中医協で保険給付の見直し検討へ、対象は湿布、漢方薬?

 10日夕、首相官邸で行われた経済財政諮問会議で塩崎恭久厚生労働相は、湿布薬などの「市販類似薬」を公的保険の対象から外すことを検討する方針を表明したそうです。

諮問会議、骨太方針の骨子案提示 20年度黒字化へ中間目標設定
(日本経済新聞 2015.06.10)

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL10H99_Q5A610C1000000/

平成27年度第9回経済財政諮問会議(2015.06.10)
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/0610/agenda.html

社会保障に関する主な論点について(塩崎臨時議員提出資料)
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/0610/shiryo_04.pdf
(参考資料)
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/0610/sankou_01.pdf

 このうち、「スイッチOTCが認められた医療用医薬品を含む市販類似薬は保険から除外」することについては次のような考え方を示しています。(→リンク

残薬削減等の観点から、平成28(2016)年度改定に向けて、中医協において、市販品類似薬を含めた医薬品の適正給付について検討していく。

○市販類似薬の保険除外については、
・患者の負担増に国民の理解を得られるか
・有効成分が同じ市販薬があっても、適応の範囲、用法・用量等が異なり、必要な医療が提供できなくなる
・かえってより高額な薬剤が使用される
・製薬企業が新規成分の市販品の発売を躊躇する
・漢方薬については、市販薬の有効成分が医療用の半量程度となっており、それらを使用する患者の負担が増えることになる

などの観点を踏まえた検討が必要。

 具体的な対象品目は示されていませんが、湿布薬と漢方薬の他、もしかすると風邪薬なども議論の対象となりそうです。

 医師会などの反対はあるかと思いますが、健保連などの支払い側は今回の厚労相の表明で、中医協の場で積極的に検討することを求めるものと思われます。

 ちょうど8日に公表された「保健医療2035」の提言書(→TOPICS 2015.04.25 コメント)でも、「不必要に低額負担となっている場合の自己負担の見直しや、風邪などの軽度の疾病には負担割合を高くして重度の疾病には負担割合を低くするなど、疾病に応じて負担割合を変えることも検討に値する」との記述があり、これが後押しとなって、保険はずしがないとしても 、これらの薬剤の給付率の引き下げ(自己負担の引き上げ)という仕組みが検討される可能性はありそうです。

 ちなみに、フランスでは薬品ごとに給付率が異なるという仕組みが取り入れられています。

関連情報:TOPICS
  2015.04.25 保険医療2035
  2011.06.03 長期高額医療の患者負担をどう軽減するか


2015年06月11日 01:26 投稿

コメントが1つあります

  1. アポネット 小嶋

    会議後の記者会見の要旨がアップされています
    (会議は非公開なので、各紙記事はこれを基に書かれている)

    第9回の経済財政諮問会議
    甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨
    http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/0610/interview.html

    (問)
    塩崎大臣の資料にある市販品類似薬の保険除外の部分について、湿布などいわゆる市販薬的なものは保険から外すといった議論は行われたのでしょうか。

    (答)
    その部分については具体的なやりとりがあったわけではないです。単に報告があったということです。こちらからいろいろ宿題が出ていますから、それを含めて回答がありました。それについて更なる宿題が出されて、今後回答を検討されるということです。

    (問)
    その宿題の中には湿布薬などの具体的な名前は特に出てきているのでしょうか。

    (答)
    具体的に出たわけではないです。

    その他抜粋すると

    塩崎大臣の説明ですが、「「医療法人による健康増進サービス業務の実施」、「看護師、薬剤師の活躍の場の拡大」に取り組む。地域医療構想や医療費適正化計画を通じ、地域ごとの「医療の見える化」、「住民負担の見える化」を行う。その上で、病床機能の分化、連携を推進し、保険者や医療提供者等へのインセンティブの強化や、好事例の横展開も実施する。後発医薬品利用は、本来の達成目標を2年前倒しして「32年度末までに80%以上」とするが、状況に応じて更なる前倒しを検討する。診療報酬については、費用対効果評価を導入し、調剤技術料については適正化に取り組む。先発品の保険償還額を後発医薬品の価格に基づき設定する制度については、後発医薬品の目標の達成状況を踏まえて議論をより深めていく。市販品類似薬の適正給付、介護予防取組の全国展開等の介護事業の見直しにも取り組む。」