14日、注目の健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会の第6回検討会が開催されています。(7日開催予定が1週間延期されていました)
第6回健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会
(厚労省 2015年9月14日開催)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000097392.html
第6回検討会では、これまでの議論を踏まえた、検討会としての報告書(案)が提示され、おおむね了承されたようですが、名称についてと、取り扱う⼀般⽤医薬品に関して、委員からの注文意⾒が出され、この2つについては、今回の議論を踏まえて座⻑が報告書を取りまとめることにようです。
ツイッターによれば、またも「置くこと自体、そもそも要件に入れてほしくない。むやみやたらに売られても困る」といった発言があったようです。事実であれば本当ににひどい発言です。(医師会は、自分たちの意になる調剤所になってさえくれればいいとしか思えません。薬局は地域の住民のために必要な医薬品を供給を行う施設だというのに。それをも否定するんだ。厚労省も法律上からもどうしておかしいと言えないのだろうか?)
健康づくり支援薬局(仮称)のあり方について
(健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会 報告書(案))
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/siryou_1.pdf
参考資料1 医薬品等の供給体制及び名称に係る前回までの主な御意見(PDF:560KB)
検討会として適当であるとされた要件は以下の通りです。
- 患者がその薬局においてかかりつけ薬剤師を適切に選択することができるような業務運営体制を整備していること。
- 患者がかかっている全ての医療機関を把握して、一般用医薬品等を含めた服薬情報等を一元的・継続的に把握するよう取り組み、薬歴に適切に記録していること。
- 残薬管理や確実な服用につながる指導を含め、懇切丁寧な服薬指導や副作用等のフォローアップを実施するよう取り組むこと。
- 患者に対し、お薬手帳の意義・役割を説明し、その活用を促していること。また、一人の患者が複数のお薬手帳を所持している場合には、一冊化・集約化に努めること。
- かかりつけ薬剤師・薬局以外で薬剤を交付することになった場合には、かかりつけ薬剤師・薬局における服薬情報の一元的・継続的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導が可能となるよう、適切に協力することが望ましいこと。
- かかりつけ薬剤師・薬局を持たない患者に対し、かかりつけ薬剤師・薬局の意義・役割や適切な選び方を説明し、かかりつけ薬剤師・薬局を選ぶよう促していること。
(24時間対応、在宅対応)
- 開局時間外であってもいつでも、かかりつけ薬剤師(かかりつけ薬剤師が対応できない時間帯がある場合にはかかりつけ薬剤師と適切に情報共有している薬剤師を含む。)が患者からの相談等(必要に応じ調剤を行うことを含む。)に対応する体制を整備していること。
- 在宅患者に対する薬学的管理及び指導の実績があること
(かかりつけ医を始めとした医療機関等との連携強化)
- 医療機関に対して、患者の情報に基づいて、疑義照会を行い、必要に応じ、副作用・服薬情報のフィードバック、それに基づく処方提案に適切に取り組むこと。
- かかりつけ薬剤師・薬局として、地域住民からの一般用医薬品等の使用に関する相談や健康に関する相談に適切に対応し、そのやり取りを通じて、必要に応じ医療機関への受診勧奨を行うこと。
- 地域包括支援センターや居宅介護支援事業所、訪問看護ステーションなどの地域包括ケアの一翼を担う多職種と連携体制を構築していること。
(医療機関への受診勧奨やその他の関係機関への紹介)
- 一般用医薬品等に関する相談を含め、健康に関する相談を受けた場合は、かかりつけ医と連携して状況を確認するなど受診勧奨に適切に取り組むこと。
- 1のほか、健康に関する相談に対し、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、訪問看護ステーションのほか、健診や保健指導の実施機関、市町村保健センターその他の行政機関、介護保険法における介護予防・日常生活支援総合事業の実施者等の連携機関への紹介に取り組むこと。
- 地域の一定範囲内で、医療機関その他の連携機関とあらかじめ連携体制を構築し、連絡・紹介先リストを作成していること。
- 利用者等の同意が得られた場合に、必要な情報を紹介先の医療機関等に文書(電子媒体を含む。)により提供するよう取り組むこと。
(地域における健康増進のための各種事業への参加)
- 地域の医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、栄養士会、介護支援専門員協会等に連携・協力し、地域の行政や医師会等が実施・協力する健康増進その他の各種事業等に積極的に参加するよう取り組むこと。
(健康づくり支援に取り組む薬剤師の研修と人的要件)
- 一般用医薬品や健康食品等の安全かつ適正な使用に関する助言や健康に関する相談、適切な専門職種や関係機関への紹介等に関する研修を修了した薬剤師が常駐していること。
(個人情報に配慮した相談スペースの確保)
- 薬局内に、パーテーション等で区切られた相談窓口を設置していること。
(健康づくり支援薬局(仮称)であることの表示)
- 健康づくり支援薬局(仮称)であることや、一般用医薬品や健康食品等の安全かつ適正な使用に関する助言や健康に関する相談を積極的に行っている旨を薬局の外側の見えやすい場所に掲示すること。
- 薬局で実施している健康づくり支援の具体的な内容について、薬局内で分かりやすく提示すること。
(開局時間の設定)
- 平日の開局日には連続して開局(午前8時から午後7時までの時間帯に8時間以上が望ましい)していること、さらに土日どちらかにも一定時間開局していること。
(健康に関する相談対応と記録の作成)
- 一般用医薬品や健康食品等の安全かつ適正な使用に関する助言や健康に関する相談を行い、利用者の状況や一般用医薬品、健康食品等の特性を十分に踏まえ、利用者自らが一般用医薬品、健康食品等を適切に選定し、かつ使用することができるよう、専門的知識に基づき説明するよう取り組むこと。
- 販売内容や相談内容(受診勧奨や紹介の内容を含む。)を記録し、一定期間保存していること。
(健康づくり支援に関する具体的な取組の実施)
- 積極的に健康づくりを支援する具体的な取組(例えば、薬剤師による薬の相談会や禁煙相談の開催、健診の受診勧奨や認知症早期発見につなげる取組、医師と連携した糖尿病予防教室や管理栄養士と連携した栄養相談会の開催等)を実施していること。
- 地域の薬剤師会等を通じて自局の取組を発信し、必要に応じて、地域の薬局の取組を支援していること。
(健康に関するポスター掲示、パンフレット配布)
- 国、地方自治体、関連学会等が作成する健康に関するポスターの掲示やパンフレットの配布により、啓発活動に協力していること。
地域薬局の目指すべき姿としてはおおむね了承できる内容ではありますが、この検討会において、今回の地域薬局の理想像が求められていた背景、即ち、
- 医療機関の近隣に多くの薬局(いわゆる門前薬局)が乱立し、患者は受診した医療機関ごとの門前薬局で調剤を受けることが多い。
- 調剤に偏重し、OTC医薬品や医療・衛生材料を取り扱わない薬局が多くなり、昔のように、住民が気軽にOTC医薬品の選択や健康に関する相談のために立ち寄るような存在となっていない。
という現状について、この間分析・議論がほとんどなされなかったことは残念でなりません。
公的病院が公道を作るなどをして、事実上の門内薬局が黙認されている状況は、後を絶ちません。そして、こういった薬局ではOTCの取り扱いは必要ないし、中医協の医師会委員の発言を借りれば、医療機関側からも、むしろ置いて欲しくないとも言えるのではないでしょうか?
OTCの中分類を2アイテム以上という要件も示されましたが、それだけの品ぞろえをしても、患者さんや生活者がどれだけ相談を求めるかも大きな疑問です。なぜなら、この間の最近まで続いている消費者の選択の自由の名を借りたセルフ販売の容認、店舗での第一類医薬品の取り扱いがあまり多くない現状→ネット販売の支持といったOTC販売をとりまく状況があるからです。
また、今回の報告書案は、海外の薬剤師のpublic health 活動をも踏まえた新たな役割が示されてましたが、調剤に注力しなければならない現場の状況がどこまで考慮されているかも疑問です。
海外では、日本のように詳細な指導内容の記録を含めた詳細な薬歴の記載は求められていないと理解しています。また調剤実務の一部は助手やアシスタントが行ってます。薬歴未記載が生じるほどに、少人数の薬剤師で現場の業務が行われている現状を考えると、プラスアルファの業務を行うとなると、一人または少人数で薬局が運営されている薬局では余裕がなく、人員的にもある程度余裕がある施設でないと難しいのではないでしょうか?
また、セルフメディケーションへの支援といった課題も、OTCを使用する背景や状況は保険制度や医療習慣から海外と大きく異なることも考慮することが必要です。
- かぜ程度では医者にはかからない、OTCでの対応をすすめられる(求められる)
- 水虫などの軽度の疾患では医薬品の償還率が低い(保険で負担が低い)
- 水虫などの軽度の疾患での受信なしでの薬局での医薬品購入に公的負担がある
- スイッチOTCが多い
さらに、地方自治体に健康づくりや情報発信の場として薬局を活用しようとする機運が高くないという現状もあります。某自治体が、たばこやお酒を取り扱うコンビニの駐車場で検診を行うというところがでてきていうことを考えると、本当に薬局を活用する気があるのかと思うところです。
今回の健康づくり支援薬局は、OTCの取り扱いなど、もともと日薬が行っていた「基準薬局制度」(現在は都道府県薬剤師会独自のものに。すでに県薬単位での「健康づくり支援薬局」というのもあるが、今回の認定制度とどう両立させるんだろう?)と共通点が少なくありませんが、この「基準薬局」は(地域)社会にどれだけ認知され、機能してきたかを考えると、いわば国が認定制度化がして果たしてうまく社会に認められていくのか大いに疑問です。
関連情報:TOPICS
2015.09.01 一般用医薬品の中分類って?
2015.08.26 健康づくり支援薬局(仮称)の要件(案)が示される
2015.07.03 健康づくり支援薬局(仮称)の要件(検討会論点)
2015.06.19 「かかりつけ薬局」=「健康情報拠点薬局」ではない
2015.05.27 「患者のための薬局ビジョン」策定の重み
2015.05.24 厚労省の「かかりつけ薬局」推進の本気度は疑わしい?
2015.03.11 「医薬分業」公開ディスカッションを前に思う事
2015年09月15日 00:09 投稿
地域のかかりつけ開業医とその門前薬局で、患者のかかりつけとして健全に機能しているケースもある。門前薬局をひとくくりに否定するのはどうかと思っている。
その開業医が病院を紹介した患者が、そこの門前薬局に処方箋を持っていかず、FAXでかかりつけ開業院の門前薬局に処方箋を送って投薬を受けている。
そこでは、完全に一元管理ができている。
そういうケースもあるので、門前薬局の中身の精査も必要だ。
ただ、大切なことは地域の開業院がどれだけ健全な医薬分業を推進させようとしているかの自覚や認識の問題もある。上述の開業院は少なくともそれができている。
まあ、厚労省の健康づくり支援薬局構想はそういう現実をあえて無視したほうが、グランドデザインとして作りやすいので、相違しているのだろうが。
細かい現実は無視したほうが、政策構想の効率を上げることができるものね・・。
理想を高く上げるより、実態に応じた「隗より始めよ」が、なぜ、できないいんだろうか。
最終報告書が24日公表されました。
「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」の報告書を取りまとめました
(厚労省 2015.09.24)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000098248.html
名称は、「健康サポート薬局」になりました
健康サポート薬局のあり方について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/matome.pdf
健康サポート機能を有する薬局は、かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能を備えた薬局のうち、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する薬局である。
「健康づくり支援」→「地域住民による主体的な健康の維持・増進」
に表現を変えたわけですが、どう違うのでしょう?
注目のOTCの品揃えについてですが、具体的な品目数は削除されました。
⑤ 要指導医薬品等の取扱い
○ 利用者が相談しやすい環境を作り、地域住民のニーズに対応するためには要指導医薬品等や衛生材料、介護用品等について、利用者自らが適切に選択できるよう供給機能や助言の体制を有していること。そのため、基本的な薬効群を原則としつつ、地域の実情に応じて、当該薬局において供給すること。
○ その際に、かかりつけ医との適切な連携や受診の妨げとならないよう、要指導薬品等の相談を受けた場合の受診勧奨の基準を遵守するなど、適正な運営を行っていること。
○ また、要指導医薬品等や健康食品等については、利用者自らが適切に選定することが大事である。そのため、それに関する相談を受けた場合は、利用者の状況や要指導医薬品等や健康食品等の特性を十分に踏まえ、専門的知識に基づき説明すること
(要件)
1.要指導医薬品等、衛生材料、介護用品等について、利用者自らが適切に選択できるよう供給機能や助言の体制を有していこと。その際、かかりつけ医との適切な連携や受診の妨げにならないよう、適切な運営を行っていること。
2.要指導医薬品等や健康食品等に関する相談を受けた場合には、利用者の状況や要指導医薬品等や健康食品等の特性を十分に踏まえ、専門的知識に基づき説明すること
「地域の事情に応じて」という表現じゃ、今とおそらく変わりませんね。
近医が置いて欲しくない、ドラッグストアが近くにある、といった場合にはおそらくOTCは置かないでしょうね。
厚労省の薬局ビジョンが公表されてから何日か経ったが、今に思うのは日医のパワーの凄さだね・・・。
患者を治すことができないので、自分たちの居心地をどうすればいいのか、そればっかり考える職能集団・・・、恐ろしい政治力パワーだね・・・。
それを下支えする守銭奴軍団の製薬メーカー・・・。
これらを擁護することによって、自分たちの立場を安泰にしようとする厚労省や政府・・。
財務省は要は医療財政費が削れれば、医療政策の中身なんてどうでもいい・・。
厚労省の表向きは患者の事を考えていますよに財政を削れれば、財務省は何にも言わない汚れた体質・・・。
この国はどうなっているのか・・。理解に苦しむ・・・。
スイッチ薬も完全に上述パワーで立ち消え・・・。
かつてはスイッチ薬の解放に叫んでいたやから族(雑誌などにもやたら特集などで書いていたが・・。)、そういうやから族も完全に影を潜めるようになった。
もう、世界常識も何もない。日本だけの特異常識だけがはびこっている。
それのどこが悪い・・・、と日医の開き直る顔が思い浮かべられる・・。
ご大層に日医のコバンザメの日薬などなども、処方薬、皆保険死守万歳だ・・・。
日薬や保険薬局協会?などの公表コメントも、上っ面迎合コメントを鉛筆ナメナメ巧みに書いて・・、なんか、私には透けて見える文章だ・・・。
まあ、この国の医療は決して良くならないね・・。
本質が歪められて、そこをガチガチに塗り固めてしまっているのだから・・・。
恐れ入るよ・・・。
もう、真面目なことを書く気がしない・・。
こんな文章を書くほうが、ストレス解放になる・・・。
でも、こんな文章でも、訴えかけたいところはしっかり詰まっているよ思うよ・・。
患者のための詭弁はわたしゃには通用しない・・・。
今日付けの朝日朝刊に載っていたな・・・。
財務省からのもので、来年度からの調剤報酬引き下げ、そして、市販薬と同じ成分の湿布、漢方薬、目薬は保険からの除外提言・・・。
後者はまた、日医の横槍が入ってボツになるんだろうな・・・。
軟弱な厚労省、政治力に弱い政府は日医に弱いからな。財務省は一応、ポーズの提言という言葉に言及・・・。
前者は弱いところにしわ寄せか・・・。
GE促進で、一定以上の促進でなければ、上乗せではなく、引き下げ・・。
種類と日数加算はなくす?・・・、24時間対応は上乗せ・・・。
そんなことが書いてあったな。
診療報酬改訂で槍玉に上げられた調剤報酬・・・。やはり、日医の力が見え隠れだ。
薬局、薬剤師の冬の時代が始まるのかな・・・。
とにかく、私が言ったように、医師下請けの薬局、OTC薬局の到来・・・。
後者は財務省提言が実現されればのことだが・・・。