シルデナフィルが処方せんなしで購入可能に(NZ)(Update)

 いろいろ紹介したい話題があるのですが、余裕なくまた半月が経ってしまいました。そんななか、注目の話題がWEB記事にアップされたので紹介します。

 まだWEB上に正式にアップされていませんが、16日、ニュージーランド政府は官報で、シルデナフィルの条件付きで処方せんなしで販売できるとした分類変更の告示を行いました。各紙が取り上げています。

NEW ZEALAND GAZETTE, No. 127 16 OCTOBER 2014
https://www.dia.govt.nz/Pubforms.nsf/NZGZT/NZGazette127Oct14.pdf/$file/NZGazette127Oct14.pdf#page=82

Erectile dysfunction medication approved for over counter sales
(TVNZ 2014.10.16 動画あり)
http://tvnz.co.nz/national-news/erectile-dysfunction-medication-approved-over-counter-sales-6108955

Erectile dysfunction pill more available
(Radio New Zealand 2014.10.16)
http://www.radionz.co.nz/news/national/257080/erectile-dysfunction-pill-more-available

Ground-breaking reclassification sees pharmacists dispensing erectile dysfunction drug
(Pharmacy Today 2014.10.16)
http://www.pharmacytoday.co.nz/news/2014/october-2014/16/ground-breaking-reclassification-sees-pharmacists-dispensing-erectile-dysfunction-drug.aspx
(ツイッターから入ると、ログインなしで全文が読める)

 処方せんなしで購入が可能となるのは、Douglas Pharmaceuticals 社のシルデナフィルのGE品の“Silvasta”です。

Silvasta
http://www.douglas.co.nz/erectile-disfunction/products/silvasta/

 一方、Pharmacy Today 紙の添付情報に官報の抜粋があります。(これはログインなしでみれる)

Classification of Medicines
(Extract from New Zealand Gazette, 16/10/2014, No. 127, p. 3556)
http://www.pharmacytoday.co.nz/media/842675/gazette_notice_sildenafil.pdf

 官報上記によれば、今回の分類は要薬剤師薬への分類変更ではなく、処方せん医薬品(Schedule1)のままで、下記条件の下であれば、処方せんなしでの販売が認められるということのようです。

Schedule 1
Prescription Medicine
Sildenafil; except in medicines for oral use containing 100 milligrams or less per dose unit when sold in the manufacturer’s original pack containing not more than 12 solid dosage units for the treatment of erectile dysfunction in males aged 35–70 years by a registered pharmacist who has successfully completed a training programme endorsed by the Pharmaceutical Society of New Zealand

 シルデナフィルの処方せんなしでの販売は、英国でもPGDという仕組みで地域限定で既に可能になっていますが、処方せん医薬品という分類ではあるものの、国が条件付きで認めたのは世界で初めてになるかと思います。

 シルデナフィルの分類変更については、MEDSAFEの医薬品分類に関する委員会(MCC:Medicines Classification Committee)で長期にわたり議論されていました.が、議事録を確認したところ、今年4月に行われた委員会で分類変更可とする勧告が行われていました。

Minutes of the 51st meeting of the Medicines Classification Committee
(Medsafe 2014.04.08 開催)
http://www.medsafe.govt.nz/profs/class/mccMin8April2014.htm
http://www.medsafe.govt.nz/profs/class/agen51CommentsOnSubmissions.pdf

 去年11月に行われた同委員会では、「スクリーニングチェックツールの不備や健康リスクを申告しない生活者が潜在するとして、スイッチはすべきでないとした」とした意見も出ていたので、やっぱり無理かと思っていたのですが、その後、議論が進んでいたことに気づきませんでした。

Minutes of the 50th meeting of the Medicines Classification Committee
(Medsafe 2013.11.13 開催)
http://www.medsafe.govt.nz/profs/class/mccMin12Nov2013.htm

上記委員会でメーカーが提出した資料
http://www.medsafe.govt.nz/profs/class/mccAgenNov2013/6.7-MCC-Sildenafil-Submission.pdf
 
 今年の5月の委員会の議事録と各紙報道によれば、販売が可能なのは35歳以上で、喫煙者、コレステロールの人、糖尿病や心疾患のある人(自己申告だが)には販売できないそうです。

 薬剤師にトレーニングを行った後、早ければ数週間のうちに販売が開始されるようです。(トレーニングツールにページにはログインしないと入れない。ちょっと探してみます)
 
 医師会からなどの懸念もあるようですが、個人輸入などで偽物を掴まされ、健康被害が少なくないことを考えると、対策の一つとしても考えてもいいかもしれません。

Agenda for the 51st meeting of the Medicines Classification Committee
(New Zealand Medical Association)
https://www.nzma.org.nz/__data/assets/pdf_file/0016/26530/sub-agenda-of-51st-meeting-of-the-MCC.pdf

 メーカーと製薬団体がプレスリリースを出しています。

Kiwi men first to access erectile dysfunction treatment direct from pharmacists without prescription
(Douglas Pharmaceuticals 2014.10.17)
http://www.scoop.co.nz/stories/GE1410/S00123/pharmacy-access-to-erectile-dysfunction-treatment.htm

Consumers get easier access to effective medicines
(New Zealand Self-Medication Industry Association 2014.10.17)
http://www.scoop.co.nz/stories/GE1410/S00121/consumers-get-easier-access-to-effective-medicines.htm

 一方、下記記事をみるとファイザー社もスクリーニングツールを作成して、自社品の販売を支援するようです。

All ED treatments to be available via pharmacist-prescription
(Media release from Pfizer 2014.10.17)
http://www.nzdoctor.co.nz/un-doctored/2014/october-2014/17/all-ed-treatments-to-be-available-via-pharmacist-prescription.aspx

Medsafe gives nod to specially-trained pharmacists to prescribe erection drug
(New Zealand Doctor 2014.10.17)
http://www.nzdoctor.co.nz/news/2014/october-2014/17/medsafe-gives-nod-to-specially-trained-pharmacists-to-prescribe-erection-drug.aspx

 ニュージーランドでは、インフルエンアワクチンやトリメトプリム(TOPICS 2012.09.06)も同様に、処方せん医薬品というカテゴリーは変えないものの、専門のトレーニングなどを受けた薬剤師が販売する場合は除くとしたものに改められています。

 トリメトプリムやシルデナフィルのように、要薬剤師薬よりも一ランク上の薬剤師が管理指導するOTC医薬品(と表現するのは正しいかなあ?)として、こういったカテゴリーが注目される可能性があります。(真の意味での要指導医薬品ですね)

関連情報:TOPICS
 2013.06.11 ニュージーランドのPharmacist Only Meidicines
 2012.09.06 インフルエンザワクチンとトリメトプリムの再分類(NZ)
 

14:15更新


2014年10月17日 00:15 投稿

コメントが2つあります

  1. 今までにも、OTC薬のスイッチ化候補の品目が数多く提示されてきました。
    そこには既存の要指示薬よりもワンランク上の品目群がズラリと並んでいました。しかしながら、それらは医師会の猛烈反発で尽く、日の目を見ることができなくなっています。
    これからはスイッチ薬化に対しても、世界情勢の事例(処方箋なしで購入可能など)をもとにした発想の転換が求められるようですね。
    日本薬剤師会も、ロキソニンの指定二類において厚労省向けに無駄な反論をしないで、もっと、本掲載のような進化した感性で、発想転換を磨くべきでしょう。

  2. アポネット 小嶋

    TVNZ の ONE NEWSで、販売から半年たった状況が伝えられています。(販売のためのチェックリストなどが映し出される、動画にも注目)

    Over-the-counter sales put lead into erectile dysfunction meds
    (TVNZ 2015.04.20)
    http://tvnz.co.nz/national-news/over-counter-sales-put-lead-into-erectile-dysfunction-meds-6295057