フッ化物洗口液が要指導医薬品に指定(パブコメ結果)(Update)

 TOPICS 2014.12.30 で紹介しましたが、薬食審・要指導・一般用医薬品部会で承認の了承が得られた、フッ化ナトリウムを有効成分とした虫歯予防の洗口液「エフコート」の要指導薬への指定が13日の官報で告示されました。インターネット版官報(http://kanpou.npb.go.jp/)(本紙6491号 3ページ)で閲覧できます。

フッ化ナトリウム含有の要指導薬
(薬局新聞 2014.12.3)
http://www.yakkyoku-shimbun.net/2014/12/05/000198/

要指導医薬品一覧(厚労省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/newyoushidou.html

 今回の告示に合わせて、パブリックコメントの結果が公表されたのですが、安全性や有効性をめぐって、一部に議論があるにもかかわらず、意見提出があったのは私だけでした。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第四条第五項第三号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する要指導医薬品を定める件(案)に関する意見募集の結果について
(意見公募時の案の公示日 2014年12月19日 意見・情報受付締切日 2015年01月17日 結果の公示日 2015年03月13日)

 私の記憶違いだったのかもしれませんが、要指導医薬品の新規指定にあたっては意見募集を行うそうです。(リスク区分の変更時は確かにやっていたけど、新規指定時はやってたかなあ?)

御意見の内容 厚生労働省の考え方
今回、なぜ意見募集を行ったのか。有効性や安全性について疑問視する声があることが理由であれば、判断材料である審査報告書等の公表を行う必要があるのではないか。 個々の要指導医薬品の指定については、意見募集を行うこととしています。また、審査報告書については、他の医薬品同様、承認後に医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページにおいて公表することとしております。
海外では、洗口液について6歳未満は非推奨だが、本邦で用法用量が「4歳以上」である理由はなにか。  「う蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニュアル」(平成15 年3月 フッ化物応用研究会 編)においても示されているとおり、乳歯から永久歯への生え替わり時期、ぶくぶくうがいが出来るとされている年齢等を考慮し、「4歳以上」を対象にしました。
集団洗口等で誤飲などが認められていないことを理由に、未就学児が家庭で適切に使用できるか懸念がある。また、学校や保育園等で集団洗口が励行されているが、これらを実施した子供がさらに家庭で洗口することも考えられる。必要以上のフッ化物摂取の懸念を考えると、添付文書等で注意喚起の必要があるのではないか。 集団洗口等と家庭での洗口を併用することについては、用法・用量を踏まえ適切に使用する限り、フッ化物摂取に特に問題ないと考えます。なお、必要な注意喚起については、添付文書等様々な媒体を通じて、適切に情報提供させていただきます。

 今回のパブコメ、もっと意見が出るかと思ったのですが、やっぱり関心がないのでしょうか? それとも告知の方法も悪かったのでしょうか?

 現時点では、一般医薬品部会の議事録は未掲載、薬事分科会では報告だけで、特に意見も出ませんでした。(→薬事分科会議事録

 薬局新聞の記事にあるように、エフコートは、医療用医薬品「バトラーF洗口液0.1%」のスイッチ品で、医療用医薬品の半量の濃度のフッ化ナトリウムを0.05%が含有されています。

エフコート添付文書案
(薬事分科会資料・日刊薬業行政情報)
  http://nk.jiho.jp/servlet/nk/release/pdf/1226686641032#page=101
  (パブコメの際は、この資料は提示されていません)

バトラー洗口液0.1%
  http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/279082XQ2022_1_01/
  http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/300226_279082XQ2022_1_01.pdf

 承認審査書がアップされたらリンクを張ります。

関連情報:TOPICS
 2014.12.30 フッ化物洗口液がスイッチへ パブコメ実施中です

 17:20 タイトル変更し、記事更新


2015年03月13日 13:48 投稿

コメントが4つあります

  1. アポネット 小嶋

    フッ化物洗口液の審議が行われた、薬食審の要指導・一般用医薬品部会の議事録がアップされました。

    要指導・一般用医薬品部会 議事録
    (厚労省 2014年11月26日 開催 2015年3月16日掲載)
    http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000077749.html

    臨床試験についてです。本申請に際し新たな臨床試験は実施されておらず、国内外の論文が提出されております。海外論文ですが、表2に示した9報が提出されており、全ての文献においてフッ化ナトリウム洗口液での洗口によるう蝕予防効果は、対照群と比較して高い結果が示されております。8ページの国内で実施された臨床試験の報告については、9ページの表3に示した2報が提出されており、こちらも、いずれにおいてもフッ化ナトリウムの洗口液による洗口でう蝕の予防効果が認められております。

    10ページを御覧ください。審査の概略です。有効性については、本邦においてガイドラインに基づいて既にフッ化ナトリウムの洗口が行われていること、及びWHOによりフッ化物利用が推奨されていることから、本剤の使用は医学薬学上公知に準ずるものと考えられ、むし歯の予防に対する有効性については、一定の評価がなされていると判断いたしました。

    だったら、パブコメ前に承認審査書と議事録を公開しても差し支えなかったのでは。そもそも医療用医薬品だって、明確な臨床試験のデータがないんだから。

    こういった資料を示さないで、意見募集なんていっても無理ですよね。

    そして、注目は次の部分

    本品目の申請時には対象年齢が6歳以上13歳未満の小児とされておりましたが、機構における専門協議で、ガイドラインにおいても4歳からの開始を推奨していることから、対象年齢の下限は4歳以上とするべきであり、かつ13歳以上であっても必要性があるのではないかというような御指摘がなされました。機構は、その意見を踏まえ、ガイドラインに準ずることが望ましいと考えられることから、申請者に対して4歳から使用した場合の有効性と安全性を説明するよう求めました。

    つまり、機構の方から適用の年齢を広げたということみたいですね。

    承認審査書がアップされたらじっくり見てみましょう。

  2. アポネット 小嶋

    PMDAに承認審査情報がアップされました。これから読んでみます。

    エフコート、エフウォッシュ、バトラー エフウォッシュ
    (審査報告書)
    http://www.info.pmda.go.jp/ippan/O201500001/300226000_22700APX00112000_Q100_1.pdf
    (申請資料概要)
    http://www.info.pmda.go.jp/ippan/O201500001/index.html

    審査報告書は、審議が行われた要指導・一般用医薬品部会の議事録(→リンク)とあわせてお読みください。

  3. アポネット 小嶋

    9月18日の発売が決まりました

    日本初 OTC医薬品のむし歯予防薬
    フッ化物洗口剤『エフコート』新発売
    一生自分の歯で食べるための新習慣にフッ化物洗口を!
    (サンスター株式会社 2015.07.13)
    http://jp.sunstar.com/company/press/2015/0713_2.html

  4. アポネット 小嶋

    商品サイトがアップされています。

    エフコート
    http://www.fcoat.jp/

    (添付文書)
    http://www.fcoat.jp/pdf/fcoat_doc_Part1.pdf
    (チェックシート)
    http://www.fcoat.jp/pdf/fcoat_check.pdf

    こういう要指導医薬品こそ、販売開始にあわせて、薬剤師会が独自の販売ガイダンスをつくるべきだと思うんですけどね。