効果がないのでというスタンスを譲らなかったようです。
以下は抜粋です。
○鈴木委員
この薬は米国では開始推奨用量が1日10mgからに対して、我が国では成人で20mg、高齢者で15mgということで、日本の方が用量が多くなっています。通常はアメリカの方が体格が平均して大きいので、日本の方が少ないのが普通ではないかと思うのですけれども、どうしてそうではないのかという理由を聞かせてください。
○機構
アメリカでは、運転能力試験が重視されていて、運転能力に全く影響を与えないとされる用量を開始用量にするという考え方を採っています。我々としては、10mgについても運転能力に全く影響を与えないとまで断言できるほどのデータは得られていないと考えております。
また有効性についても、アメリカは独自の解析を行い、一部の患者では有効性が認められるだろうという考え方を採っています。一部の患者に有効性を認められるだけであって、多くの患者において有効性を認められるわけではありません。本邦の臨床現場の中で、初回用量からきちんとした有効性が認められないと、患者が治療をやめて来院しなくなるなどのことから、きちんと有効性が示される用量から投与を開始すべきだというところも、専門協議の中で専門委員から意見を頂いています。このような理由から、アメリカでは10mgを開始用量としておりますが、本邦では非高齢者では20mg、高齢者では15mgを推奨用量とすることが適切と考えております。
○鈴木委員
「米国は日本と比較してより車中心の社会であり」と書いてあります。大都市部はそうかもしれませんが、日本でも地方では車は必需品で、高齢化率を考えればアメリカ以上かもしれません。1人1台という感じで、高齢者も移動に車を使っております。その中にはそういう眠剤を飲んでいる人もいるかもしれません。服用したら運転するなと言っているから大丈夫だというのは、何か言い訳のような気がします。車社会が日本とアメリカと比べて、日本はアメリカほどではないから大丈夫だというのは言いすぎというか、書きすぎだと思いますが、それについての意見を是非お聞かせください。
○機構
車中心の社会ではないから大丈夫だというのはあくまで申請者の見解であり、我々としてはその点よりも既承認の睡眠薬であるゾピクロンと比較して、本剤で自動車運転に対するリスクが高くはないというところを重視しております。
○鈴木委員
よく理解できないお答えですが、我が国でも高齢者を含めて服用するわけですから、通常は低用量から始めて、効果が少なければ増量していくのが普通だと思います。いきなり高用量にしないと患者が来なくなるからというのは、どんな先生がおっしゃっているのでしょうか。一般の臨床から考えて理解に苦しむようなお考えだと思います。そういう意見を基にして、こういうものを決めたということであれば、臨床の現場の感覚からはずれているのではないでしょうか。
○機構
審査報告書の56ページを御覧ください。表26の所に国際共同第II相試験の成績が記載されております。10mgが投与された試験成績はこちらです。入眠効果の所でsTSOmの方でプラセボとの群間差が示されております。10mgというのは、他の用量と比べて弱い。右側の睡眠維持効果の所は、プラセボとの群間差においては全く差が付いていないというのが、10mgの試験成績です。
50ページの表22の国際共同第III相試験では、10mgというのは、この試験の中では設定されておりません。したがって、日本人が入っている、そもそも国際共同で全体でもこれだけしか試験成績はないのですけれども、10mgの有効性を評価できるデータというのは、実際ほとんど何もないという状況です。
一方でアメリカの審査の中で、資料の93ページの図8に提示されている自動車運転能力試験をやっています。これは、アメリカの高速道路で、全員が治験薬を服用し、それからずっと車を走らせて、どれだけずれが生じるかを評価した試験です。こちらの中で、20mgあるいは40mgのいずれもずれているところで、ここからずっと推定していって、最終的に10mgというものが、多分ずれを生じないだろうと。そういう結果に基づいて、アメリカでは10mgというものを推奨用量として設定しています。
私どもとしては、この10mgの有効性のデータも不十分ですし、この自動車運転能力試験から、日本人で10mgを投与したときに、自動車を運転してよいという用量と言えるかというと、決してそのようなわけではなくて、そこは自動車運転をしてもよいと結論付けるにはそれなりの臨床試験が必要だと考えておりますので、10mgは臨床用量に含めることはできないと考えております。
日本とアメリカの違いですが、現時点で私どもとしては、アメリカとは異なって、自動車運転の危険を伴う機械の操作に従事させないというような、睡眠薬はそのような注意喚起の下で承認しております。そのリスク感に基づけば、非高齢者では20mg、高齢者では15mgを承認用量として承認しても差し支えないと考えています。
一方で先生から御指摘のとおり、自動車運転は、別に日本とアメリカとそれほど違わないと私どもも考えております。今後開発する睡眠薬などにおいては、そういう自動車運転なども考慮した、それぞれの患者さんの利便性をより向上させるような開発も重要だと考えておりますので、そういうものに関しては今後の開発において、そういうデータが得られるような形で助言などもしていきたいとは考えております。
○鈴木委員
最後にそのようにおっしゃると、そういうことになるのでしょうが、それがきちっと文章に残らないと、結局ここで言いつくろうために言ったということで終わってしまうのです。薬食審にはそういう傾向がありますので、きちっと文章に残してください。眠剤を飲んだ高齢者の運転問題というのは日本も同じだと思います。調べていないだけであり、運転の試験もしていないだけであって、問題は同じだと思います。高齢化は日本の方が進んでいるわけですから、高齢者の問題というのは日本の方がより深刻です。地方では、公共交通機関などほとんどない所がありますから、そういう所の問題もきちんと考えていかないと、今のような説明だけでは現場は非常に不安だと思います。責任逃れで、個人の責任で片付けようという感じがしますから、そういう課題があるのでしたら、それをしっかり書いていただいて、これ以降の審査に反映されるようなことをしていかないと、いつまでも同じことを繰り返すだけだと思います。アメリカに比べて日本の方が高用量からスタートする、特に高齢者がアメリカの成人よりも高用量というのは、私には理解できません。
○野田委員
常識的な意見だと思うのですけれども、他の薬でも少量から始めて効果を見るということがよくあるというか、常識的な投与法だと思うのです。特に不眠症のお薬についても、そういうことが言われていると思うのです。私はそういった薬剤の専門家ではないのですけれども、少なくとも糖尿病の薬では少量から開始して増やしていくということですが、それと同じような発想はないのかと思っています。
○機構
先ほどの私の発言は少し誤解を与えてしまったかもしれないのですけれども、承認された用量の中が複数あった場合に、高用量から始めるということではなくて、あくまで有効性があるときちんと示された用量から始めるということであって、今回10mgは有効性がきちんと示されたものではないので、そこのところから始めることはしないということを申し上げたつもりです。ですので、睡眠薬の領域においても、もちろん日本の医療現場では、きちんと有効性が示された中では低用量の方から治療を始めております。
○鈴木委員
蒸し返しみたいですが、アメリカでは10mgで有効性が示されたのでしょう。日本人が入った国際共同治験では10mgが入っていなかったというだけなのではないのですか。
○機構
アメリカで実施された試験も、第III相試験では10mgは設定されておりません。アメリカでも、今回日本で出された試験と同じデータで評価をしております。その中で、アメリカでは独自の解析をして、一部の患者では10mgでも有効性が認められるかもしれないという形で結論しているということです。
○鈴木委員
私は、一般的な臨床医の常識としては、特に高齢者は少量から始めて、効果をみながら、徐々に増やしていくのが当たり前だと思いますので、今の説明だけでは納得できません。それで押し切るということであれば、その説明を文章として残していただいて、次以降の類薬の審議のときに反映していただきたいと思います。高齢者の社会的な背景も考えなければ、これからの薬の承認というのは難しいと思います。特に高齢者の問題というのは、これからは我が国の方が深刻になっていくわけですから、そういうことを一切無視して、限られたデータだけで判断すればいいというような考え方自体が、私は問題だと思います。このままお通しになるというのであれば、何らかの形で文章として残して、高齢者の運転にはもっと安全性を担保するような試験が必要だとか、薬との関係も、もっとはっきりアメリカのようなエビデンスを出すべきだとか、それを是非書いていただきたいと思います。
○審査管理課長
審査管理課長の森です。ただ今の御議論は非常に大事なポイントを押さえられたお話だと思います。ただ今の鈴木委員からの御提案について、本日の議論を整理した形でペーパーにして、次回の部会に配布させていただくようなことで対応させていただきたいと考えております。確かに先生がおっしゃるように、日本は高齢人口の割合が世界的に一番高い国です。例えば80代の高齢者はこの治験の中には含まれておりません。そうした非常に高齢の方でも、睡眠障害をお持ちになって、こうした薬をお使いになる事態が想定されます。これは別の理由ではあるのですが、審査報告書の94ページなどに、他剤との併用という事態を考えて、そうした際の減量のためのより低用量の製剤を準備するというようなやり取りもしております。つまり、10mg製剤を日本でも用意しようということで今やっておりますので、こういうものが揃うと、高齢の患者さんの場合にもっと低い用量を使うことも現実に可能になってまいります。
○鈴木委員
今の課長の提案であれば、それでいいと思います。今のお話の中に、80代の方の成績がないという話がありました。アメリカもそうでしょうが、地方では、他に移動手段がないわけですから、日本でも80代の方が運転するのは当たり前です。この話は後でいろいろな事故が起きて、なぜこんな高用量を認めたのだということになってから問題になるのではなくて、リスクは事前に分かっていたということが、この議論の中で明らかになったわけです。ですから、事前にできるだけ避けられるリスクは避けるべきであり、常に社会的な背景も考えた上で審議をしないと、承認のための単なる机上の議論では済まされないと思いますので、是非そのようにしていただきたいと思います。
○村田委員
教えていただきたいのですが、用量に関して20mgということで、10mgは効果が認められていないからということだったのですが、それはこの治験をやった人で、こういう治験の場合この人数で、これでP値が0.05を切るということが必要なので、もちろんそうなのです。医師の方とすると、患者さんは体重も様々ですし、年齢も様々です。例えば20mgが承認されていて、10mgと半分で飲む患者さんもいるものですから、飲んでよかったら、それでいいのではないかと現実的には考えるのです。
ところが、例えばアリセプトもそうなのですけれども、少用量で出そうとすると保険で切られます。使ってはいけないと言われるのですが、それは今のように10mgでは、この集団で効果が少ないけれども、効く人たちは必ずある部分の人はいます。それを使って、アメリカではある部分の人は効くと言っているのだと思うのです。そういうのは許されないものなのですか。20mgで効果が出ました、ですから20mgを至適用量として承認いたしますというようにやったときに、10mgを使って患者さんが安全で、しかも効果があったら10mgを使うということは、それは日本国としては許されないものなのでしょうか。
○審査管理課長
村田先生がおっしゃることは私も同感です。低用量から始めることに関して、基本的には本来有効性があると期待される用量を使う、薬でやるからにはそのような治療をするというのが一般的な理解だと思っております。患者さんによっては、プラセボ効果で十分臨床効果が得られるようなことがままあるということも、これまたよく知られている話です。
80代ぐらいの高齢の方になると、かなり少ない用量で効果が出ることも想定されます。ただ、そこは全く検討がまだ十分されていない領域なので、そういうところが今後、市販後の段階でデータが集積されることになるという課題として明らかにあると思います。そういう中で、より低用量で使われるような事態が現場へ出ると起きる。本来、それを許容しないということを言っているわけではないと思うのです。
現実に現場でアリセプトがもっと低い用量で使われないと、副作用が出て大変だという形で、これは安全対策課に私がおりました時に、そこについて、もう少し用量についてのフレキシビリティをというような、現場からの要請がありました。それに対して添付文書中の用量に関する記載を改める対応をしたこともあります。そういうことからしても、先生が今御指摘になる点については非常によく分かります。ただ、基本的には有効性を十分発揮する用量を使ってほしいということを、審査をしている中ではそのように思っているということも御理解いただきたいのです。
治験の中で検討されている年齢幅、あるいは組入れ基準に該当する患者さんでは、それなりの量を使わないと効かないということが一般的で、現場に出るともっと少ない用量で効いてしまう方がいるということを、十分に事前に調べきることはなかなかできないので、現場へ出てからそういうケースで効くということを、次第に集積し、それを実際の承認内容として反映させていくようなことが、市販後の対応として将来的には必要になってくるということが現実問題としてはあり得ると思っています。それに対して審査側、あるいはデータを集める企業側にも速やかに対応するための相当な努力を求められることだとは思っておりますが、現状はそういう個々のケースにおいては、現場の変化になかなか対応しきれていないこともあるのだと理解しております。
○松木部会長代理
高齢者のことに関して、添付文書はまだ案の段階かもしれないのですが、1-8の添付文書で、1ページの右上の「慎重投与」の(2)高齢者に「高齢者への投与の項参照」とあるので探してみると、次のページの左下に「5.高齢者への投与」ということで、「一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら注意して投与すること」とありますが、これは当たり前なのです。これを書くのだったら、全ての薬に書かなければいけないし、その後に「慎重投与の項参照」というのでまた戻ると、「高齢者の投与の項参照」というのは非常に不親切です。なぜ高齢者が15mgで、普通の人が20mgなのだろうというのは、みんな普通に使うときに思って添付文書を見ても、それに対応する答えが出ていないわけです。臨床試験では特に問題はなかったけれども、慎重を期して15mgにしたとか、そのようなことが分かれば、実際の現場でもっと使いやすいと思いますので、そのようなことも考慮してほしいと思います。
○機構 高齢者の用量ですけれども、これは、もともと曝露量に基づいて、非高齢者と同じ曝露量になるように用量設定をして、ですから、もともと高齢者である程度代謝などが落ちてくることを考慮して15mgを設定しています。これまでの医薬品とは若干異なって、高齢者のデータを積極的に評価して設定しているものであるところを御理解いただければと思います。
○審査管理課長
そこは十分御理解いただいていると思うので、添付文書の記載中では、そういう動態の部分のデータが添付文書の年齢といったところに、動態のデータとして15mgと20mgのそれぞれのばく露のデータを載せているので、こういうところの記載を、更に高齢者の所にも引用するようにするとか、理解がしやすいように対応する工夫はできると思うので、そのように検討するということでいかがですか。
○機構
検討させていただきます。
個人的には、1回議決を見送って、添付文書の見直しなどをして再審議をしてもよかったのではないかと思いました。
注意喚起が出ましたね。やはり、翌日への持ち越しはあるようです。
ベルソムラ®15㎎・20mg 市販直後調査の月次報告(第1回)
適正使用のお願い(自動車運転に関する注意喚起)
(MSD 2015.02.02)
http://www.msd.co.jp/Documents/hcp/productinfo/eppv_belsomra.pdf
関連記事
新睡眠薬で翌日の眠気? 自動車事故発生で注意喚起
2014年11月発売の「ベルソムラ」
(あなたの健康百科 2015.02.09)
http://kenko100.jp/articles/150209003335/
すでにツイートで紹介していますが、17日の官報で、ベルソムラの10mgの薬価が告示されています。(68円)
これに伴い添付文書も改訂されています
【PMDA】 ベルソムラ錠10/15/20mg
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1190023F1024_1_08/
10mg錠は年齢ではなく、CYP3Aを阻害する薬剤 (ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等) との併用時に使用考慮とのことです。
元記事にありますが、米国では10mgが推奨量。5mgの規格も。
実感としては現状承認量だと、翌朝への持越しを訴える人も多いんですけどね。
詳しい解説は下記ブログをご参考下さい。